冬虫夏草とルバーブに皮膚免疫を担うランゲルハンス細胞の 生存維持に重要な表皮細胞の「RANKL」を増やす効果を発見 日本生薬学会第67回年会にて発表
ノエビアグループは、免疫機能と皮膚状態の関係に着目し、表皮の免疫細胞であるランゲルハンス細胞と皮膚老化の関連性について研究を行っています。今回、ランゲルハンス細胞が多い皮膚は、バリア機能が高く、色みが明るいことを見出しました。そこで、ランゲルハンス細胞の生存維持に重要で表皮細胞が産生するタンパク質「RANKL」を増加させる素材の探索を行いました。その結果、伝統的な滋養強壮の生薬である冬虫夏草とルバーブ※が相乗的に「RANKL」を増加させることを発見しました。
これにより冬虫夏草とルバーブが「RANKL」を増やし、ランゲルハンス細胞を維持することで、バリア機能を高め、皮膚色を明るくする可能性が示唆されました。皮膚免疫に焦点を当てた研究により、肌の美と健康に対する新たな視点でのアプローチが可能となりました。この研究成果の一部を2021年9月18日~9月20日に開催される「日本生薬学会第67回年会」にて発表いたします。
※自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」にて有機栽培。シベリアでも生育する生命力の強い植物。
研究背景
表皮に存在し皮膚免疫を担うランゲルハンス細胞と皮膚状態の関係に着目
皮膚には、外界に存在する病原菌やウイルスなどの外敵から身を守るため、免疫機能が備わっており、体の恒常性を維持する重要な役割を果たしています。表皮に存在するランゲルハンス細胞は病原菌やウイルスを認識し、その情報を伝え排除を促す働きをしており、加齢や紫外線により減少することが知られていますが、細胞数と皮膚状態の関係については十分に明らかにされていませんでした。
本研究ではランゲルハンス細胞と皮膚状態の関係を明らかにするとともに、加齢で減少するランゲルハンス細胞を維持し、皮膚のバリア機能及び保湿機能に重要で表皮細胞が産生するタンパク質「RANKL」を増加させる素材の探索を行いました。
参考
免疫と骨の健康に関わるタンパク質「RANKL」が皮膚のバリア機能及び保湿機能を強化することを発見
(第6回日本骨免疫学会2021年6月発表)
https://www.noevir.co.jp/new/ir_info/pdf/per51/210621c.pdf
研究成果
- ランゲルハンス細胞は加齢により減少することを確認
20代及び50-60代女性の頬部からテープストリッピング法により回収し抽出したタンパク質について解析を行いました。その結果、ランゲルハンス細胞の指標であるランゲリンは20代よりも50-60代の方が少ないことが確認されました。
- ランゲルハンス細胞が多い皮膚はバリア機能が高く、色みが明るいことを発見
50-60代女性を対象に角層中のランゲリンと皮膚状態の相関関係を解析しました。その結果、ランゲリンとバリア機能低下の指標である水分蒸散量及び黄みの指標であるb値に負の相関が、明るさの指標であるL値に正の相関が認められました。これにより、ランゲルハンス細胞が多い皮膚はバリア機能が高く、色みが明るいことが示されました。
- 冬虫夏草とルバーブがランゲルハンス細胞を維持するタンパク質「RANKL」の発現を相乗的に増加させることを発見
表皮細胞において、ランゲルハンス細胞の維持に重要なタンパク質「RANKL」の発現を増加させる素材を探索した結果、自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム( https://www.noevir.co.jp/about/farm/ )」で有機栽培したルバーブに効果があることが明らかになりました。さらに、ルバーブによる効果は冬虫夏草により相乗的に増加することが明らかになりました。
ランゲルハンス細胞が多い皮膚はバリア機能が高く、色みが明るいことを発見しました。
また、冬虫夏草及びルバーブがランゲルハンス細胞を維持するタンパク質「RANKL」の発現を相乗的に増加させることも明らかになりました。
今後の展開
今回の研究により皮膚免疫に重要なランゲルハンス細胞の数と皮膚のバリア機能や色みに相関関係があることが明らかになりました。皮膚の免疫機能とバリア機能の低下は、将来的なシワ、シミ、たるみなどの老化による肌悩みにもつながります。加齢により減少するランゲルハンス細胞を維持することは老化予防に重要と考えられます。冬虫夏草及びルバーブはランゲルハンス細胞を維持するタンパク質「RANKL」の発現を増加させることから、皮膚の免疫機能とバリア機能、保湿機能を高め、皮膚色を明るくする可能性が示唆されました。今後はこの研究成果を基礎化粧品の開発へ応用する予定です。