「ビル再生100の物語」テナントへの差押え通知が届いた!2
ビル再生100の物語 第23話
テナワンでは、これまで多くのビルの空室対策や賃貸運営を行ってきました。
それぞれの問題を解決してきたビル再生の事例を「100の物語」としてこれから公開していきます。
今回は、テナントさんが差押えされた、というちょっと緊張する事例の続きです。
テナントさんに対する差押え通知が届いた(その2)
混乱しているAさん
税務署からの差押え予告の通知が届いたテナントAさん。
混乱しているAさんと会って、まず事情をお聞きしました。
「入るはずの売上が急に入らなくなって、2回ほど他から借りて繋いでたんですけど」
ああ、だからこの2か月ほど家賃が遅れがちだったんですね。
「従業員の給料も待ってもらってます」
「いったん事業を縮小して出直すしかありません」
この状況になると相当苦しいはずです。こちらからは、契約書通りに手続しちゃうとAさんにとっても余計不利なことを説明しました。
「信用不安になった今の状況だと、本来は契約解除になって違約金が発生します」
「それと原状回復費用が必要ですが、恐らく○○円くらいかかります」
「敷金では全部カバーできませんので、残りはAさんに請求することになっちゃいます」
「仮に敷金に余りが出ても、差押えになると税務署に返すことになってAさんにはお支払いできません。」
ここまでは契約書通りの話です。
イヤな話をしてますのでAさんも非常にカタい表情です。
「ただ、貸主さんはスムーズに次の方に貸せるようにしてもらえれば、敷金の範囲で決着してもいいと言ってくれています。」
「とにかく時間をかけても払うべき家賃が増えるだけなので、できるだけ早く解約条件を合意しましょう」
費用の一部はとりっぱぐれになりますが、もはや支払い能力のないAさんとドロ試合をするよりも、普通にちゃんと明け渡しをしてもらえば、次のテナントさんをすぐに募集することができるために、その方が得だと判断してのことです。
これならAさんもこれ以上ビルに対して支払いをする必要がないので、その場でお話はまとまりました。
実は、この話には続きがあります。
解約手続きを進めていたある日、Aさんから連絡をいただきました。
「知り合いが、次に借りたいって言ってるんですが可能でしょうか?」
願ってもないお話です。
オーナーさんとしても、次のテナントさんが決まるまでの空室を抱えなくて済みます。
それに、居ぬきで次の方が使ってくれるのであれば、原状回復費用相当分はAさんとオーナーさんの間で金銭解決にしておいて、次のテナントさんの原状回復はいらないことにしてあげられます。
結果、Aさんにも次のテナントさんにもオーナーさんにも喜んでいただける結果となりました。
※【ご注意】このお話は、契約と法律をよく理解したうえで、慎重に対応する必要がありすので、どんな場合でも可能なわけではありません。