愛知、岐阜、三重の弁護士によるアスベスト110番を 名古屋市で2023年11月25日開催

アスベスト・じん肺被害救済東海弁護団は、2023年11月25日(土)午前10時~午後3時に、アスベスト(石綿)健康被害についての無料電話相談会を実施いたします。
アスベスト疾患やじん肺に詳しい医師も相談に応じ、詳しい医師や病院を紹介します。秘密は厳守し、相談は無料です。

電話相談

無料電話相談会 概要

受付日時  : 2023年11月25日(土)午前10時~午後3時
電話相談番号: 050-3096-6400
実施場所  : 池田総合法律事務所
        〒460-0002 名古屋市中区丸の内1丁目17番19号
        キリックス丸の内ビル802号
主催    : アスベスト・じん肺被害救済東海弁護団
        (代表者弁護士 田巻 紘子)
概要    : 愛知、岐阜、三重の弁護士が無料でアスベスト・
        じん肺被害の救済制度・救済方法などに関する電話相談に応じます。
        アスベスト疾患やじん肺に詳しい医師も相談に応じます。
        秘密厳守。相談は無料です。

以下、アスベスト健康被害についての電話相談会の開催趣旨と、電話相談で確認可能な内容などをお伝えいたします。

1 実施の趣旨 建設アスベスト健康被害集団訴訟最高裁判決を受けて
(1)2021年5月17日、最高裁判所は、全国4か所(横浜、東京、京都、大阪)の原告団による建設アスベスト健康被害集団訴訟について統一的な判決を言い渡し、国の責任を認めました。また、最高裁は、民法719条後段の類推適用により、建材の市場占有率(シェア)の大きい建設材料のメーカーの賠償責任についても幅広く認めつつ、高裁でメーカーごとの責任の範囲や賠償額を審理し直すよう命じました。その後、各地の差戻審において続々と和解が成立しています。
最高裁は、1975年10月1日(特定化学物質障害予防規則改正時)から2004年10月1日(改正労働安全衛生法施行令施行時)の間、国により呼吸用保護具の使用義務付けなどに関する適切な規制がなされていなかったとして、同期間内に屋内の建設現場で働いてアスベストにさらされたことにより健康被害に遭われた方に対し、国の責任を認めています。なお、個人事業主として建設業に携わるいわゆる一人親方も救済の対象となっています。直近では、2023年5月31日に東京高裁、2023年6月30日に大阪地裁において、上記最高裁判決の判断を踏まえ、被災者のアスベスト疾患の主要な原因となった建材を製造・販売したメーカーのうち一定のシェアを有する建材メーカーの責任を認める判決が言い渡されました。
2022年6月7日には、建設労働者が受けたアスベストによる健康被害について建材メーカーに損害賠償を求める訴訟が全国の10地裁に一斉提訴されました。

(2)そして、上記最高裁判決を受けて、「建設アスベスト給付金制度」が2022年1月19日に施行されました。
建設アスベスト給付金制度は、建設業務に従事していた方のうち、1972年10月1日から1975年9月30日までの間に石綿の吹付け作業を行っていた方及び1975年10月1日から2004年9月30日までの間に屋内作業を行っていた方で、アスベストを原因とする一定の健康被害を受けた方を対象に、国から最大で1,300万円が支給されるというものです。
屋内作業を行っていたかどうかは個別具体的に判断されますが、一般的に屋内作業があるとされている職種として、以下のものが例示されています。
大工(墨出し、型枠を含む。)、左官、鉄骨工(建築鉄工)、溶接工、ブロック工、 軽天工、タイル工、内装工、塗装工、吹付工、はつり、解体工、配管設備工、 ダクト工、空調設備工、空調設備撤去工、電工・電気保安工、保温工、 エレベーター設置工、自動ドア工、畳工、ガラス工、サッシ工、建具工、 清掃・ハウスクリーニング、現場監督、機械工、防災設備工、築炉工
厚生労働省により公表されている建設アスベスト給付金の認定審査会の議事録によると、建設アスベスト給付金の申請は毎月100~300件程度審査されており、審査されたほぼ全ての件について認定相当と判断されています(特定石綿被害建設業務労働者など認定審査会の第21回まで累計約5,700人程度)。しかし、厚生労働省の発表によると、2010年から2020年の間に限っても約1万人の建設労働者がアスベストを原因とする労災認定を受けています。労災に加入していなかった建設労働者も多数存在することを考えると、被害救済はまだまだ進んでいません。

(3)上記最高裁判決及び建設アスベスト給付金制度は、多くの被害者が救済の対象となりうる大きな意義のあるものです。2022年6月22日に厚生労働省が公表した「令和3年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」図3-1によると、アスベスト疾患による労災認定者のうち建設業の占める割合が61.6%と最も多く、(参考URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26125.html )建設業に従事した方のアスベスト健康被害は多数にのぼっています。これは、建材にアスベストが大量に使われていたこと、国の住宅政策などによる建設需要により多くの建設作業従事者が建設作業中にアスベストにさらされたためです。
当然、東海3県においても建設アスベストによる被害者が多くおられますが、国や建材メーカーへの損害賠償請求ができることについての周知は不十分な状況です。
上記最高裁判決及び建設アスベスト給付金制度は、建設アスベストによる健康被害が広く救済される端緒となるものです。
そして、2022年10月に、厚生労働省から、「建設現場で石綿に曝露し、石綿関連疾患を発症された労働者、一人親方やそのご家族皆様へ」というタイトルの通知が被災者、及びその遺族へと発送されました。これには建設アスベスト給付金制度の概要やそのための情報提供を受けるための方法が記載されていますが、それでも十分でない場合があります。

(4)アスベスト健康被害についての国や企業への損害賠償請求については、情報提供が未だ不十分な状況であり、弁護士による支援が不可欠です。また、現在症状がない方でも健康診断を定期的に受けられる制度があり、その時々で適切な救済手段を検討する必要があります。
そこで、アスベスト・じん肺被害救済東海弁護団は、東海3県にお住まいの方を対象に電話相談会を開催することといたしました。
当日は、弁護士だけでなくアスベスト疾患に詳しい専門医も電話相談に応じます。

2 アスベスト被害救済などについての説明
アスベストは戦後の高度経済成長期に大量輸入・大量使用され、建材などのみならず、思いもかけない場面で使用されてきました。誰もがどこかでアスベストにばく露された可能性があり、アスベストにばく露された被害者は膨大な数にのぼります。また、石綿関連疾患の中皮腫は、潜伏期間が30年あるともいわれ、今後も重篤な被害を受けて救済を必要とされる方の数は増加していきます。
救済手段としては、国や建材メーカーへの訴訟提起の他、雇用主への訴訟提起、労災申請(労働者や、特別加入の一人親方)、石綿救済法に基づく救済(アスベスト工場の近隣住民などの労働者以外の方)、健康管理手帳の取得(労働者で健康被害がまだ出ていない方)などがあります。
アスベストによる健康被害は、(1)肺がん(石綿肺所見などのあるもの)、(2)中皮腫、(3)びまん性胸膜肥厚、(4)良性石綿胸水、(5)石綿肺です。救済を受けるには、アスベストによる健康被害であることを立証する必要があります。病態は様々なためにアスベスト関連疾患の専門医でなければ判断がつかない微妙なケースもありえ、アスベスト疾患の専門医による支援も不可欠です。当弁護団は専門医の協力を得ながら、適切な救済を受けられるよう支援を行います。

3 報道機関の皆様へのお願い
アスベストの被害を受けているにもかかわらず、補償を受けることができていない労働者の方々が沢山いるはずです。
毎年6月と11月に今回と同様の110番を実施していますが、報道をご覧になった方々から、多いときで1日に約80件の相談がありました。健康被害を受けた方が適切な救済を受けるきっかけになりえますので、ぜひ、電話相談会(110番)を広く報道してください。事前の告知記事を掲載いただき、電話相談会当日も、ぜひ、池田総合法律事務所に取材にお越しのうえ報道していただければと思います。

4 アスベスト・じん肺被害救済東海弁護団

ロゴ

アスベスト・じん肺による健康被害の法的救済を図ることを目的に東海3県を中心とする弁護士によって組織された団体です。
2005年の弁護団結成以来、毎年春と秋に110番(電話相談)活動を実施し、年間平均して20件から50件ほどの相談実績があります。
現時点において、弁護団としては2018年以降に集計した事件に限っても約80件の被害回復を実現し、被災者やご遺族の賠償金を受け取るお手伝いをしてきました。弁護団としては、国家賠償請求、企業に対する損害賠償請求訴訟、労災申請、石綿救済法に基づく申請、健康管理手帳の取得支援などの活動をしています。企業に対する損害賠償請求訴訟は、公表可能なものに限定されますが、直近では、2023年9月27日に名古屋地裁において、石綿曝露作業に従事して死亡した方について大同特殊鋼株式会社の子会社の責任を認める判決がなされ、2023年9月28日には名古屋高裁において、石綿曝露作業に従事して死亡した方の遺族が会社との間で相場より少額の賠償金を会社が支払うことで精算を行う旨の合意をした事案で当該合意を錯誤により無効であるとして1審に差し戻す判決がなされました。相談日から遡って7年前に亡くなった労働者について、当時の担当医からは病気についてアスベストが原因ではないと言われたことから、労災申請を諦めていた遺族から当弁護団が依頼を受け、石綿健康被害救済法(労災申請が時効となった方を対象とする救済法)に基づく申請をしたところ、仕事を行っていた際に石綿に曝露したことが原因で死亡したと認められ、特別遺族年金が受給できるようになった事例もあります。
その他、アスベスト・じん肺被害救済を目指す他の団体と共同した取り組みを行い、岐阜県羽島市でニチアス羽島工場の従業員・周辺住民を対象とする相談会を開くなど、ニチアス羽島工場のアスベスト被害問題にも取り組んでいます。
弁護団HP: http://asbestos110.jp/

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