「企業メッセージ調査2023」報告書発行、 「セット認知率」の上昇ランキング首位は、 「はたらいて、笑おう。」(パーソルホールディングス) 「ビジョンがある」のランキング首位は、 「技術で未来を創造する。」(日東電工)
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は「企業メッセージ調査2023」の結果をまとめ、9月20日に調査結果報告書を発行・発売した。国内327社の企業メッセージ420件について、認知率、理解度、好感度のほか、17項目のイメージなど様々な観点から、一般生活者が評価した。今回で、18回目の実施となる。
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調査結果データ
「セット認知率」の上昇ランキングでは医薬品、健康食品関連企業が上位に並ぶ
企業名とメッセージをセットで提示して、企業がこのメッセージを発信していることを知っているかどうかを尋ねる「セット認知率」において、前回よりもスコアが最も上昇したのは、「はたらいて、笑おう。」(パーソルホールディングス)、次いで、「取っ手のとれる、ティファール」(グループセブジャパン)となった(表1)。3位は「ありがとう いいくすりです」(太田胃散)。上昇ランキングトップ20をみると、太田胃散の他にも、「夢中になれる明日 Kracie」(クラシエホールディングス)、「ヒューマン・ヘルスケア」(エーザイ)、「人々の健康寿命延伸と生活の質(QOL)向上に向けて、予防医療やウェルネスの観点からお口の健康を起点とした全身の健康増進に寄与する製品・サービスを創造する。そして建物やモビリティを含むあらゆる生活環境において、人々が心身ともに健やかで快適な生活を一生涯を通じておくれるようトータルサポートし、世界で最も信頼できる企業の1つとして認められている。」(サンスター)、「あなたの、健康のそばに」(大正製薬)など、医薬品、健康食品関連の企業が多く入った。コロナ禍を経て、人々の健康への意識や関心が高まり、こうした業界のメッセージと企業名が結びつくようになったようだ。
■「セット好感度」の首位は、「お、ねだん以上。」(ニトリ)。上位はシンプルな表現のメッセージが占める
企業名とメッセージをセットで提示して、企業がこのメッセージを伝えることに好感が持てるかどうかを尋ねる「セット好感度」のトップ20では、日用品や食品、飲料など生活で身近な業界のメッセージが多くランクインした(表2)。首位は、「お、ねだん以上。」(ニトリ)、次いで「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」(カゴメ)、「水と生きる SUNTORY」(サントリーホールディングス)だった。上位のメッセージの特徴をみると、比較的短くシンプルに表現されており、かつ、「食卓」「満タン」「乾杯」などその業界や企業ならではの言葉をメッセージ内に上手に取り入れているものが多く、メッセージと企業活動との親和性が高いようだ。
■「ビジョン」ランキングは日東電工、アステラス製薬、田辺三菱製薬がトップ3、「環境配慮」ランキング首位は、「森を守ることは私たちの未来を守ることにつながる」(王子ネピア)
調査では、メッセージから連想されるイメージについても尋ねている。「ビジョンがある」のランキング首位は、「技術で未来を創造する。」(日東電工)となった(表3)。2位は「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変える。」(アステラス製薬)、3位は「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。」(田辺三菱製薬)と、トップ3のうち、2社が製薬会社のメッセージとなった。なお、13位にも製薬会社の「すべての革新は患者さんのために」(中外製薬)がランクインした。コロナ禍以前の調査結果では、製薬会社のメッセージは上位になかったため、コロナ禍を経て、製薬会社の発信するメッセージが、未来志向で、ステークホルダーとの間で共有する価値として説明できていると評価されていることがうかがえる。なお、トップ20の特徴をみると、「未来」を含むメッセージが6メッセージ、「地球」「世界」が5メッセージと、サステナビリティ関連の要素を含んでいるものが多かった。
「環境への配慮を意識させる」のランキング首位は、「森を守ることは私たちの未来を守ることにつながる」(王子ネピア)だった(表4)。上位のメッセージには「森」「水」「木」「海」といった環境に関する具体的な言葉が含まれているものもあれば、ビジョンと同様に「未来」「地球」といった言葉を含むメッセージもあった。さらに、「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス)や「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために。」(NTT)、「Sustainability First」(ユーグレナ)のように、「サステナビリティ」を含むメッセージもランクインした。トップ20にランクインした業界では、日用品や飲料などの業界もあれば、クボタや三井化学のようなBtoB企業もある。多くの業界で、環境を意識したメッセージを発信しており、今回それらのメッセージが上位に入っている。
表1. セット認知率 上昇順位トップ20
※セット認知率………メッセージと企業名を提示して、「企業がこのメッセージを発信していることを知っていたか」と質問。知っていたと答えた回答者÷回答サンプル数×100。
この表は、前回と比較して上昇ポイントの高かった順位。
表2. セット好感度トップ20
※セット好感度………企業名とメッセージをセットで提示し、「あなたはこの企業が伝えるこのメッセージについてどのように感じましたか。」と質問。
好感度に関する5段階の各選択肢(「とても好感が持てる」~「全く好感が持てない」)にそれぞれ加重値を与え、-100~100間でスコア化。
表3.「ビジョンがある」トップ20
表4.「環境への配慮を意識させる」トップ20
調査概要
調査名称 : 「企業メッセージ調査2023」
調査機関 : 日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
調査方法 : インターネット調査
調査対象者: 全国の一般生活者(インターネットユーザー)
調査期間 : 2023年7月28日~8月2日
告知方法 : 調査協力依頼メールを配信
回収数 : 30,174件
URL : https://consult.nikkeibp.co.jp/branding/solutions/cm/
調査目的
・一般生活者の企業メッセージへの認知、理解、好感とイメージなどを測定する
・企業メッセージがその企業を象徴したもの、代表性のあるものになっているか、また、効果的で適切なものかを判断する指標を提供する
・効果をあげている企業メッセージに共通する要素や使用法を明らかにする
・基本的なデータと、効果的な企業メッセージの選定、使用を考える上で役立つ情報を提供する
※企業メッセージについて
この調査では、『企業や企業グループが、自社のコンセプトや理念、姿勢、方針などを社外(消費者や取引先など)や社内(自社及びグループ企業の従業員)に伝え、浸透させるために全社的に一貫して使用しているフレーズや文言』という定義づけをしている
調査内容
・各企業メッセージに対応する企業名を自由記入式で尋ねる設問
・各企業メッセージの認知、理解、好感、イメージなどの設問
・一般生活者の属性(年齢、性別、職業)
調査対象メッセージ
420メッセージ(企業数:327社)。
当社で、上記定義に当てはまると判断した国内主要なメッセージをノミネート。一部、事前調査で確認したものも含む。
※特定の事業のメッセージを含む場合もある。調査票及び報告書では、調査時点での企業名を用いた
日経BPコンサルティング
日経BPコンサルティング:日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)