冬山の山岳遭難者を捜索する小型軽量の光探索システムを開発 六甲山のスキー場で実証実験を実施
近畿大学(大阪府東大阪市)理工学部と農学部の研究チームは、山岳遭難者を上空から捜索しやすくするシステムの開発に取り組んでいます。照射された方向に光を返す「再帰性反射素材」を用いてQRコードをプリントした登山用ウェアを着た遭難者にサーチライトを照射することで、遠くからでも場所を特定できる仕組みです。
50kgほどもある大型のサーチライトが必要なことが難点でしたが、今回、同等の照射能力を持つ約5kgの小型軽量サーチライトを開発しました。
この小型軽量サーチライトを使用して、令和2年(2020年)1月9日(木)に、雪のある冬山の山岳遭難者捜索を想定した実証実験を六甲山のスキー場で行います。
【本件のポイント】
●サーチライトとカメラを統合し、小型軽量の実用的な光探索システムを開発
●数10cmの積雪中でQRコード付き再帰性反射ウェアを着用した学生の探索を実証
●今後は光探索システムをヘリコプターに搭載し、冬山の山岳遭難者探索での活用を目指す
【本件の内容】
理工学部電気電子工学科の前田 佳伸 教授、農学部水産学科の光永 靖 准教授および鳥澤 眞介 講師は、山岳遭難者をヘリコプター等の上空から捜索しやすくするシステムの開発に取り組んでいます。令和元年(2019年)7月30日には、本学農学部のキャンパスにおいて、レーザーサーチライトを用いた山岳遭難者探索システムの実証実験を行いました。300m先の森林中のQRコード付き再帰性反射ウェアを着用した学生の位置を肉眼およびカメラで正確に確認することが可能であることを実証しました。あわせて、QRコードを識別することによって、個人を特定することも可能であることを示しました。
50kgほどもある大型のサーチライトが必要なことが難点でしたが、今回、サーチライトとカメラを統合した小型軽量(約5kg)の光探索システムを本学独自で開発しました。カメラで撮影した映像をWifi経由で、スマートフォンやタブレットに転送して、専用のQRコード解読ソフトで解析するシステムです。また、従来のサーチライトと同等の20,000lm(ルーメン)の高輝度の光を照射することが可能で、実験においては、数10cmの雪を透過することが測定できました。しかし、その透過率は雪の密度などによって大きく変化します。そこで、実際にスキー場でフィールド実験を行うことにしました。
また、株式会社丸仁(福井県福井市)と共同開発したウェアはレインボーの反射光を放射することから、サーチライトの発光色をフィルタによって選択することによって、太陽光とは異なる鮮やかな色の反射光を得ることが可能となり、認識率を大幅にアップさせる仕組みです。これが雪の中で認識率が変化するのかについても確認します。
今後は、本光探索システムをヘリコプターに搭載して、山岳登山者探索システムを構築・実験する必要があります。
【開催概要】
日時:令和2年(2020年)1月9日(木)11:00~13:00
場所:六甲山スノーパーク
(神戸市灘区六甲山町北六甲4512-98、TEL(078)891-0366
阪神線「阪神御影駅」から六甲山スノーパーク直行バス約1時間)
【関連リンク】
理工学部 教授 電気電子工学科 前田 佳伸(マエダ ヨシノブ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/444-maeda-yoshinobu.html
農学部 水産学科 准教授 光永 靖(ミツナガ ヤスシ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/185-mitsunaga-yasushi.html
農学部 水産学科 講師 鳥澤 眞介(トリサワ シンスケ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/183-torisawa-shinsuke.html
関連URL:https://www.kindai.ac.jp/science-engineering/
https://www.kindai.ac.jp/agriculture/