「全国風穴サミットin信州 小諸」約1,000人の参加で終幕  世界遺産「荒船風穴」で2018年に「風穴サミット」が開催決定

~富岡製糸場の繭づくりを支えた小諸・荒船の二大風穴~

第4回全国風穴サミットin信州小諸実行委員会(実行委員長:大西 崇弘)は、2017年9月2日・3日、長野県小諸市において「全国風穴サミット」を開催。シンポジウム、パネル展示、バスツアーなどが開催されたサミットには約1,000人におよぶ参加者が来場しました。

300年以上に渡り使われている「小諸風穴」は今も現役

自然を利用した冷蔵庫として、江戸時代から食料や酒、氷などの貯蔵に利用された風穴は、明治時代に入り「蚕種」と呼ばれる蚕の卵の貯蔵にも利用されました。当時、小諸や周辺である富岡製糸場(群馬県富岡市・2014年 世界遺産登録)の養蚕業を支える重要な存在でした。

日本全国にはかつて300基以上の風穴が存在し、小諸には大久保・氷地区を中心に14基もの風穴がありました。いまなお現存する風穴は全国で20基、小諸には4基が残り、そのうちの1基は、現在も穀物や漬物、収穫した菊の保存などに活用され続けています。周辺にある3基については、1基は見学可能なように整備され、2基は修復可能な状態を保っており、たいへん貴重な存在となっています。

サミット初日のシンポジウムには日本全国から

9月2日に行われたシンポジウムは、駒沢大学講師の清水 長正氏による基調講演で幕を開け、夏も冬もほぼ湿度100%、夏場の内部温度も1.4度と極めて低温を保つ小諸市氷地区の風穴の特徴を紹介。
また、絹とアンティークストッキング収集研究家の鴇田 章氏による講演では、明治時代、風穴で貯蔵された卵から孵化した蚕によって生み出された絹糸がフランスに輸出され、ストッキングとして活用されていた歴史が語られます。
この他に、北海道大学低温科学研究所の曽根 敏雄氏や「氷風穴の里保存会」会長の前田 富孝氏、一般社団法人長野県建築士会 佐久支部の荒木 貴志氏による事例報告が行われ、風穴の歴史的価値などが話し合われました。
この日のシンポジウムに集ったのは、歴史学や地理学、民俗学などの研究者や愛好家などおよそ200人。長野県内のみならず、群馬、東京、神奈川、千葉、埼玉といった関東各都県、さらに北海道、秋田、福岡、広島など遠方からも参加者が訪れました。

風穴体験と小諸歴史巡りのバスツアー

翌9月3日には、一般社団法人こもろ観光局が「風穴体験バスツアー」を開催。人気が高く、参加申込みは事前に満員となり、多くの風穴ファンが小諸市氷地区に現存する風穴群を見学しました。
うっそうとした雑木林のなか、ひんやりとした空気が足元に吹き出してくる風穴に、参加者の多くが「神々のいる風穴」としてパワースポットを感じていました。現地の荘厳な雰囲気に包まれるなか、地元区長の土屋 清さんによる風穴群の解説に皆さんが聞き入っていました。
また、このバスツアーでは、北国街道小諸宿といった市内の名所旧跡も巡り、風穴によって生み出された「糸のまち」小諸の歴史を学びました。

動員人数は1,000人!PRにより小諸市民の風穴への理解も

この他にも、同時に開催された「こもろ風穴まつり」では、パネル展示や体験コーナー、蚕に関連したブースの出店などが行われ、数多くの市民が来場。「全国風穴サミットin信州小諸」2日間ののべ動員数は1,000人に到達しました。
しかし、風穴サミットの効果は動員数だけにとどまらないと、実行委員長の大西 崇弘さんは語ります。「サミット参加者だけでなく、市民はじめとした多くの皆様に、風穴や小諸の歴史、日本の蚕糸の歴史を知っていただくことも大切な目的でした。2017年4月に開催したプレサミットをはじめ、チラシ、ポスター、冊子『風穴と糸のまち・小諸』『信州シルクストーリー』の配布、地元ラジオへの出演などの広報活動を通じて、みなさまに風穴の魅力を広めることができたのではないでしょうか」。
また、「今回の風穴サミット開催を通じて、風穴の整備が行われたことも、今後の利用促進に大きな効果を与える」と、大西 崇弘さん。さらには「今回のサミットの開催によって、『氷風穴案内マップ』の作成や、立派な石標の設置、駐車場をはじめとする風穴群見学のための整備がなされました。小諸の宝として風穴が認識されることによって、小諸の歴史を知り、小諸の魅力に気づいた市民も多いようです」と、その成果を語りました。

次回「風穴サミット」は、世界遺産「荒船風穴」で開催

これまで、2014年の第1回が長野県大町市、2015年の第2回が島根県出雲市、2016年の第3回が長野県上田市で開催されてきた「全国風穴サミット」。第5回目となる次回は、2018年に群馬県下仁田町で開催されます。
下仁田町には、富岡製糸場とともに世界遺産に認定されている「荒船風穴」が現存しており、小諸市の養蚕業とも深いつながりがあります。大西 崇弘さんは「これからも下仁田町と連携をし、風穴の魅力を伝えていきたい」と今後に向けた意気込みを語りました。

長野県小諸市とは

長野県小諸市は、人口42,723人(2017年7月1日現在)。雄大な浅間山の南斜面に広がり、市の中央部を千曲川が流れる詩情豊かな高原都市です。
東京から約150km。車で2時間半・電車で約1時間半とアクセス抜群です。軽井沢町からは車で約30分です。

満員のシンポジウムは熱気あふれる
子供たちも蚕に興味深々
パネル展示で役割や歴史を理解
実行委員長 大西 崇弘さん
小諸 氷風穴群跡
風穴蚕種、繭、蚕、桑の葉
会場内が満員のためモニター中継を実施
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