『鬼滅の刃』の「全集中の呼吸」は現実でも使える⁉︎ 自律神経の名医が健康効果を検証
大ヒット漫画『鬼滅の刃』の連載が、人気絶頂のなか5月18日に最終回を迎えました。
コミックスの累計発行部数は6000万部を突破し、その魅力にとりつかれる人が世代を超えて増え続けています。
『鬼滅の刃』では、人間離れした力を持つ鬼を倒すため、主人公をはじめとする鬼殺隊の隊士たちが「全集中の呼吸」という呼吸法を取り入れ、鬼に対抗する力を己の体から引き出しています。
「全集中の呼吸」は、肺に酸素をたっぷり取り込み、血液中の酸素濃度を高める呼吸法で、一瞬にして高い集中力と身体能力を手にすることができるとされています。
このように『鬼滅の刃』は全編にわたって「呼吸」をカギにしていて、ファンの間では「自分も全集中の呼吸をしてみたい!」なんて声が多いそうです。
医学的に見ると「全集中の呼吸」は正しいのか?
「呼吸によって血液中の酸素濃度を高める」ことは、実際に可能なのでしょうか。
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』(アスコム)を刊行した順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生は、次のように言います。
「呼吸によって肺に取り込まれる酸素は、血液に溶け込み、毛細血管を経由して全身の細胞に届けられていきます。ゆっくりと深く呼吸をすれば、肺に取り込まれる酸素量が増え、酸素を運ぶ全身の血流量もアップします。その結果、全身の細胞の活性化につながるでしょう」
つまり、呼吸のやり方によっては、本当に体の回復を早くさせたり、力を引き出したりすることができるそうだ。
「私の研究では、ゆっくりと深く呼吸をすることで、すぐに毛細血管の血流量がアップすることを確認しています。つまり呼吸には、一瞬で体の状態を変える力があるのです。呼吸法ほど即効性の高い健康法はありません」
呼吸にそんなパワーがあったなんて驚きですが、小林先生は、無意識にできてしまう呼吸は1日2万回以上しているにもかかわらず、おざなりにしてしまいがちだと指摘します。
おざなりな呼吸をしていると、体にどんな変化となって表れるのか。
実は呼吸の質の良し悪しによって、さまざまな体調不良の原因にもなっていくそうです。
現実に行うなら「長生き呼吸法」がオススメ
そこで小林先生は、呼吸の質を高めるための方法を考案。それが「長生き呼吸法」です。1日たった1分、「長生き呼吸法」を行えば、だれでもゆっくりと深い呼吸ができるようになると言います。
「『長生き呼吸法』は、自律神経と腸内環境を同時に整えることができる呼吸法です。
呼吸のときは、吐く時間を長くします。吐く時間を長くすると、リラックス効果のある副交感神経が刺激されて、自律神経を整えることができます。
また、腸のマッサージをしながら呼吸をするので、腸内環境も良好になります。
ゆっくりと深く呼吸をすれば、全身の血流量もアップしますから、免疫力の向上も期待できるでしょう」
なんと「長生き呼吸法」は、自律神経と腸内環境、そして血流、免疫力と、健康体になる上で欠かせないトピックをまとめて良好にできてしまうのです。
その結果、「疲労回復やさまざまな生活習慣病の改善が期待でき、さらには、ここ一番で集中力を高めたり、メンタルを安定させたりと、仕事のパフォーマンスアップにも有効」と小林先生は解説します。
「呼吸」を「病滅の刃」として活用しよう!
「全集中の呼吸」は、最終的に24時間ずっと行うことが隊士たちの目標でした。実は「長生き呼吸法」も目指すところは同じ。
「長生き呼吸法」をすると、始めたその日から、頭がスッキリして、爽快な気分を味わえます。それを毎日の習慣にしていると、意識しなくても、いつもの呼吸がゆっくりと深い呼吸に変わっていくのです。
結果、呼吸をしているだけで、病気や不調を遠ざけてくれる強靭な体を築くことができます。
たしかに、こんなに手っ取り早い健康法は他に見当たりませんね。
『鬼滅の刃』で呼吸の重要性に気づいた方は多いでしょうから、この機会に、ご自身の呼吸と向き合ってみる時間を作ってどうでしょうか。
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』では、最新医学の見地から呼吸の大切さをわかりやすく解説し、「長生き呼吸法」のやり方を写真つきで紹介しています。
新型コロナウイルスの影響で、生活のリズムが崩れ、心身に不調を抱えている人は少なくないでしょう。ぜひ「長生き呼吸」を「病滅の刃」として活用してみてください。