秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」9月16日(土)より開催
平安貴族として栄華を誇った御堂関白・藤原道長。 彼は寛弘四年(1007)、自ら書写した法華経を携え平安京を出発し、 奈良県吉野の金峯山山上へ登り、蔵王権現に祈りを捧げ経筒を埋納した。
MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300 館長:熊倉功夫)は2023年(令和 5 年)9月16日(土)から12月10日(日)までの期間、秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」を開催いたします。
奈良県の吉野から大峰山にいたる山系は金峯山とも呼ばれ、藤原道長ら有力貴族が参詣する屈指の霊場でした。道長が土中に納めたお経をはじめとする多くの出土品が発見されており、本展では、近年発見された貴重な出土品を含めた、役行者、蔵王権現など、彫刻、絵画、工芸品を約200点展示し、平安人の心の拠りどころとなった「金峯山信仰」のようすを紹介します。
開催主旨
奈良県の吉野と和歌山県の熊野を結ぶ修行の道「大峯奥駈道(おおみねおくかけみち)」がユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の登録資産となって来年で二十年を迎えます。とくに「金峯山(きんぷせん)」とも称され、吉野から大峰山(山上ヶ岳 標高一七一九メートル)にいたる山系には、吉野金峯山寺(山下蔵王堂)と大峯山寺(山上蔵王堂)があり、山上において役小角(役行者)が厳しい修行のすえ祈り出したという蔵王権現を祀り、今なお篤い信仰が寄せられています。
金峯山山上は、平安時代はじめには開かれ、やがて宇多天皇をはじめ、藤原道長、師通ら皇室や有力貴族が登拝してからは「御嶽詣(みたけもうで)」と呼ばれるように多くの人々の参詣する屈指の霊場となりました。折しも仏教の教えが衰える末法の世の到来にそなえ、道長・師通らはお経を書写し、容器に納めて土中に保持する「経塚(きょうづか)」を山上に築きました。それら経塚遺物を含む膨大な出土品は、すでに明治時代には明らかになっていましたが、本展ではそれらに加え、昭和時代に行われた山上本堂修理に伴う発掘調査による出土品や近年明らかになった新資料をはじめ、「金峯山」にかかわる彫刻、絵画、工芸品を展示し、ひろく金峯山信仰のようすを紹介します。
開催概要
展覧会名: 2023年秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」
英語タイトル:
Autumn Special Exhibition Treasures and Deities of the Peak of Gold
会 期: 2023年9月16日(土)~ 12月10日(日)
会 場: MIHO MUSEUM
〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
TEL.0748-82-3411 URL: https://www.miho.jp
開館時間: 午前10時~午後5時 【入館は午後4時まで】
休館日: 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
入館料: 一般1300円、高・大生1000円、中学生以下 無料
【20名以上の団体は各200円割引】
交 通: JR琵琶湖線「石山駅」より帝産バスMIHO MUSEUM行50分、
お車で新名神「信楽IC」より約15分
主 催: MIHO MUSEUM、京都新聞
後 援: 滋賀県、滋賀県教育委員会、NHK大津放送局、BBCびわ湖放送、
エフエム京都、帝産湖南交通
監 修: 関根 俊一(帝塚山大学 名誉教授)
担当学芸員: 片山 寛明(MIHO MUSEUM特任学芸員)
辻上 祐貴(MIHO MUSEUM学芸員)
展示総数: 195件 うち国宝8点、重要文化財41件、重要美術品9件、
都・県指定文化財3件、町・村指定文化財3件、初出品69件
※ 会期中、一部展示替えがあります。
展示構成: 第1章 役行者伝説と金峯山信仰の始まり
第2章 山上本堂の解体修理に伴う発掘調査と遺物
第3章 蔵王権現
第4章 道長の金峯山参詣と金峯山経塚の遺宝
第5章 新出の金峯山経塚の遺宝
第6章 金峯山・修験道世界の完成
イベント&プログラム
講演会「金峯山の遺宝からみる王朝美」
日時:2023年11月12日(日)13:30-15:00
講師:関根 俊一 (帝塚山大学 名誉教授)
定員:100名 参加費無料(入館料要)
場所:南館レクチャーホール
予約不要。当日美術館受付棟にて整理券配布。
代表作品
鋳銅刻画蔵王権現像
平安時代 長保三年(1001) 国宝 西新井大師総持寺蔵
画像提供:TNM Image Archive
金銅藤原道長経筒
平安時代 寛弘四年(1007) 国宝 奈良・金峯神社蔵
画像提供:京都国立博物館
展示期間:10月3日~12月10日
金峯山埋経
平安時代 長徳四年(998)寛弘四年(1007) 重要文化財
藤原道長筆 東京・五島美術館蔵
展示期間:9月16日~10月15日
絹本著色熊野曼荼羅図
鎌倉時代 重要文化財 京都・聖護院蔵
画像提供:京都国立博物館
展示期間10月11日~11月5日
MIHO MUSEUMについて
自然・建築・美術品が調和した桃源郷
MIHO MUSEUMは1997年11月に琵琶湖の南、信楽の山中に誕生しました。建築設計は、パリ・ルーヴル美術館のガラスのピラミッドを設計したことで知られるI.M.ペイ。
枝垂れ桜のプロムナードを通り、銀色に輝くトンネルをくぐると、吊り橋の向こうに美術館棟が現れる設計は、中国詩に描かれた桃の花に導かれ洞窟を抜けた先に現れる楽園「桃源郷」をテーマにしています。
美術館棟は、建築容積の80%以上を地中に埋設し、建物の上にも自然を復元しています。
フランス語版のミシュランガイドで「必ず訪れるべき場所」として三ツ星を獲得しており、2017年には世界的ブランドのファッションショーの舞台ともなりました。
美術館棟エントランス
トンネルからのぞむ美術館棟
コレクション・常設展示・特別展
所蔵品は、エジプト、ギリシア・ローマ、西アジア、中央アジア、南アジア、中国、朝鮮、古代アメリカなどの古代美術と、仏教美術、茶道美術をはじめ、絵画、漆工、陶磁器などの日本古美術をあわせて約3,000件からなります。
北館では、季節により国内外からの出陳を加えて、開館ごとにテーマ性を持った特別展を開催しています。
南館では、エジプト、西アジア、南アジア、中国・西域の4つのギャラリーで古代美術の名宝を展示しています。