【名城大学】ノーベル賞候補の飯島澄男終身教授が記者と懇談

2023年ノーベル賞の発表は物理学賞が10月3日(火)、化学賞が4日(水)

カーボンナノチューブを手に質問に答える飯島終身教授

カーボンナノチューブ(CNT)の発見でノーベル賞受賞が期待される飯島澄男終身教授と記者との懇談会が9月14日、天白キャンパスで開催されました。東京なども含めて12社の記者が出席し、オンラインでも2社が参加。飯島終身教授は最先端のCNTの応用研究や近況などについて語りました。2023年のノーベル賞は物理学賞が10月3日(火)、化学賞が4日(水)に発表されます。

懇談会は質疑応答形式で進行しました。初めに、飯島終身教授は84歳になられた今でも元気に自転車で通勤していることについて「唯一の運動の機会で、健康のため」と明かし、自宅から大学までは坂道が多いことから「帰りは上りで…」と苦笑い。また「ぼけ防止で」という趣味のフルートでは、ギターマンドリン合奏団の依頼で昨年11月の大学祭で演奏を披露したことを紹介しました。

CNT発見の経緯を問われ「準備してきたからこそ、チャンスに巡り合えた」

光を当てると音が出るデモンストレーションを記者の前で実演

続いて、CNTに白色LEDの光を当てると音が出るデモンストレーションを実演し、自ら記者に近づいて音を聴かせる場面も。電話を発明したベルが1881年に報告した現象で「光を当てると周波数を遮断するために音が出る」と解説。いろいろなタイプのダイヤモンドの粉(パウダー)でも光を当てた実験を行い「音を聴いて粉の大きさが分かる」と述べて活用法の一端を披露しました。

飯島終身教授がCNTを発見してから30年余りが経ちますが、あらためて発見の経緯を問われた中で、「セレンディピティ」(幸運な偶然)という言葉を挙げながら「偶然に巡り合うにはよく準備することが必要。それまで私は電子顕微鏡の操作を20年以上続けていて、経験があった。CNTは技術がないと見ることはできず、準備してきたからこそ、チャンスに巡り合えた」と、研究や実験に必要な心構えを伝えました。

CNTの最先端の応用例や若い世代に向けたメッセージも語る

大学の講義のように解説

CNTの論文引用数が依然として伸びていることに、飯島終身教授は「世界中の研究者が興味を持ってCNTを活かす努力を続けている」と振り返り、最先端の応用事例としてCNTを使ったエックス線発生装置を活用した空港の荷物検査機器などを紹介。さらに「バイオの人たちがおもしろがっている」とバイオへの応用の研究が進められていることや、シリコンに代わるデバイスになる可能性なども列挙しました。

飯島終身教授はCNTの応用の今後について「家庭の中の鍋や釜に相当するような一般の人たちが日ごろ使うものの応用に発展すれば」と期待し、日本の研究現場の課題として「競争力を高めて世界に発信していかなければ」と指摘。若い世代に向けて「スマホばかり見るのではなく、外に出て自分の目で見て自然を観察する。そんなアプローチをして自然を見る目を養ってほしい」とメッセージを送りました。

カーボンナノチューブの模型も用意
この日も自転車で通勤
記者からは次々と質問が
終了後にはフォトセッションも
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