上海協力機構首脳会議がウズベキスタン・サマルカンドで開催 互いに依存しあう世界における対話と協力
ウズベキスタン共和国シャフカット・ミルジヨーエフ大統領が、2022年9月15日・16日にサマルカンドで開催される上海協力機構(SCO)の議長国を務めることをお知らせいたします。
今、一つの時代が終わり、まだ予測のつかない未知の新しい時代が始まろうとしています。昨今、あらゆる出来事が次々と目まぐるしく起こり、私たちは歴史的な激動かつ不透明な時代を生きています。このような中、ウズベキスタンは上海協力機構の議長国を務めることとなりました。
現代の国際協力は普遍的な原則と規律に基づいたものでありますが、今、そこには大きな歯止めがかかり始めています。その主な要因の一つは、グローバル社会における信頼の大きな危機の発生です。現在、地政学リスクの高まりにより国際社会の対立が深まり、力に頼る典型的な考えが再燃するリスクが危惧されています。このような互いを疎外し合う動きは、世界経済を後退させ、世界の供給網(サプライチェーン)問題の解決を困難とする要因の一つとなっています。また、世界各地で続く軍事衝突は貿易や投資の流れを不安定なものとし、食料・エネルギー危機をさらに深刻にしています。
さらに、地球規模の気候変動や深刻さが増す天然資源、水資源の不足、生物多様性の危機、危険な感染症の拡大は、私たちの社会の脆弱さを未だかつてないほどに強く示唆しています。これらの問題は多くの人々の生活基盤を揺るがし、収入減となり、実存主義的な共通の富を損なわせています。
このような状況において、自国のみが世界的危機を回避することはもはや困難であり、単体でその国が対処できるような状況ではないことは明確です。
今、私たちは相互に依存し合う世界を生きています。このような問題のスパイラルから抜け出す道は一つしかありません。それは一人一人の利益を考え敬い合いながら、建設的な対話により多国間で協力を推進することが重要です。まさに、このような危機的状況では、大国、小国を問わず、すべての国が自国の利益のみを求めるのではなく、各国との相互連携に努めることがカギとなります。そして、世界で起きている危機や問題にいち早く対応し、私たち一人一人にとって大切な安全を確保します。さらに、持続可能な発展にむけ、力を結集することで、その力を何倍にも強めることが可能となります。
効果的な国際連携が進むことで世界はより安定し、予測可能なものとなり、さらなる繁栄につながります。さらに、この連携は現代の共通課題の解決に向けた最も取り組みやすい近道であり、将来起こりうる問題を未然にことも可能となります。
地域協力の成功モデル
一人一人の利益と全体的な利益に資する国際協力は、多国間に渡る機構なしには成し遂げられません。各国の認識の相違などによる欠点などが発生する可能性もありますが、多国間に渡る機構は、地域もしくは世界的なレベルでの国家間の連携の最も重要な先導的な役割を担います。国際的もしくは、地域の多国間協力機構は対立を克服し、相互理解を深める手助けを行ない、政治・経済協力の発展、貿易の拡大、文化人文交流を促進します。
「上海協力機構」は、まさにこれらの目的に向かい、課題解決にあたっています。それぞれ異なる文化や文明、対外政策、発展モデルを持つ国々を束ねている優れた国際機構です。上海協力機構は歴史的に見れば短期間ではありますが、現代の政治的・経済的な世界秩序にとって切り離すことのできない存在となりました。
また、上海協力機構は広大な地理的空間を一つ束ね、地球全体の人口の約半数を占める、世界で最大の地域協力機関です。根本の国際法的魅力は開放性を持ち、中立的な立場で、第三国や他の国際機関に対抗せず、加盟国すべての主権は同等であると考えられています。また、それを敬い、内政には干渉せず、政治的対立や競争を認めていません。それはすなわち、上海協力機構を円滑に運営するための基本的理念として、地域の安全を保ちながら多面的協力を進めるということを意味します。
使命として、加盟国の境界線を引くことなく、平和と協力と発展のための求心力を掲げています。それゆえ、年々、加盟国が増加しており、国際的な相互関係や地域の相互関係のシステムが変化する中で、それは顕著に表れています。
さらに上海協力機構に加盟している国の経済的価値は、膨大な人的、知的、技術的ポテンシャルによって急速な経済発展が遂げられ、未開発の豊富な天然資源があり、自給自足率が高いことによって高められています。
上海協力機構は2001年の創設から21周年を迎え、現在の加盟国のGDPの総額は全世界の約4分の一を占めています。これは、世界の安定かつ発展に機構が大きな貢献を果たしたことを示しています。
新たな挑戦や可能性を秘める世界において、上海協力機構は量的な充実によってだけでなく、新たな戦略的方向性をとることによって、変化し、成長していくための素晴らしい展望を描いています。それは、交通や相互の連携性、エネルギー安全、食料安全、環境保護、イノベーション、デジタル化、グリーン経済などです。
■議長国ウズベキスタン:共同発展を通じた全体的な成功へ
ウズベキスタン共和国は上海協力機構の議長国という責任のある使命を担いながら、協力の新たな地平を切り開き、参加国それぞれが持つ未使用の資源を放出することによる組織の加速的発展戦略に期待を寄せています。
私たちのもうひとつのスローガンは「それぞれが強ければ、上海協力機構も強い」です。このことを実行に移しつつ、我々は組織が国際的パートナーたちにとって内側からはより強く、外側からはより魅力的になるべく真摯に取り組んできました。
この1年で行なわれた80を超える大規模イベントの場では、安全保障の分野における今後の相互協力の拡大に始まり、運輸・経済の相互連携強化、国際舞台での組織の位置づけ、発展のための新たな手段とポイントの模索に至るまで、上海協力機構の包括的な議題が形成されました。
歴史的発展の新たな段階にある上海協力機構における多くの有望な協力方針は、我々が議長国を務めるに際し、準備をすすめてきた30以上の基本プログラムなどに反映されています。
さらに、今回議長国を務めるウズベキスタンは、過去6年間に積極的で開かれた対外政策を継続しています。まず第一に、この政策は上海協力機構の地政学的な中核となる中央アジアで具現化されています。このような中央アジアで進められている、各国の結びつきと協力関係の強化はさらに前進しているのです。
上海協力機構のすべての参加国は私たちの隣人であり、友人であり、戦略的パートナーでもあります。議長国であるということは、参加国それぞれとの多面的な協力強化、相互協力の拡大、さらなるパートナーシップの深化に向け、更なる関係の構築を与えてくれました。
私たちは上海協力機構が重要であり、その成功の歴史をアフガニスタンと共有すべきであると大いに確信しています。この国は上海協力機構にとって不可欠です。アフガニスタンの人々はこれまで以上に周辺国の支援を必要としています。私たちは道徳的義務として、支援の手を差し伸べ、国の経済成長への協力、地域・グローバル発展プロセスへの統合を通じて長期にわたる危機から抜け出す効果的な方法を提案してまいります。
100年にもわたり世界の大国と地域権力の対立における緩衝の役割を果たしてきたアフガニスタンは、中央アジアと南アジアを結ぶ要衝であり新たな平和的使命を担わなければならないと考えています。
特に、アフガニスタン横断回廊の建設は相互に利益のある地域間協力のシンボルとなりえるものです。さらに「テルメズ - マザリ - シャリフ - カブール - ペシャヴァル」鉄道といった共通インフラ計画を実現することで私たちは我々は単に社会経済・輸送通信の課題を解決するだけではなく地域の安全保障に本質的な貢献をもたらすことができると信じています。
私たちの関係性をより緊密にすることで、より平和で、安定し、繁栄するアフガニスタンのため上海協力機構が取り組む新たな課題を作ることができます。上海協力機構はこれによってのみ「安全保障の不可分性」を備え、真に安定した持続可能な発展を創出できるのです。
「サマルカンド精神」 - 協力、相互理解、友情の具現化
貿易、経済、製造関連の深刻な破壊を呼び起こしたパンデミックによる3年間の中断を経て、上海協力機構の加盟国と人々は直接的交流を必要としています。
大シルクロードの真珠と呼ばれる古代都市サマルカンドでは、上海協力機構とその加盟国の利益と繁栄に寄与する新しく画期的な提案とイニシアチブをもって世界14ヵ国のリーダーを迎える準備が整っています。
この伝説的都市が上海協力機構の歴史に新たな一ページを加えることになると私たちは信じています。そしてサマルカンドの輝かしい歴史遺産がそれを後押しするでしょう。何世紀にもわたり、この都市はまるで糸のように東西南北の結び目としてヨーロッパから中国までの国々を繋いできました。
歴史的にサマルカンドは、より良く生きる、より成功する、幸せになるという多くの人々に共通する目的について「成熟した」思想と知恵の坩堝でした。そして、“友好的な隣人とは自らの富の半分であり自らは隣人にとっての祝福である、なぜならば協力、貿易、創作、学問、芸術、さらに優れた思想が人々を善くし、豊かにし、結びつける”ことを誰もが信じてきました。
こうしたユニークな性質は、今日近代的かつダイナミックにインフラ発展の進むサマルカンドを、地域的・世界的課題に対する必要な答えを話し合い、模索し、解決するために最もふさわしく求められる場へと変化させます。
人類の相互の連携性と一体性というものは、問題や課題の多くが地域レベルの対応だけでなく、世界のレベルでの対応を必要とするのと同じであります。
長年にわたり共に取り組んだ経験を踏まえ、サマルカンド上海協力機構首脳会議は、安全と繁栄の名の下、相互尊重、信頼、建設的協力の原則に基づいた新しい包括的な対話を始める一例を示すものと確信しています。
すなわちサマルカンドは、それぞれ異なる対外政策の優先方針を持つ国同士を一つにし、融和させるプラットフォームになることを意味しているのです。
歴史的にサマルカンドの世界とは単一にして不可分であると見なされており、分離されていません。これは“サマルカンド精神”という独自の現象の本質からなるものであり、これに基づき上海協力機構の枠組みを含めた国際相互協力の新たなフォーマットを作り出すことが可能です。
事実、“サマルカンド精神”とは本質的に“上海精神”を補完するものであり、このことからウズベキスタンは20年以上前に新たに必要とされる組織の設立を決めました。
したがって我々はサマルカンドが上海協力機構の活動の新たな段階が誕生する証人となることを確信しています。上海協力機構のメンバーが追加され、これからの議題が決められることは、実に象徴的な出来事であります。
来る上海協力機構の首脳会議の決定が地域レベルと同じように世界規模での対話、相互理解、協力の強化に大きな貢献をもたらすことを、我々は期待するとともに確信をしています。
ウズベキスタン共和国大統領 シャフカット・ミルジヨーエフ