磯田道史の最新刊『家康の誤算』発売前重版が決定 大河ドラマの「その後」を歴史の知の巨人が徹底検証
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2023年10月28日に『家康の誤算――「神君の仕組み」の創造と崩壊』(磯田道史著/税込990円)を発売します。徳川家康は江戸幕府をひらき、巧妙な制度によって長きにわたる太平の世の礎を築きますが、その幕府も265年後に滅びました。本書は、永続するはずだった徳川政権が消えたメカニズムを、歴史の知の巨人としておなじみの磯田道史氏が徹底検証するものです。幕府の命脈を縮めた人物や政策を、「家康の誤算」をキーワードに読み解く本書への反響は大きく、書店からの注文が予想を大きく上回ったため、急きょ発売前に重版を決定しました。
最新の研究をふまえた「徳川政権消滅事故」の調査報告書
磯田道史氏は『徳川家康 弱者の戦略』(文春新書)で、「弱かった家康が、どうやって天下を獲ったのか?」を解説しました。大河ドラマでも描かれる経緯を「成功物語」とするならば、最新刊『家康の誤算』の焦点は「失敗事例」です。265年もの長期政権を可能にするほど堅固だった「家康ルール」ですが、長期化による制度疲労の結果、政権は滅亡しました。本書は、この「徳川政権消滅事故」について、最新の学術研究をふまえて作成された事故調査報告書なのです。
徳川政権を変質させた人物や政策を詳細に解説
「どんな政権も必ず衰える」と断言する著者は、現代人も「衰え」に備えなくてはならないし、そのためには成功よりも失敗のほうが為になると、本書「まえがき」で述べています。自分たちの劣化を防ぐ力は、歴史の実例を学ぶことで養われるからです。①家康がつくった平和の仕掛け、②「神君の仕組み」を骨抜きにした人物や政策、③明治以降の近現代に残る「徳川の影響」。本書は、この3つのポイントで解説します。
【こんなはずじゃなかった! 本書で取り上げる主要な「誤算」】
・家康がよかれと思って作った制度が、時代の変化で、かえって幕府を苦しめることになった
・阿部正弘や勝海舟たちが解禁してしまった海軍の再登場は、のちに倒幕派の人材も輩出した
・大名と京都を切り離すという家康や家光の仕掛けは、江戸から京都に権力が移った幕末に壊滅
・天照大神や天皇、富士山など、家康以来の「将軍を飛び越えた存在」を民衆が意識し始めた
・庶民の伊勢信仰を規制しなかったことが、徳川政権の維持にはマイナスとなった
現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」では、天下獲りのカウントダウンが始まりました。『家康の誤算』は、ドラマでは描かれない「その後」の真実に迫り、人生の役に立つ生きた歴史をお届けする一冊です。
『家康の誤算』について
著者
磯田道史(いそだ みちふみ)
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。国際日本文化研究センター教授。専門は日本近世・近代史、社会経済史。主な著書に『武士の家計簿』(新潮新書)、『無私の日本人』(文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす』『日本史の内幕』『日本史を暴く』(以上、中公新書)、『感染症の日本史』『徳川家康 弱者の戦略』(以上、文春新書)などがある。
書誌情報
タイトル:家康の誤算
サブタイトル:「神君の仕組み」の創造と崩壊
著者:磯田道史
価格:990円(10%税込)
判型・製本・頁数:新書判並製240ページ
ISBN978-4-569-85541-7
レーベル:PHP新書
発行:PHP研究所