【岡山理科大学】最古・最小級のペンギン化石は新種と判明
ペンギンの翼の進化解明へ手がかり
足寄動物化石博物館(北海道)の安藤達郎館長、岡山理科大学生物地球学部の林昭次准教授などの研究チームが、ニュージーランドの2400万年前の地層から化石で発見された「最小級のペンギン」が新種であることを突き止め、「パクディプテス(意味:小さい潜水者)」と命名しました。パクディプテスは最小級のペンギンの中では最古のもので、翼の骨は、古いタイプと現代型のペンギンの中間的な特徴を持っており、ペンギンの水中生活への適応進化を知る上で重要な化石であることが分かりました。
本研究は、日本時間8月1日、国際学術雑誌「Journal of the Royal Society of New Zealand」(ニュージーランド王立協会誌)の特集号「Fossil vertebrates from Zealandia」(ジーランディアの脊椎動物化石)に掲載されました。
研究チームによると、化石が見つかったのは1980年代、ニュージーランドのオタゴ地方。発見者は論文の共著者であるオタゴ大学のフォーダイス教授(2023年11月に逝去)らでした。発見地の地名から「ハカタラメアバード」と呼ばれましたが、論文として発表されていませんでした。
この化石は、翼の骨(上腕骨、尺骨)と大腿骨しか保存されていませんでしたが、肩関節と肘関節の状態がよく分かるもので、肩関節が現生ペンギンに非常に近いにもかかわらず、肘関節は古いタイプのペンギンとよく似ていました。このような組み合わせを持つ化石の発見はパクディプテスが初めてでした。
チームはペンギンの翼の進化を解き明かす「カギ」になるとみて、系統解析、化石骨の内部構造の分析、ペンギンの翼の肩関節と肘関節の比較などを行いました。
その結果、パクディプテスについて以下のことが判明しました。
① ペンギンの進化史上、わずか4種しか発見されていない最小級のペンギンの中で、最も古い時代のペンギンである
② 現生のペンギンと古いタイプの化石ペンギンをつなぐ重要な系統的位置にある
③ 骨の内部は比較的緻密かつ中空の構造であり、現生で最小のフェアリーペンギンとよく似ており、浅い海を泳ぐのに適した特徴だと考えられる
④ ペンギンの翼は「曲がった状態」から「まっすぐな状態」へと進化し、より効率の良い翼に変化してきた可能性がある
研究成果について7月31日、岡山理科大学で発表した林准教授は「今回の成果をきっかけにペンギンの進化や生態の解明をさらに進めていきたい」と話しています。安藤館長も北海道からオンラインで参加しました。