下水汚泥を化石燃料に替わる新たなグリーン燃料に。
WEF技術開発、特許技術の活性酸素利用で、下水汚泥の低コスト、高発熱量乾燥物生成を実現。分散型発電としての利用も実証。
環境関連技術開発を手掛けるWEF技術開発株式会社(所在地:滋賀県大津市、代表取締役:青山 章)は、株式会社石橋(富山)、アドミエクスコエンジン設計株式会社(茨城)と共同で、バイオマス利用においてネックとなっている細胞壁を活性酸素で分解することにより、乾燥効率を高める効果があるかを確認した。
■バイオマス利用における細胞壁問題
多種多様なバイオマス資源は、地球温暖化防止に貢献できる有望な化石燃料代替資源であるが、エネルギー化は大きく進展していない。その原因は、バイオマス資源の強固な細胞壁によって内部にある多量の水分の乾燥が妨げられているため、燃料として実用可能な含水率まで下げる効率的な方法・技術が確立されていないためである。特に、下水汚泥は、機械脱水単独では下げられる水分割合に限界があり、大半は化石燃料を投入し焼却処分している現状がある。また、燃料化のため化石燃料や電力を使用する乾燥・炭化技術や凍結破砕技術、加水分解技術等は、エネルギー回収効率(バイオマス燃料の総発熱量/投入エネルギー)が著しく低く、燃料化に適用するには問題がある。
■細胞壁を瞬時に分解する活性酸素効果の確認
余剰汚泥乾燥だけでなく、メタン発酵、堆肥化等のバイオマスリサイクルでは巨大な装置、長い処理時間が問題になっている。この原因は、酸、アルカリ、高温、高圧でも分解しにくいバイオマスを構成している細胞の外側にある強固な細胞壁の存在である。
今回、活性酸素がバイオマスの細胞壁を切断して内部に保持されている水分を滲出させ、乾燥効率を高める効果があることを確認するため、下水汚泥を対象に簡易乾燥試験を行った。
処理機「α-Gaia」に含水率76%の下水汚泥54kg を投入し、電気抵抗加熱(ジュール熱)で65~70℃に加熱した活性酸素を含む熱風で撹拌乾燥させた。その結果、熱風だけの処理(活性酸素無し)に対し乾燥時間を約3割短縮するとともに、乾燥速度は2.3倍となり、回収した固形燃料の総エネルギーを投入電気エネルギーで除したエネルギー回収率は1.3と試算された。
また、活性酸素ありの乾燥下水汚泥が、JIS Z7312 下水汚泥固形燃料に定める方法で分析した結果、固形燃料の発熱量は20.98 MJ/kg、全水分は8.4%となり、同規格の分類BSF-15 の要求品質を十分上回るとともに、燃料としてハンドリングし易い細かな粒状に仕上がることを確認した。
■乾燥試験結果と考察
活性酸素乾燥のメリット
1) 乾燥スピードが速い:含水率80%→15%にするのに1.5~2倍速く乾燥
2) 低コスト:乾燥性能が2.5倍
3) 総発熱量が非常に大きい
20.98MJ/kg (JIS日本基準15MJ/㎏以上)
因みに、20.98MJ/㎏ / 国産石炭 24.25MJ/㎏ = 0.87(石炭の0.87倍の熱量がある)
国内稼働施設で、15MJ/㎏をクリアしている固形燃料は少ない。
下水汚泥固形燃料化事業にかかる事後調査H30
日本下水道事業団より
■スターリングエンジンでの燃焼・発電試験
アドミエクスコエンジン設計株式会社の協力で、出来上がった汚泥燃料をスターリングエンジンで発電確認試験した。
■試験結果
含水率80%汚泥×20t → 活性酸素乾燥×500㎏ → 7kw/24h=168kw/日 発電可能
道の駅等に発電システム設置することで、地域の下水汚泥から、災害時に電気、温水、温風の供給が可能になる。
■今後の展開
1)今回使用した活性酸素利用装置「α-Gaia」ではエネルギー回収率が他社装置同様に1.3程度だったので、これにヒートポンプを付加したエネルギー回収効率3.0程度のさらに効率の良い乾燥機を製作し、下水汚泥を化石燃料に替わる新たなグリーン燃料にする。
2)今回は余剰汚泥の試験を行ったが、細胞壁をもっているその他の動植物性残渣(野菜くず、食品残渣、水草・ホテイアオイ等)も同様の処理システムで乾燥、燃料化が可能になるので、今後はこのようなバイオマスの利用へも広げていく考えである。
■会社概要
商号 : WEF技術開発株式会社
代表者 : 代表取締役 青山 章
所在地 : 滋賀県大津市堂1-19-15
設立 : 2016年7月
事業内容: 水処理、廃棄物リサイクル、Mg関連技術開発、販売
URL : https://aoyama-wefit.com
https://mgworld.aoyama-wefit.com/(Mgワールド)