ジョリーグッド、北米現地法人設立!米大学らと共同で「Apple Vision Pro」向け医療VR開発へ
〜 第一弾:ボストン大学の慢性疼痛専門家と慢性疼痛VRを共同開発 〜
医療VRを開発・提供している株式会社ジョリーグッド(東京都中央区、代表取締役:上路健介、以下 ジョリーグッド)は、北米での更なる事業拡大を見据え、北米現地法人を設立したことをお知らせいたします。
また、北米では、デジタル治療VR・医療教育VRの両事業において、「Apple Vision Pro(*1)」を含む空間コンピューティング向けの開発に注力していきます。
「Apple Vision Pro」での開発第一弾では、ボストン大学(アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン)医学部で最高教育栄誉賞を授与された、心理学科・脳科学科のジョン・D・オーティス研究准教授と共同で、慢性疼痛(*2)向け認知行動療法(*3)プログラムを開発します。
現在アメリカでは、オピオイド(鎮静薬)の濫用と中毒が大きな社会問題となっており、服用者の多くが慢性疼痛を経験しています。そこでジョリーグッドは、国内事業で実績豊富なCBT-VRを慢性疼痛向けに開発することで、オピオイドと併用、或いは代替の非薬物療法を患者に提供できると考え、今回の共同開発に至りました。
今後ジョリーグッドは、本プログラムの効果検証を行なっていきつつ、「Apple Vision Pro」向けに開発されたCBT-VRをベースに他の精神疾患にも領域を拡大し、グローバル市場を見据え、事業開発を加速させていきます。
(※1)Apple Vision Proとは、Appleが初の空間コンピュータとして開発した複合現実ヘッドセット型PCです。(https://www.apple.com/apple-vision-pro/)
(※2)慢性疼痛とは、治癒に要すると予測される時間を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛みと定義されています。痛みが長期間持続することに病態が複雑化し、心理社会的要因も痛みの原因と言われています。
(※3)認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)とは、認知の偏りを修正し問題解決を手助けすることによって症状を改善する構造化された精神療法です。CBTの臨床的有用性は認められており、医師又は看護師が実施する場合に保険が適用されます。
■ジョリーグッド北米現地法人 概要
会社名:Jolly Good US Inc.
所在地:202 Washington Street, Suite 138 Brookline, MA 02445
設立:2023年10月
連絡先:info@jollygood.co.jp
代表者:代表取締役 上路健介
<Apple Vision Proで開発する医療VRのビジョン>
Apple Vision Proで開発する医療VRは、「空間コンピューティング」という概念のもと、ヴァーチャルとリアルのシームレスな融合によって新しい複合現実体験を生み出し、その体験の中で、ジョリーグッドの特徴である実写360度映像を活用した医療教育や精神疾患治療の提供を目指していきます。
■開発第一弾:慢性疼痛CBT-VR概要
慢性疼痛に対するCBTは、痛みの感じ方と対処法を再評価し、患者が痛みを適切に管理する手段として用いられます。CBTのセッションを通じて、患者は痛みに対する自己認識を深め、痛みを認識し対処する新たなスキルを習得します。具体的には、痛みに対する思考パターンや感情反応を明らかにし、それらをよりコントロールできるものへと変える方法を学びます。これにより、患者の自己効力感を高め、疼痛生活の質を向上させることを目指します。今回開発する慢性疼痛CBT-VRは、セッションの一部にVRを組み合わせることで学びをサポートし、治療効果を高めることを目指します。
<アメリカでは「オピオイド(鎮静薬)中毒死」が社会問題に>
アメリカでは、鎮痛薬の継続的な摂取によるオピオイド中毒者が1,140万人までに達し、2017年には非常事態宣言が掲げられるなど、オピオイド薬物中毒死が社会問題となっています。また、オピオイド服用者の50%以上は慢性疼痛患者となっており、非薬物療法の活用が課題とされています。
また、ジョンズ・ホプキンス大学医療経済学者の研究によると、慢性疼痛によるアメリカの損失額はがんや心臓病などよりも高く、最大6,350億ドルと言われており、慢性疼痛は経済問題にもなっています。
■ボストン大学医学部 心理学科・脳科学科 研究准教授 ジョン・D・オーティス氏 コメント
慢性疼痛の患者は非常に多く、医療費もかさんでおり、世界共通の大きな問題となっています。慢性疼痛の様々な治療法がある一方で、患者の多くは継続的な薬物治療や手術では十分な効果を得られず、その結果、患者は別の効果的治療法を探さなければなりません。
慢性疼痛のための認知行動療法(CBT)は、心理学者やCBT専門家から提供される痛みの治療方法です。患者が感じる痛みをより効果的に自身で管理するための様々なスキルを学ぶという意味で、痛みに悩む日々の生活の質(QOL)向上に非常に効果的なアプローチです。しかし、患者の数に対して、治療を行う専門家の数も限られており、多くの患者は治療を受けたくてもなかなか受けられないのが現状です。ジョリーグッドのVRを活用したアプローチは、インタラクティブでリアルな方法で誰でもどこでもCBTの体験が可能なため、来院のできない患者やベッドで寝たきりの患者もCBTを受けられる効果的な方法であると期待しています。
<プロフィール>
ジョン・D・オーティス博士は、ボストン大学不安および関連障害センターの行動医学部長であり、米国退役軍人省の疼痛心理学者でもあります。過去24年間、オーティス博士は生涯を通じた痛みに関する研究を行い、学術論文を発表してきました。オーティス博士の臨床研究キャリアは、特殊な患者集団に合わせた疼痛管理の革新的なアプローチの開発に重点を置いており、最近の研究では、脊髄損傷(SCI)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を合併したさまざまな慢性疼痛を経験する退役軍人に対する集中的な統合治療の開発に焦点を当てています。彼は研究と治療を通じて、多くの人々に慢性疼痛を自己コントロールできるようになる手助けをしてきました。全国を飛び回り、認知行動療法(CBT)の原理をどのように使えば、人々がより健康で生産的な生活を送ることができるかについて、臨床医と患者の両方にプレゼンテーションやワークショップを開いています。著書に『Managing Chronic Pain』(Oxford University Press: Treatments that Work Series)があり、これはセラピスト用マニュアルと患者用ワークブックの両方を含む「エビデンスに基づく」治療プログラムとして広く流通しています。
■ボストン大学について
ボストン大学はマサチューセッツ州ボストンにある総合私立大学です。ボストンの街の中心部、チャールズ川沿いに位置するメインキャンパスは、300以上の建物からなる140エーカーの敷地に広がっています。ここでは15以上の学部とカレッジから300以上のプログラムを学生とコミュニティに提供しており、2022年には世界130カ国以上から36,000人以上の学生がボストン大学に集まってきました。教育のみならず、主要な研究機関でもあるボストン大学は、130以上の研究センターと研究所を有し、2022年度には5億ドル以上に相当する研究賞を受賞しました。
■株式会社ジョリーグッドについて(https://jollygood.co.jp/)
ジョリーグッドは、高精度なVRソリューションと、VR空間のユーザー行動を解析するAIによる医療福祉向けサービスを開発するメディカルテクノロジーカンパニーです。VRやAIなどのテクノロジーにより、医療教育、障害者支援、精神疾患治療など、人の成長や社会復帰を加速し、医療の進化や人の生きがいを支えるサービスを様々な研究機関や企業の皆様と共に展開しています。
【企業理念】
テクノロジーは、それを必要とする人に使われて、初めて価値がある。
【ミッション・ビジョン・バリュー】
ミッション:『テクノロジーで人の成長を加速する』
ビジョン:『成長体験を増やし、人生を豊かなものに』
バリュー:『アップデートを楽しみ、本質と価値にこだわる』