福井県立大学 日竎教授および近畿大学 北山教授の共同研究グループが、オリゴ糖の疎水性を選択的に感知する新規蛍光色素を開発
オリゴ糖は、ブドウ糖などの「単糖」が数個繋がったものの総称であり、腸内細菌に作用して整腸作用などの生理機能を発現するなど、機能性食品の素材として注目されています。しかし、オリゴ糖分子には良好な発色団がないことや物理化学的な性質が類似する異性体が多数存在するなどの理由から、手軽に測定することができません。
強い疎水性(油の性質)をもつ蛍光分子は、水中では油滴のように自己集合し、蛍光が弱められてしまうため、利用方法が限られていました。福井県立大学生物資源学部生物資源学科の日竎隆雄教授と近畿大学農学部生物機能科学科の北山隆教授のグループは、疎水性(親油性)に反応するBODIPY色素に、親水基と疎水基をバランスよく導入した新規蛍光色素(BOliFlour)を開発し、蛍光分子に適度な揺らぎをもたせると、自己集合する代わりに、オリゴ糖のような柔らかな構造を持つ疎水性分子に結合して蛍光を強く発することを見出しました。特に、フェニル基を結合させたBOliFlour 2は環状オリゴ糖だけでなく、直鎖オリゴ糖にも反応し、比較的簡便にオリゴ糖量が測定できました。
本研究成果は、国際誌Carbohydrate Polymer Technologies and Applications(IF=5.5)で論文(https://doi.org/10.1016/j.carpta.2024.100488)を2024年3月19日に公表しました。また、3月25日に東京農業大学で開催の日本農芸化学会2024年度大会で口頭発表を行いました。
今後は、この原理を利用して、さらに高感度かつ高選択的なオリゴ糖測定法の開発が期待されます。
【論文情報】
研究論文名:
A boron dipyrromethene-derivative fluorescent probes for β-cyclodextrin and maltooligotose hydrophobicity recognition
(和訳:β-シクロデキストリンおよびマルトオリゴトースの疎水性を認識する
ホウ素ジピロメテン(BODIPY)誘導体蛍光プローブ)
著者:
※ 日竎隆雄(福井県立大学生物資源学部/大学院生物資源学研究科 教授)
※ 北山隆(近畿大学農学部/大学院農学研究科 教授)
柏﨑玄伍(近畿大学農学部 助教)
住田真利奈(近畿大学大学院農学研究科)
小田照(福井県立大学生物資源学部)
渡辺凌(近畿大学大学院農学研究科)
中亮太(近畿大学大学院農学研究科)
西川晃弘(近畿大学大学院農学研究科)
大見川諒(近畿大学農学部生物機能科学科)
土田敦子(埼玉医科大学医学部 講師)
※ は研究代表者
掲載雑誌名:
Carbohydrate Polymer Technologies and Applications
(インパクトファクター:5.5)
公開日:2024年3月19日(on line速報)
URL :https://doi.org/10.1016/j.carpta.2024.100488
【関連リンク】
農学部 生物機能科学科 教授 北山隆(キタヤマタカシ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/804-kitayama-takashi.html