【岡山理科大学】ハザードマップを仮想空間で再現 3Dで具体的に災害リスクを実感

生物地球学科 地球・災害科学コースの佐藤教授らが開発

学校法人加計学園
仮想空間で再現した土石流(黄色が警戒区域、赤色が危険区域。透過で、埋もれた部分を分かりやすくしています)©Lagrof design&technology

 岡山理科大学生物地球学部の佐藤丈晴教授らの研究グループが、ハザードマップで想定した被災状況を仮想空間(メタバース)で再現し、災害発生状況を実感できる手法を開発しました。現地のリスクをより具体的に理解し、避難所までの経路も確認できることから、適切な防災対策を講じることが可能になります。8月26日に岡山理科大学で記者会見して発表しました。

 今回再現したのは、典型的な扇状地で勾配が急なうえ、土砂災害警戒区域に指定されている広島市安佐北区可部町の住宅地。2次元のハザードマップでは流入土砂の深さの表現が難しく、リスクを実感しにくいため、佐藤教授や広島県砂防課、建設コンサルタント会社「ラグロフ設計工房」(岡山市)が、2022年から仮想空間を利用した3次元化に取り組みました。

 広島県の基礎資料や国土地理院の地図情報などをもとに、ハザードマップを仮想空間で3D化しており、どの程度の高さ、範囲まで土砂が流れ込んでくるのかを可視化しました。ヘッドセットを装着して仮想空間に入れば、被災地内を自由に移動可能。塀の高さを越えて流入した土砂で1階部分がほぼ埋まった住宅や駐車中の車も土砂で覆われるなど、被害を目の当たりにすることになります。

 佐藤教授は生物地球学科で地球・災害科学コースを担当し、広島県土砂災害対策アドバイザーも務めています。今後、行政や住民から要望があれば、メタバースでのハザードマップ再現を検討していくそうです。佐藤教授は「災害から身を守るにはまず、今いる場所が安全かどうかを把握することが大切です」と災害リスクへの理解を呼び掛け、「メタバースによるマップ作りが広がって、災害対策の一助になれば」と話しています。

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