【岡山理科大学】兵庫県で発見の角竜類の化石 新属新種と確認

「ササヤマグノームス・サエグサイ」と命名 理大の千葉講師ら

2024-09-04 13:00
新属新種の角竜類を確認した研究グループの(左から)千葉講師、田中准教授、発見者の足立さん、池田教授(復元画は©Kanon Tanaka_田中花音)

 岡山理科大学、兵庫県立大学、兵庫県立人と自然の博物館などの研究チームは、兵庫県丹波篠山市で発掘された恐竜化石が新属新種の角竜(つのりゅう)類であることを解明し、「ササヤマグノームス・サエグサイ」(Sasayamagnomus saegusai)と命名しました。研究成果は英国の国際学術誌「Papers in Palaeontology」に掲載されました。角竜類と断定された化石が見つかったのは国内で初めてです。

 兵庫県庁で9月3日、田中公教(とものり)・兵庫県立大学准教授・人と自然の博物館主任研究員と、千葉謙太郎・岡山理科大学生物地球学部講師、池田忠広・兵庫県立大学教授・人と自然の博物館主任研究員、発見者の地質愛好家、足立洌(きよし)さんが記者会見して発表しました。

 それによると、この恐竜化石は、前期白亜紀(約1億1000万年前)の地層が分布し、国内最大級の恐竜化石産地として知られる丹波篠山市で2007年~2008年に発見されました。その後の追加調査で見つかった角竜類の標本も含め、合計17点の化石を詳しく調べた結果、15点が頭骨で1点が烏口骨(肩の骨)、1点が脛骨(後ろ足の骨)であることが判明。このうち頬骨に独特の突起があり、烏口骨にコブがあるなど他のどの角竜類にも見られない3つの特徴をもつことが分かり、新属新種の角竜類と確認されました。
 「ササヤマグノームス」は「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」の意味で、「サエグサイ」は、長年に渡って篠山層群から見つかる脊椎動物化石の調査・研究を先導してきた兵庫県立人と自然の博物館の故・三枝春生博士の名前からです。

 ササヤマグノームスは、これまで日本で発見された角竜類化石では最も保存状態の良い標本で、角竜類におけるユーラシア大陸最東端の化石記録となります。角竜類は、トリケラトプスに代表され、多くの種で目や鼻の上の角や、頭の後ろに伸びる大きなフリルを持ちます。しかし、今回発見された恐竜は原始的な仲間であるため、角を持たず、また小さいフリルしかもっていませんでした。全長は約80cmだったと推定されますが、脛骨内部の微細構造や成長輪を観察したところ、成長途中の若い個体であったことも判明したため、成体はもう少し大きくなったと考えられます。

 会見では、この化石が持つ意義などについて
 ① 系統解析の結果、ササヤマグノームスは北米の原始的な角竜類と近縁である。
 ② アジアで誕生した角竜類が北米へと渡った時期が1億1000万年前頃であった可能性がある。
 ③ 白亜紀中頃に(かつて陸続きだった)ベーリング陸橋の形成と極端な地球温暖化が、同時に起こったことが原始的な角竜類の生息域拡大を可能にしたのではないか。
 という3点が指摘されました。

 千葉講師は「篠山層群からは恐竜だけでなく様々な動物の化石が見つかっています。今回の角竜が北アメリカの恐竜と近縁であることから、今後、篠山層群の動物化石を研究することで、北アメリカとアジアでどのように動物相が関連しあいながら進化していったかを知る、大きな手がかりになることが期待されます」と話しています。

 ササヤマグノームスの化石は9月4日(水)~11月10日(日)、兵庫県三田市の県立人と自然の博物館3階「兵庫の恐竜化石」で展示されます。

ササヤマグノームスの復元画(©Kanon Tanaka_田中花音)
ササヤマグノームスの化石。頭骨、烏口骨、脛骨がバラバラの状態で発掘されました。推定される頭骨の大きさは長さ約13cm、高さ約8cm(兵庫県立人と自然の博物館提供)
記者会見する(左から)田中准教授、足立さん、千葉講師、池田教授
大勢の記者が詰めかけた記者会見
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