冬季の夕暮れ時は自転車事故に注意!  コロナ禍で自転車通勤が増加  自転車の安全利用 5つのチェックポイント

自転車の安全利用促進委員会ならびに一般社団法人自転車協会(所在地:東京都港区、理事長:山崎 一、以下 自転車協会)は、安全・安心な自転車利用のためにルールやマナー、自転車の安全な選び方について啓発するほか、全国の教育関係者・学校と連携した通学指導セミナーの実施、意識・実態調査などを発信しています。

日没時刻前後1時間の夕暮れ時は、例年、交通死亡事故が多く発生しています。特に冬季は日没が早く、1月は交通事故の死者数が多い月であることがわかっています(警察庁 道路の交通に関する統計/交通事故死者数)。周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなるため、事故が多発します。昨今はコロナ禍により、通勤や宅配の自転車利用ニーズも増加しています。この時期に改めて気を付けたい自転車の安全利用について5つのポイントを紹介します。

自転車通勤推進企業 株式会社はてな (photo 小俣 雄風太/onyourmark.jp)

国土交通省による「自転車活用推進計画」

2017年に制定された「自転車活用推進法」( https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/pdf/about.pdf )は、制定時からの社会情勢の変化やコロナ禍における通勤・配達目的での自転車利用ニーズの高まりを受け、2021年5月「第2次自転車活用推進計画」が閣議決定されました。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに「密」を避ける移動手段として自転車が再注目され、昨年は電動アシスト自転車の販売台数が過去最高の74万台(経済産業省)と利用が増加しています。

「第2次自転車活用推進計画」とは ( https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/pdf/2plan.pdf )
2021年5月28日、今後5年間の第2次自転車活用推進計画を閣議決定しました。新型コロナウイルス感染症の流行で通勤、配達の需要が増えていることや、脱炭素化に向けた短・中距離のマイカー利用を自転車への転換、国民の健康増進などの背景から、自転車の貸し出し「シェアサイクル」の普及、自転車通行空間の計画的な整備、自転車利用者の損害賠償保険加入促進等の計画が策定されました。

『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト 優良企業 株式会社はてな

国土交通省自転車活用推進本部では、企業活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため、2020年4月に「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」を創設。自転車通勤を積極的に推進する「宣言企業」の中でも特に優れた取り組みをしている「優良企業」として、株式会社はてなが認定されました。2020年11月より京都・東京の両オフィスへの出社を前提としない「フレキシブルワークスタイル制度」を実施し、出社率は低いものの、通勤時間の短縮、健康促進、通勤前の運動による生産性向上、混雑した電車通勤によるストレスの軽減、エコなど、さまざまなメリットを考慮し、引き続きオフィス出社時の自転車通勤を推奨しています。また、社員が集中力を高め、能力を発揮できる環境整備の一環として、駐輪場や定期的な安全講習等、制度活用のバックアップを行っています。

自転車交通指導の検挙件数は増加。警察は自転車利用者に対する指導取締りを推進

コロナ禍により公共交通機関の代替の交通手段として自転車利用が進む中、2020年中に発生した自転車関連交通事故のうち、約7割は自転車側に何らかの法令違反がみられることが警察白書によって発表されました。また、自転車の点検を行っていない人は86.9%で、故障・不具合が原因の事故・ヒヤリハットを5人に1人が経験していることが明らかになっています。(2021年au損害保険株式会社調べ https://www.au-sonpo.co.jp/corporate/news/detail-287.html )警察庁の自転車の交通指導取締り状況によると、検挙件数は年々増加しており、「信号無視」は10年前と比べ約12倍増と悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講じ、厳正に対処していることを発表しています。

自転車の交通指導 取締り状況 検挙件数(警察庁調べ)

自転車は「軽車両」の認識を 自転車の安全利用 5つのチェックポイント

自転車は日常の足として溶け込みすぎているあまり、「自転車は軽車両」としての意識が希薄です。その結果、危ない乗り方をする人を多く見受けられます。傘をさす、スマホを見るなどの片手運転は5万円以下の罰金、車道の左側走行を行わない違反は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(自治体により異なる)となります。また、冬季は早めにライトを点灯し、事故を起こさないためにもルールを見直しましょう。

遠藤 まさ子(自転車ジャーナリスト)
自転車業界新聞の記者や自転車専門誌の編集などを経てフリーランスへ転向。自転車・育児用品を中心に取材・寄稿。自転車の中でも子供乗せ自転車、幼児車、電動アシスト自転車を得意とし、安全・快適な自転車ライフを推進している。

  1. 自転車利用時の服装をチェック
    自転車通勤向けのファッションブランドが登場しています。軽快さはありながらルーズに見えないなど、走行時だけでなく、ビジネスでも町中でも快適に過ごすことができる服装がおすすめです。パンツやスカートの裾が巻き込まれないようにする、ヒールのないフラットで滑りにくい靴底のシューズを履く、ストレッチが効いていることなどをポイントに選びましょう。夕暮れ時には明るめの色もおすすめです。
    【参考】自転車ファッションインブランド「Blintw(ブリンツゥ)」 https://globalwork.jp/blintw_2021fall/
  1. 自転車通勤の会社規定をチェック
    自転車活用推進法が制定され、2019年5月には事業者が自転車通勤や業務利用を拡大する支援策の一つとして、「自転車通勤導入に関する手引き」が策定されました。各企業によって導入内容、制度が異なるため、労働災害、通勤災害の認定や自転車通勤可能距離、ルールなどを事前に確認するようにしましょう。
    【参考】自転車活用推進官民連携協議会 https://www.jitensha-kyogikai.jp/assets/pdf/jitensha_tsukin_manual.pdf
  1. 駐輪場をチェック
    会社で駐輪場を提供していない場合には、GoogleMapの機能を活用するほか、駐輪場シェアサービスの「みんちゅう」や、株式会社シマノが提供する全国の駐輪場検索ページなど、自転車駐輪場の調べ方も格段に増えています。駐輪場の予約が可能なサービスなど上手に利用しましょう。
    【参考】駐輪場シェアサービス「みんちゅう」 https://www.min-chu.jp/
    【参考】株式会社シマノ「全国の駐輪場検索」 https://bike.shimano.com/ja-jp/mindswitch/cycling/search/
  1. 保険加入をチェック
    自転車事故における被害者救済の観点から、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化する動きが広がっています。自転車損害賠償責任保険等への加入義務化の条例改正は平成27年10月に初めて兵庫県で導入され、その後も多くの地方自治体で義務化や努力義務とする条例が制定されています。令和3年10月1日現在、34都道府県・2政令指定都市において、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務づける条例が制定されています。
    【参考】国土交通省自転車損害賠償責任保険等への加入促進 https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/promotion/index.html
  1. 車両の安全性をチェック
    自転車は「車両」として安全に乗ることができなければなりません。安価に購入できる自転車の中には、フレームが折れる・ブレーキが利かない、電動アシスト自転車では法定を上回るアシスト比率などの不具合が出た例もあります。約90項目の検査や安全基準をクリアし、国が認めた安全マーク(BAAマーク)を目印に選ぶことが大切です。安全な自転車を取り扱い、販売前の整備点検・修理・メンテナンスを相談しやすい最寄りの自転車店を選ぶことも重要です。
    【参考】BAAマーク: http://www.baa-bicycle.com/about/point/index.html
自転車安全基準 BAAマーク
自転車ジャーナリスト 遠藤 まさ子

一般社団法人自転車協会について

一般社団法人自転車協会は、自転車の製造・輸入事業者並びに販売事業者により構成され、自転車の安全性と耐久性の向上を図り、利用者に“安全で長持ちする自転車”を提供すること、そして循環型社会に対応できる製品を提供することを目指した活動や事業を行っています。
当会は、安全・安心で環境に優しい自転車の製造、供給、販売を製販一体となって強力に推進することと相俟って、メンテナンスの重要性、交通ルールやマナーの遵守、更には自転車走行空間の確保等を広く訴えることで、自転車が持つ本源的な価値が十分に発揮されることを目指しております。
このたび当会が展開している交通事故防止に向けた広報活動が認められ、警視庁の「令和3年秋の交通功労者等表彰」において特別優良団体として警視庁交通部長より表彰を受けました。当会では、今後も交通事故防止に向けた広報活動について積極的に活動してまいります。
*警視庁の「交通功労者等表彰」は、交通安全に尽力している個人や団体に対し、春・秋の交通安全運動終了後に、警視総監、交通部長、一般財団法人東京都交通安全協会会長から表彰を行なっているものです。

一般社団法人自転車協会 秋の交通功労者等表彰

一般社団法人自転車協会 概要

名称 : 一般社団法人自転車協会
代表者: 山崎 一
所在地: 〒107-0052 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR 9階
会員 : 正会員104社/賛助会員4社/特別賛助会員207社(2021年12月現在)
     (自転車に関わる企業等により構成)
URL  : http://www.jitensha-kyokai.jp/

自転車の安全利用促進委員会

安全・安心な自転車利用のためにルールやマナーの理解促進、安全な自転車の選び方、BAAマークに関する普及のほか、全国の教育関係者・学校と連携した通学指導セミナーや交通安全教室の開催、意識・実態調査などを発信しています。セミナー実施の様子など、最新情報はホームページをご覧ください。 http://jitensha-anzen.com/

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