【岡山理科大学】ふるさと納税返礼品用にタマカイの鍋セット作りスタート/宮崎・都農町

2024-10-22 15:00
切り身とアラの真空パックを手に「これがご家庭に届きます」と話す坂田町長

 宮崎県都農町で、岡山理科大学と同町、NTT東日本・西日本が連携して量産化・ビジネス化に取り組んでいる好適環境水によるハタ科の「タマカイ」の陸上養殖で、10月21日、養殖施設から水揚げしたタマカイをふるさと納税返礼品用の鍋セットに加工する作業がスタートしました。11月中旬には発送される予定です。

 同町での陸上養殖は、「水産業夢未来プロジェクト」として2023年4月、試験養殖施設(7.4トン水槽2基)に、成長すると最大3メートルにもなる「タマカイ」の体長7~8センチ、体重約60グラムの稚魚224匹と、体長35センチほどにまで育ったクエとタマカイの交雑種「クエタマ」53匹を収容してスタート。このうちタマカイで、高い生残率(約94.2%)などが確認できたことから、タマカイに絞って量産化・ビジネス化に取り組んでいます。

 水槽のタマカイは養殖開始からわずか1年半で、平均で体長52.9センチ、体重3,034グラムにまで育ち、中には62.4センチ、5,480グラムの“大物”も。タマカイの場合、好適環境水による養殖は、海水での養殖に比べて成長が約3倍早いことが分かっています。理由は、余分な塩分を排出するストレスのない好適環境水による生育環境と、タマカイに適した水質環境を、年間を通して安定化していることが影響しているのではないかとみられています。

 担当の岡山理科大学生命科学部の山本俊政准教授は「ここまで成長が早い魚種は初めて」と、その成長ぶりに目を丸くしています。日々の給餌や水質管理などを担当しているのは「つの水産振興・加工品開発協議会」職員の三輪将也さんと河野里美さん。山本准教授は「二人とも最初は養殖未経験だったのに、ここまで大きなトラブルもなく、本当によく頑張ってくれています。二人のおかげです」と話しています。

 この日は、水槽から10匹が水揚げされ、近くの都農水産加工センターへ運ばれ、ウロコや内臓が取り除かれ、切り身とアラが別々に真空パック加工されて冷凍庫へ。鍋セット(切り身とアラのセット)を200~300セット、別に活け絞めも用意し、11月中旬には返礼品として全国に届ける予定です。

 加工作業を見守った坂田広亮町長は「都農育ちの高級魚・タマカイを全国の皆さんに賞味していただければ大変うれしい。タマカイをきっかけに、ほかの町の生産品にもいい影響があるようPRしていきたい」と意気込んでいます。

 同町では第2段階として、現在の養殖施設から西へ約2.6キロ離れた町有地に、40トン水槽を新設する予定で、来年度中の完成をめざしています。

日々の世話を続けている三輪さん(左)と河野さん(右)
水揚げしたタマカイは1匹ずつ体長と体重を測定して記録します
1年半で5.5キロまで育った“大物”を手にする三輪さん
都農水産加工センターでは手際よく、次々に処理されていきます
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