経営企画・マーケティング担当者400名に聞く 「高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査2021」を発表
多くの企業が高齢者マーケティングの必要を認識するものの、 具体的なアクションを展開している企業は15%
高齢者人口増大という人口動態的変化を受け、高齢者市場を攻略すべくマーケティング戦略を検討する企業が増えています。株式会社日本能率協会総合研究所(東京都港区、代表取締役社長:譲原 正昭)では、クライアントの高齢者マーケティングを支援する専門部署「高齢者マーケティング研究室」を設置し、各種ソリューションを提供しています。今回は、コロナ禍中の高齢者市場に向けた企業の取り組み状況を把握するため、「高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査」を実施しました。2019年の第1回調査との比較も合わせ、結果をご紹介いたします。
調査結果のご紹介
- 高齢者人口の増大が勤め先企業のビジネスに「強く影響する」「影響する」と答えた方は合計で69.8%。「多少影響すると思われるが、それほど大きな影響はない」の約2割を合算すると、95%の回答者が「何らかの影響を受ける」と認識していた。2019年調査も95%であり、依然として、影響は受けると認識している割合は高い。
- 高齢者人口増大により勤め先企業のビジネスが「何らかの影響をうける」と答えた回答者のうち、高齢者に対するマーケティング活動の必要性を認識している方は59.5%。2019年調査(65.9%)と比較すると2021年は若干下がっているが、依然として過半数を占めている。
- 高齢者を「最重要ターゲット」と捉えている回答者は9.5%、「重要ターゲット」と捉えている回答者は37.4%。合算すると46.9%が重要視している。
- ターゲットとしている高齢者の属性・特徴については「アクティブシニア」がトップで52.9%。次いで「自立しているが不自由さを感じ始めている高齢者」「健常と要介護の中間の状態の高齢者(フレイル)」と続く。
- 高齢者マーケティングの必要性を認識している回答者に高齢者マーケティングの取り組み状況を尋ねたところ、「情報収集段階、具体的な検討はこれから」が最も多く49.6%。「具体的な活動が進行している」は15.5%であった。
- 高齢者マーケティングにおいて課題や困難を感じる活動は、「普段の生活行動」「購買行動」「身体状況や健康状態」といった事実の確認(実態把握)に関する項目が上位に挙げられた。2019年調査の上位3項目と同様ではあるが、2021年は「普段の生活行動」がトップに挙がるなどの変化が見られた。
- コロナ禍により、高齢者マーケティングの活動方針は、「見直しが必要と感じているが具体的な見直し策は講じていない」が最も多く52.2%、「活動方針を見直した」が28.3%で、80.5%の回答者が活動方針の見直しの必要性を認識している。
- コロナ禍により重要性が増した高齢者に関する情報は、「健康・運動」がトップで41.2%、次いで「食生活」「買い物行動」と続く。
まとめ
回答者の多くが高齢者人口増大によって「勤め先企業のビジネスが影響を受ける」と認識しており、高齢者マーケティング活動の必要性やターゲットとしての高齢者の重視度からも、高齢者市場に対する高い関心が明らかになりました。ただし、取り組み状況としては「情報収集・検討段階」に留まっている場合が多く、具体的なアクションを推進できているのは、一部の企業のみという現状も浮き彫りとなりました。
推進のハードルとなっているのは、高齢者の状況や行動といった、価値観などの事実確認(実態把握)を行うための情報リソースの不足にあります。ニーズ探索や商品コンセプト開発、ターゲット戦略の検討にはターゲットの実態把握が求められますが、高齢者のそれを十分に把握することは難しく、マーケティング活動を加速させていく際の障壁になっていることがうかがえます。
また、このコロナ禍によって高齢者マーケティングの見直しが必要になってきており、コロナ禍の高齢者の日常的な行動についての情報が必要になっていることが明らかになりました。
調査概要
調査名 :高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査
調査期間:2021年6月12日~6月25日
調査対象:下記の条件をすべて満たす方を本調査対象とした。
・20~59歳ビジネスパーソン
・正社員
・勤め先の会社規模(正規職員人数)300人以上
・勤め先企業が一般消費者向け商品・サービスを提供している
・勤め先企業の所属部門が「経営企画、マーケティング、商品開発、
営業企画」のいずれかに該当する
回答者数:400名
調査方法:インターネット調査
参考:2019年度調査
調査名 :高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査
調査期間:2019年6月28日~7月4日
調査対象:下記の条件をすべて満たす方を本調査対象とした。
・20~59歳ビジネスパーソン
・正社員
・勤め先の会社規模(正規職員人数)300人以上
・勤め先企業が一般消費者向け商品・サービスを提供している
・勤め先企業の所属部門が「経営企画、マーケティング、商品開発、
営業企画」のいずれかに該当する
回答者数:400名
調査方法:インターネット調査
【調査結果 I】高齢者マーケティングの必要性に対する認識
高齢者人口の増大が勤め先企業のビジネスに「強く影響する」「影響する」と答えた方は合計で69.8%。
「多少影響すると思われるが、それほど大きな影響はない」約25%を合算すると95%の回答者が「何らかの影響を受ける」と認識していた。2019年調査も95%であり、依然として、影響は受けると認識している割合は高い。
「何らかの影響を受ける」と認識している回答者のうち、高齢者に対するマーケティング活動の必要性を認識している方は59.5%。2019年調査(65.9%)と比較すると2021年は若干下がっているが、依然として過半数を占めている。
【調査結果 II】ターゲットとしての高齢者の位置づけ
高齢者を「最重要ターゲット」と捉えている回答者は9.5%、「重要ターゲット」と捉えている回答者は37.4%。合算すると46.9%が重要視している。
ターゲットとしている高齢者の属性・特徴については、「アクティブシニア」がトップで52.9%。次いで「自立はしているが不自由さを感じ始めている高齢者」「健常と要介護の中間の状態の高齢者(フレイル)」と続く。
【調査結果 III】高齢者マーケティングの取り組み状況・課題
高齢者マーケティングの取り組み状況としては「情報収集段階、具体的な検討はこれから」が最も多く49.6%、次いで「検討が進行しているが、具体的な活動はこれからである」が続く。「具体的な活動が進行している」は15.5%であった。
高齢者マーケティングにおいて課題や困難を感じる活動は、「普段の生活行動」「購買行動」「身体状況や健康状態」といった事実の確認(実態把握)に関する項目が上位に挙げられた。2019年調査の上位3項目と同様ではあるが、2021年は「普段の生活行動」がトップに挙がるなどの変化が見られた。
【調査結果 IV】コロナ禍による高齢者マーケティング活動の方針見直しの有無
コロナ禍における高齢者マーケティング活動方針見直しの有無について、「見直しが必要と感じているが具体的な見直し策は講じていない」が最も高く52.2%、次いで「活動方針を見直した」が続き、計80.5%が見直しの必要性を認識している。
コロナ禍により重要性が増した高齢者の情報については、「健康・運動」がトップで41.2%、次いで「食生活」「買い物行動」と「事実の確認」(実態把握)に関する項目が上位に挙げられた。
日本能率協会総合研究所では、高齢者マーケティングに関する様々なリサーチソリューションをご提供しております。ご興味・ご関心をお持ちの方は、下記のURLより内容をご確認のうえ、お気軽にご相談ください。
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