【岡山理科大学】ベニザケの稚魚約2000匹を大水槽に収容/世界初の事業化に向けて着実に前進

2025-02-26 14:40
㊤稚魚を大水槽に移す秋山さん(左)と石坂さん(右) ㊦孵化水槽の中で元気よく泳ぎ回る稚魚

 岡山理科大学とNTT東日本グループ、福島県内でスーパーを展開する株式会社「いちい」(本社・福島市)が共同で取り組んでいる好適環境水によるベニザケの陸上養殖事業化実験で2月21日、いちい本社の養殖場で昨年12月に孵化した稚魚約2000匹(現在はヒメマス)を大水槽(約20㌧)に収容する作業が行われました。メダカほどの大きさに育った稚魚は粉末状のえさを食べながら、元気いっぱいに泳ぎ回っています。

 稚魚は昨年11月、卵の状態で岩手県から養殖場に届き、淡水の孵化水槽に収容されました。12月中旬、次々に孵化して体内の栄養分で成長。メダカサイズにまで成長した段階で大水槽に移しました。ここで徐々に好適環境水に順化させていき、数カ月もたつとベニザケになります。
 収容作業は岡山理科大学生物生産教育研究センターの石坂隆宗技術員と、いちい新規事業部の秋山亨仁主任が行い、数をカウントしながら網ですくい、バケツに入れて大水槽に収容していきました。

 いちいでは本格的な事業化に向けて、本社から北東へ50㌔近く離れた浪江町の土地約1万平方㍍を購入する予定です。そこで、まずは総水量52㌧規模の水槽を設置してベニザケを中心に陸上養殖する計画。魚種を増やしていくことも検討しています。施設は2026年冬には完成する予定です。

 この養殖事業化実験では、2023年7月20日、いちい本社で、いちいと岡山理科大学、NTT東日本の代表が出席して記者会見し、共同研究の成果を報告。翌21日から福島市内の「いちい」店舗で、ベニザケの握りずし、刺身、切り身、ハンバーガーなどが試験販売され、商品はすぐに完売。ビジネスベースで世界初となるベニザケの養殖事業化に向けて、大きな一歩を踏み出し、その後も研究を継続しています。

孵化水槽の中は稚魚でいっぱいです
稚魚は少しずつカウントしながら網ですくい取ってバケツの中へ
大水槽に移した後、稚魚の動きをしっかり観察します
大水槽のザルの中でもう少し成長させます
次から次に投入されていく稚魚たち
養殖用の20㌧水槽の全景
周囲に雪が残る養殖場の外観
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