ONIBUS COFFEEのコンポストプロジェクトが ルワンダのコーヒー農園で2023年6月より開始
コーヒーパルプを用いたコンポスト作りを指導し、 ルワンダのスペシャルティコーヒーの生産量と品質の向上を目指します
日本国内外に自家焙煎によるスペシャルティコーヒーショップを運営する株式会社ONIBUS(本社:東京都目黒区・代表取締役:坂尾 篤史)は、同社が取り扱うコーヒー生産国の一つであるルワンダ共和国にて、コーヒー豆の精製時に排出されるパルプを堆肥化させ、有機肥料としてコーヒー農園で利用するパルプコンポストプロジェクトを2023年6月より開始しました。
プロジェクトの背景
株式会社ONIBUSの運営するONIBUS COFFEEは、「コーヒーで、街と暮らしを豊かにする。」をビジョンに、「コーヒーを生産する人、提供する人、そして消費する人をフェアにつなぐ」ことを実現したいと考えています。そのためには、環境だけでなく、コーヒー生産や労働慣行における持続可能性も取り組むべき課題と捉えています。
今回、コーヒーパルプを用いた堆肥(以下 パルプコンポスト)のプロジェクトを開始したルワンダは、ONIBUS COFFEEが視察とコーヒー生豆の買付けのために毎年のように訪れる国の一つです。ここでは、国を挙げてスペシャルティコーヒーの生産と輸出に注力しており、コーヒーは同国における主な産業となっています。しかしながら、この数年、コーヒーツリーに使うための肥料の配布量が不足したり、購入するにしても価格が高騰していたりと、コーヒーチェリーの生育に十分な量の肥料の調達が難しい状態となっています。また、コーヒーの生産に適した丘陵地では土壌の流出による養分低下や有機物の減少といった劣化も見られており、良質かつ収穫量の多いコーヒーの生産を今後継続していくことが困難になる可能性もあります。
そこで、ONIBUS COFFEEが現在運用しているコンポストの手法を用いて、ルワンダにてコーヒーチェリーをコーヒー豆に精製する際に取り除かれるパルプ(果肉部分)を堆肥化し、有機肥料として土壌改善のために活用する試みを始動しました。
パルプコンポストについて
株式会社ONIBUSでは、飲食店における消費一方通行のあり方でなく、循環を取り入れた店舗運営を行なっています。過去には有機堆肥専門家の協力のもと、コーヒーカスを利用した堆肥作りと培養土の販売を行い、コーヒーカス排出量の削減と循環を実現させました。この経験を活かし、現在もONIBUS COFFEE自由が丘店と同・那須店にて、「籾殻」「米糠」「落ち葉」を原料とした基材を用いてコーヒーカスなどのコンポスティングと、できたコンポストの有効利用を行なっています。
今回のルワンダにおけるパルプコンポストプロジェクトは、ルワンダ北部にあるDukundekawa農協の協力で取り組んでいます。所属している現地のスタッフに、必要な材料や基材の作り方を指導し、コンポストの状態確認や攪拌などの作業も、基本的に現地にお願いしました。まずは、コンポストの基材となる材料とコーヒー豆の精製時に排出されるパルプを調達してもらいました。ONIBUS COFFEEのコンポスト同様に、基材を作成し、そこにパルプを混ぜ込み数週間~数ヶ月間かけて有機物の力で完全に分解させ堆肥化させるものです。その後、農地でコーヒーツリーへ施肥し、実証実験をしてもらいました。
パルプコンポストで期待できる効果と結果
コーヒーのパルプは、有機肥料として、そのままコーヒーやバナナ農園に撒かれることもありますが、分解が十分でないパルプは臭気もあり、土壌が酸性に傾きやすくなります。
一方、基材を使用したパルプコンポストは、微生物の働きでパルプが完全に分解された状態になっています。試作したパルプコンポストの成分を調べたところ、窒素とリン酸の数値が高く測定され、肥料としての効果が期待できることがわかりました。実際に、試作したパルプコンポストを蒔いた場所は、そうでないところに比べて表土が柔らかくなっており、コーヒーツリーの葉の緑色が濃くツヤがあり健康的になったという結果も現れていました。
今後の展開
試作の結果、パルプコンポストにはコーヒーの生育に好ましい効果が期待できることがわかったため、引き続きDukundewaka農協で本格運用をしていきます。まずは、来期の収穫に合わせてパルプコンポストの作成とコーヒーツリーへの施肥を実施予定です。パルプコンポストによる影響のより詳しい検証のため、施肥をするエリアを区分し、無施肥エリアとのコーヒーチェリーの収穫量と品質の比較をします。
将来的には、 ルワンダ国内の他のコーヒー生産地域でも、経済的・技術的に自家製有機堆肥が持続的に運用でき、土壌環境の改善とそれに伴うコーヒーの品質向上に役立つことを期待しています。