バイオマス発電所の排ガスを利用した プレキャスト床版ブロックの製造試験を開始
‐ 大阪・関西万博において耐久性能測定を実施 ‐
安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷 一彦)は、建設会社や生コン工場、大学など15の企業・団体が結集したCPコンクリートコンソーシアム(以下、CPCC)の幹事会社として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によるグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの採択を受け、2022年からCARBON POOLコンクリート(以下、CPコンクリート)(注1)の開発を進めています。
同プロジェクトの一環として、2024年8月から、CPセンター栗東(滋賀県栗東市)(注2)において、「いぶきグリーンエナジーバイオマス発電所(注3)」(滋賀県米原市)の排ガスを資源として再利用し、排ガスに含まれるCO2を吸収・固定させたプレキャストコンクリート床版ブロックの製造試験を開始しました(写真1)。
今回の製造試験では、コンクリートの材料となる再生骨材をCO2固定化仮設備に投入し、バイオマス発電所の排ガスを通すことで、最大で1tあたり約60kgのCO2を固定させた「炭酸化再生骨材」を製造しました(写真2)。また、1tあたり最大約335kgのCO2を固定した「炭酸化スラッジ粉末」も製造し、これら2つの材料を使用して床版ブロックを製造しました。
さらに、完成した床版ブロックを気密性の高いコンテナに格納し、コンテナ内にバイオマス発電所の排ガスを通すことで、養生時にも排ガスを利用したCO2固定化に取り組み、最大で約70kg/m3の固定に成功しました(写真3)。試験の結果、養生後のプレキャストコンクリート床版ブロックには、最大約125kg/m3のCO2が固定できたことを確認しています。
現状では、各製造工程のCO2固定量は一定ではないため、今後は安定的に最大量のCO2固定が可能となるよう、引き続き製造方法等を検討します。
なお、本製造試験で製造したプレキャストコンクリート床版ブロックは、CPCCが協賛する大阪・関西万博 未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」のパビリオン内の通路の一部区間に設置し(図1)、CPコンクリートの舗装および構造物への今後の実装を見据えた各種耐久性能の測定を行います。(注4)
安藤ハザマは、今後も持続可能な社会の実現に向けた技術開発を積極的に推進し、環境に配慮した建設ソリューションの提供を目指します。
(注1)CPコンクリートは、コンクリート1m3あたりCO2固定量120kg以上を目標に、解体時のコンクリート塊や建設現場で未使用となったコンクリート(残コン・戻りコン)、生コン工場から排出されるスラッジケーキやスラッジ水等、従来は産業廃棄物として扱われてきた材料にCO2を固定した上で原材料として再資源化するとともに、打設後の養生時においてもCO2ナノバブル水等の利用によりCO2固定量を最大化することが可能なCO2固定型コンクリートです。
(注2)2024年7月17日リリース
CPコンクリート用の材料を製造する国内初の専用工場となる「CPセンター栗東」を開設
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2024/20240717.php
(注4)2024年9月19日リリース
CPコンクリートを用いたプレキャスト製品の製造試験を開始
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2024/20240919.php