宮城・静岡・愛媛・長崎・沖縄の5エリアを 2019年度「海ノ民話のまち」認定地域を決定  子供たちに語り継ぎたい「海の民話」をアニメーションで制作

海ノ民話のまちプロジェクト実行委員会は、子供たちに語り継ぎたい「海の民話」をアニメーションで制作する本プロジェクトの、2019年度「海ノ民話のまち」認定地域として、宮城・静岡・愛媛・長崎・沖縄の5エリアを認定いたしました。

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「海ノ民話のまちプロジェクト」は、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」の一環として実施するもので、海と深く関わりを持つ日本という国の「海との関わり」と「地域の誇り」を、子供たちに伝え語り継ぐことを目的とし、2018年に発足したプロジェクトです。
本プロジェクトでは、日本中に残された海にまつわる民話を発掘し、その民話のストーリーとその民話に込められた「思い」「警鐘」「教訓」を、親しみやすいアニメ等の映像表現で、次の世代を担う子供たちへ、そして、さらに次の世代へと語り継いでいます。
2018年度は、北海道「寿都(すっつ)の風泙(かざなぎ)さま」、静岡「亀の松」、愛媛「おなべ岩」、長崎「高麗島(こうらいじま)の伝説」、沖縄「海の神と陸の神」の5エリアの民話を「海ノ民話のまち」として認定し、民話の内容をアニメーション化、公式サイトにて展開( http://minwa.uminohi.jp/ )して各地域でも上映会などを開催しました。
2年目となる2019年は、宮城・静岡・愛媛・長崎・沖縄にある5エリアを「海ノ民話のまち」として認定しました。昨年と同じく民話の内容をアニメーション化し、公式サイトへ展開。さらに認定委員長が「海ノ民話のまち」認定証授与のために、各エリアを表敬訪問する予定です。

●2019年度認定地域

宮城県宮城郡七ヶ浜町

民話名:大根明神のアワビ祭り
テーマ:海に生きる人々の信仰

あらすじ

花渕浜の沖合いに、かつて(869年)の大地震で、海の底に沈んだ大根明神があります。この辺りの岩礁には、昆布やアワビなど、豊かな海の恵みがありますが、ここに船が近づくと、どんなに波が静かな時でも逆波が起こり、船が転覆しそうになるので、漁師たちは「大根様(おおねさま)」と崇め、めったに近づきません。ある時、欲張りな漁師が、穴場となっている大根明神の近くで漁を行い、大きな利益を得ました。味をしめた漁師は、他の漁師たちの忠告にも耳を傾けず、神を畏れず、大根大明神で漁を続けました。しかし、ある時、突然海が荒れ始め、おおしけとなりました。船が波にもまれ、みしっと大きな音がしたかと思うと、船底に穴が開いてしまいました。漁師が水を汲み出しても間に合わず、ついに船は沈みかけてしまいます。船頭は、花渕浜の鼻節神社の方に向かって手を合わせ「鼻節様、どうか助けてください!」と一心に拝みました。すると、今まで勢いよく吹き出していた水がぴたりと止み、船は無事、花渕浜にたどり着くことができました。船頭が船底を見てみると、なんと、そこには大きなアワビがくっついて、穴を塞いでいました。欲張りすぎた漁師は改心し、 信心深く、漁でも節度を保つようになりました。現在も、鼻節神社では、大根様の近くで獲れたアワビを供え、海の安全と大漁を祈る祭りが行われ続けています。

静岡県焼津市

民話名:甚助さんの板子
テーマ:海のそなえ

あらすじ

甚助は日頃から小川のお地蔵様に手を合わせる信心深い青年だった。甚助は天気を予想するのが得意だった。この特技は、焼津の船乗りたちに重宝された。ある日、甚助は、焼津から讃岐へ向けて出航する船に乗ることになった。甚助は天気が荒れることを予見して、船頭に進言したが、一刻も早く荷を届けなければならなかった船は出港した。船が沖を航海していると、甚助の言う通り、天候が荒れ始めた。船は台風に遭遇してしまったのだ。激しい荒波に揉まれ、船は砕け、船乗りたちは全員、海に投げ出されてしまった。甚助は、板子にしがみつき、荒波に耐え続けた。いつの間にか仲間たちの姿は見えなくなっていた。
真っ暗闇の中で、板にしがみつき、大海を漂っている甚助。心細く、死をも覚悟していると、目の前に仲間たちの姿が浮かび上がる。だが、皆はまるで、陸地にいるように海面に立っている。そして、あるものは、甚助の名を呼び続け、ある者は怒っている。皆、幽霊のようだ。ある者が、『甚助よ、念仏を唱えろ』と言うので、甚助が念仏を唱え始めると、足に激しい痛みを感じた。その瞬間、甚助は目を覚ました。甚助は力尽きて、もうろうとしていたところ、クラゲに刺された痛みから、意識を取り戻したのだった。もしも、眠ってしまっていたら、きっと助からなかっただろう。陸を目指して泳ぎ続けた甚助は、大きな船に助けられ、たった一人の生還者となった。甚助は、日々、小川のお地蔵様にお参りと、天気が悪いときの仲間への忠告を欠かさない。

愛媛県松山市

民話名:おたるがした
テーマ:災害と復興

あらすじ

昔むかし、ある日の夕方、ゴーッという地鳴りと共に、島がグラグラ揺れました。長老が「山へ逃げろ。津波じゃ~!」と言うと、村人たちは、ひとり残らず、みな山へ逃げました。そのすぐ後に、海がむくむくともりあがり、たちまち村をのみ込んでしまいました。村人たちは、長老の言う通り、全員が急いで逃げたので、誰一人として死なずにすみました。命は助かりましたが、家はこわれ、畑も流されて、村にはガレキが散乱しています。大人たちが途方にくれていると、突然、子供たちが笑い出しました。「こんな時に、笑うとは何事じゃ」と、怒った村人たちが集まると、そこには、人間の物とは思えない、大きな「樽」が転がっています。「なんじゃこりゃ?津波でわしらのものは何も残らんかったのに、こげん大きな樽がひとつだけあるぞ」と、誰かが言いました。すると、長老が「こりゃ、きっと、トンマの巨人の忘れ物じゃ」と、言いました。「そりゃええわい!」と、一人の村人が笑い出し、それにつられて、村人たちは、いつの間にか全員で「わっはっはっはっ」と、涙を流しながら笑いました。大声で笑うと、不思議と勇気が湧いてきます。畑はなくなりましたが、人々が食べ物に困ることはありませんでした。豊かな海の恵みにより、村人たちは力を得て、村の再建のため、働くことができました。やがて新しい村ができました。樽のあったと言われる場所は、今も「おたるがした」と呼ばれています。

長崎県佐世保市

民話名:一里島
テーマ:海と陸の成り立ち

あらすじ

長崎県は日本で最も多くの島があることで知られています。その数594島(県公式ウェブサイトより)。長崎県佐世保には208もの島からなる、豊かな自然に恵まれた、九十九島という海域があります。その九十九島のお話です。むかしむかし、美しい月夜の晩に、佐世保の沖にある100の島たちがのんびりと話しをしていました。島の大将の松浦島が「今夜は、みんなで集まって、久しぶりにのんびり酒を飲もうじゃないか」と言いいました。まわりの島々も賛成し、移動を始め、佐世保湾の中にあつまりました島たちはお酒を飲んだりして、歌を歌って大いに宴を楽しみました。一番若い一里島は、初めての宴会に大喜び。宴会では、美しい景色に囲まれ、美味しいお酒と食べ物が次から次に振る舞われます。ここ(佐世保湾)はなんと居心地が良い所なのでしょう。一里島は、すっかりくつろいで、飲み過ぎてしまいました。しかし、夜が明ける前に元の場所に帰らなくては、島たちは二度と戻れなくなってしまいます。夜明けが近いことに気がついた大将の松浦島が「さぁ、みんな、そろそろ帰るぞー!」と呼びかけましたが、酔って寝てしまった一里島だけは全く起きません。仲間の島々はどうすることもできず、一里島をおいて元の場所に帰りました。こうして佐世保湾の中に一里島だけがぽつんと取り残されています。その時、百あった島が一つ減ったので、人々は、九十九島と呼ぶようになりました。

沖縄県南城市

民話名:奥武観音堂由来
テーマ:海で繋がる異国文化

あらすじ

琉球王国の周辺の海域は、様々な国の様々な船が忙しく行き交う、船の交通が活発なところでした。長い歴史の中で、沖縄の人々は、海を通して、多様な文化に触れてきました。ある時、奥武島に、遭難した異国の船乗りたちがたどり着きました。島の人々は、彼らに着物を与え、焚き火で冷えた体を温めたり、お粥を炊いてあげたりして、手厚く介抱しました。聞けば、船乗りたちは朝鮮の新羅の者たちで、船が難破して、この場所に流れ着いたのだといいます。見知らぬ島に上陸するのをためらっていると、島の山頂に白衣の美女が現れて手招きするのが見えたので「天の助け」と、安心して上陸したのでした。その美しい女の人は、この島の守り神で、優しい心を持った島の人々がいることを知らせたのでしょう。やがて、船は元どおりになり、船乗りたちは、故郷の新羅へと帰って行きました。首里の王様に、新羅から金の仏様が贈られてきました。手紙には「仏像を『奥武』に安置してほしい」と綴られています。「奥武」という場所は何箇所もあるので、王様が困っていると「玉城奥武島の人々が異国の船乗りを助けた」という話が伝わってきました。そこで、王様は玉城の奥武島に観音堂を建て、観音様を安置しました。現在も、5年ごとに奥武観音堂祭が行われています。先祖の良い行いと、朝鮮半島から送られた観音像が結びつき、海の神として島の人々を見守っています。

●認定委員

認定委員長

沼田心之介(監督/プロデューサー)

沼田心之介
沼田心之介

2005年 株式会社東北新社 入社
2012年 株式会社トマソン 入社
「ふるさと再生 日本の昔ばなし」音響監督、脚本、演出担当、
「ふるさとめぐり 日本の昔ばなし」では監督を兼務。
2018年 文化庁若手アニメーター育成事業 あにめたまご「ミルキーパニック」監督
2019年 けものフレンズ2 アニメーションプロデューサー

認定委員

杉井ギサブロー(演出家、アニメ監督、日本画家)

杉井ギサブロー
杉井ギサブロー

1940年、静岡県生まれ。アニメーション監督、日本画家。58年、東映動画に入社。『白蛇伝』(58)、『少年猿飛佐助』(59)、『西遊記』(60)のアニメーターとして活躍した後、61年に虫プロ創立に参加。TV「鉄腕アトム」の作画や演出、「悟空の大冒険」の総監督、「どろろ」の総監督などを担当。69年、田代敦巳らとグループ・タックを結成し、映画『クレオパトラ』(70)の原画や『哀しみのベラドンナ』(73)の作画監督・原画を務める。74年、『ジャックと豆の木』で劇場用アニメ監督デビュー。85年、宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』をアニメ化し、毎日映画コンクール大藤賞を受賞。その後も『紫式部 源氏物語』(87)、『あらしのよるに』(05)などを監督。10年、文化庁より映画功労賞が贈られた。

認定委員

すぎはらちゅん(CGアニメーター、脚本家、映像作家、歌舞伎イヤホンガイド解説員)

すぎはらちゅん
すぎはらちゅん

2008年函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞にて「アイヌ神謡集」の著者である知里幸恵の人生を描いた長編シナリオで林海象賞を受賞。
2014年短編アニメーション映画「七五郎沢の狐」を発表し、国内外の約40の映画祭でノミネート、そして公式上映され、アルバニア国際環境映画祭 短編部門最優秀賞のほか3つの賞を受賞。2014年~2017年「日本の昔ばなし」シリーズの脚本を担当。

認定委員

糸曽賢志(映画監督、大学学部長、経営者)

糸曽賢志
糸曽賢志

映像監督、大阪成蹊大学 造形芸術学部長・教授。スタジオジブリの宮崎駿監督に師事後、実写・アニメを問わず作品を発表。「遊戯王」カードイラスト、劇場アニメ「夢みる機械」演出、「SMAPコンサートツアー」映像監督、劇場版「進撃の巨人」オープニングプロデューサー、劇場アニメ「サンタ・カンパニー」総監督など手がけている。クラウドファンディング活用した作品製作に造詣が深く、ギネス世界記録にも登録されている。

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