電波の進行方向を変える透明メタサーフェス屈折フィルムを開発
~ミリ波5G等の直進性の高い次世代通信のサービスエリアの拡大に貢献~
京セラ株式会社(代表取締役社長:谷本 秀夫)は、電波の進行方向を所望の方向に変えることができる透明メタサーフェス屈折フィルムを開発しましたのでお知らせいたします。窓ガラスやアクリルスタンドなどに貼り付けることで、景観に配慮しつつ、高い周波数を用いたミリ波5Gや6G等のサービスエリア拡大に貢献します。
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透明メタサーフェス屈折フィルム
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ユースケースイメージ(屋内への引き込み)
透明メタサーフェス屈折フィルムの特長
(1)透明で薄く、フレキシブルなフィルム形状を実現。多様な場所へ、容易に設置可能
(2)様々なサイズや組み合わせで設置可能。柔軟なエリア設計に貢献
開発背景
5Gで用いられているミリ波(28GHz帯)や、今後6Gに向けて検討されているさらに高い周波数帯の電波は直進性が強いため、障害物により基地局から見通しが得られない場所では安定した通信品質を確保できないという課題があります。そこで京セラは、基地局からの電波の進行方向を曲げることができるメタサーフェス屈折板※1の開発に取り組んできました。今回新たに、景観に配慮し、より簡易的な設置ができるよう、透明でフレキシブルな屈折フィルムを開発しました。耐候性を重視したい場合には従来の基板タイプを、景観を重視したい場所ではフィルムタイプを選択するなど、設置形態に応じて柔軟なエリア構築のソリューションを提供します。
※1 従来の基板タイプメタサーフェス屈折版について:
https://www.kyocera.co.jp/newsroom/news/2022/001852.html
開発品の特長
(1)透明で薄く、フレキシブルなフィルム形状を実現。多様な場所へ、容易に設置可能
独自の素子構造により、従来の基板タイプの屈折板と同様の高い電波屈折特性を維持したまま、フィルム型の形状を実現しました。接着層、メタマテリアル層、保護層の構成で、厚みは約200μmに抑えています。これにより、特別な設置工事が不要で、窓やアクリルスタンドなど既存の構造面に貼り付けるだけで、電波の中継点としてサービスエリアを拡張できます。
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開発品外観
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屈折フィルムの層構成
また、メタマテリアル層内の導体には透明電極を使用しており、可視光透過率の測定値は80%以上と、高い透明度を有する屈折フィルムを実現しました。これにより、貼り付け先の構造物のデザインに影響を与えず、景観に配慮した設置を可能とします。また、フレキシブルな特長を生かし、曲面構造への設置も可能です。
(2) 様々なサイズや組み合わせで設置可能。柔軟なエリア設計に貢献
一般的に屈折フィルムや屈折板のサイズに比例して、電波の到達範囲は広がります。従来の基板タイプの屈折板は用途に合わせて任意のサイズに製造できますが、板状のため製造後のサイズ変更は困難でした。しかし、新たに開発した屈折フィルムは、製造後でも希望のサイズにカットができ、また並べて貼り付けることでサイズを模擬的に拡大することが可能です。さらに、屈折角度は0~60°の範囲から選択いただけます。様々なサイズや屈折角度の異なるフィルムを組み合わせることで、自由自在なビーム設計が可能となり、柔軟な通信エリアの構築に貢献します。
5G電波を用いた実験結果
屋内に設置されたミリ波(28GHz帯)5Gの環境を用いて、屈折フィルムの効果を確認する試験を実施しました。基地局から見通しが得られず、受信電力が低い地点に端末を配置して、窓ガラスへ屈折フィルムを貼り付けた際の伝送速度を測定しました。屈折フィルムの貼り付け前後でダウンリンクにおける伝送速度が最大で2.7倍、アップリンクにおいては5.2倍に向上することを確認しました。
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5G基地局を用いた効果確認試験
当社は、他社に先駆けて5G 通信のカバレッジの課題解決に取り組み、メタサーフェス技術の開発に取り組んできました。本透明メタサーフェス屈折フィルムは社会実装を目指し、商用化に向け取り組んでまいります。引き続き、情報通信分野の発展を支える先進的なソリューションを創出し、社会に貢献していきます。
「MWC Barcelona 2025」出展について
京セラは、本開発品を、2025年3月3日(月)~6日(木)にスペイン・バルセロナで開催される世界最大級の通信技術関連展示会「Mobile World Congress Barcelona 2025」に出展いたします。
会期
2025年3月3日(月)~6日(木)
公式サイト
https://www.mwcbarcelona.com/
会場
Fira Gran Via(スペイン・バルセロナ)
京セラブース
Hall5 5E12