【調査レポート】 学童運営・放課後の子どもの居場所について 8割の職員が「処遇/待遇の低さ」の改善を求める
~職員・保護者・子どもが安心して過ごせる環境整備を~
株式会社コドモンは、保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」をご利用の全国の学童施設(放課後児童クラブ)と保護者を対象に、それぞれ「学童(放課後児童クラブ)運営について」「放課後の子どもの居場所について」のアンケートを実施いたしましたので結果をお知らせいたします。学童(放課後児童クラブ)の現場には課題感だけでなく令和5年12月25日にこども家庭庁と文部科学省より待機児童対策などを強化するために公表された「放課後児童対策パッケージ」についての期待度なども調査しました。
【アンケート概要】
・調査対象:コドモンを利用する全国の学童(放課後児童クラブ)、保護者
・調査方法:メール案内、WEB回答方式
・調査期間 : 2024年1月26日(金) 〜 2024年2月7日(水)
・回答数: 施設 125件/保護者 175件
・調査会社:株式会社コドモン
【アンケート結果サマリー】
*学童現場(放課後児童クラブ)で働くうえでの課題として、80%の施設が「処遇/待遇の低さ」、72.8%が「人員不足」と回答。次いで58.4%が「専門性の高い職員の不足/不在」、51.2%が「児童ひとりあたりの施設のスペースが狭い」と回答。
*人員不足解消のためには「処遇・待遇の改善」といった労働環境の改善だけでなく、放課後児童支援員の社会的地位向上や、児童福祉法7条に学童保育を明記し、保育所や学校と同等の制度を求める声も。
*「放課後児童対策パッケージ」で期待することとして、「放課後児童クラブを運営する人材の確保」が83.2%と最多の回答に。
*現在学童(放課後児童クラブ)を利用している、または過去利用していた保護者のうち、55.8%の保護者が困っていること/困っていたこととして「学校給食がないときはお弁当を持参しなければならない」と回答。
*現在子どもが未就学児の保護者のうち51.1%が「利用を検討しているが、人手不足や施設環境などから学童保育の質について不安に感じる」と回答。学童(放課後児童クラブ)の受け皿整備だけでなく、職員の労働環境改善による職員・保護者・子どもが安心して過ごせる環境整備が必要。
【施設向けアンケート結果】
Q1 学童(放課後児童クラブ)の現場で働くうえで課題と感じることをすべてお選びください(複数回答可)
「処遇/待遇の低さ」が80%、「人員不足」が72.8%と、働くうえでの大きな課題となっていることがわかります。次いで回答が多かった「専門性の高い職員の不足/不在(58.4%)」については、保育園や幼稚園と違い資格を有せずとも「補助員」として従事することが可能である一方で、2015年に「放課後児童支援員」の資格ができたことで学童保育(放課後児童クラブ)には2名以上の放課後児童支援員が在籍することが義務付けられたこともあり、専門性の高い職員の需要が増していることも背景の一つと考えられます。
Q2 人員不足を解消するために必要だと思われることは何だと思いますか。
「放課後児童対策パッケージ」でも人材の確保が掲げられていますが、現場として人材不足の解消のために必要としていることを伺いました。処遇・待遇の改善を行い、長く働き続けられる職場をつくることといった根本的な労働環境の改善を求める声が多数上がり、さらに社会的地位向上や、法律上の学童保育(放課後児童クラブ)の位置づけを変えることなども抜本的な解決に繋がるとの意見もありました(以下、一部抜粋)。
【処遇・待遇、労働環境の改善】
・賃金の改善、上昇
・給与の低さの改善。支援員は、子どもの命を預かり未来の日本を支える仕事であり、子どもたちの重要な成長過程での保育に従事しています。給与は悪い状況でありながら、仕事内容の重責にも耐え、それでも子どもたちのためにというボランティア精神のある方に支えられているという状況を改善しなければ解決されません。
・短時間勤務ではあるが時給をアップすることで福利厚生も充実できると思う。
・やりがい搾取のような労働体制の是正。
・長期休業日のみ開所時間が長く、長時間かつ職員が多数必要、平日は短い時間の勤務の職員。そこに人材確保の難しさがある。
・研修(自己研鑽)や実践交流も含めて、フルタイムの労働条件を整えて給与保障を行い、若い人材が生涯働き続けられる職業と社会的にも認知されることを求めます。
【常勤職員の増枠、人材育成】
・正社員・常勤職員の枠を増やす。
・就職後の新人育成がしっかりと行われることが必要。そして2~3年かけて職員として定着できるように職場がバックアップすることも必要。
・支援員を育成するための学校教育(保育士のように卒業したら資格を取得できるようにする)
【職業自体の認知・地位向上】
・放課後児童支援員という仕事の認知を広げることで、新卒などの就職先の選択肢に乗せること(保育士などと同レベルの就職先として選択に挙げられること)
・子どもたちの保育に関わる教育関係者が専門性を持ったスペシャリストとして社会に認識されることと、社会的地位、給与、保障などを高めていくことが必要だと思います。
・専門性を要する仕事であることが内外に認知され、それに見合った待遇改善がなされることが必要です。「未就学児より関りが容易な発達段階の子どもたちの『見守りと遊び相手』になっていればよい簡易な業務」とイメージされやすい印象があるが、実際の業務は多岐にわたり専門性を求められる事例や関りが多くある。その対価にあわない待遇やイメージした業務内容とのギャップが全国の離職率の高さにつながっているのではないか。
・本事業が社会的にも認められている職業だということ、具体的な仕事内容のアピール。
・誇りを持って仕事に臨めるように支援員資格の価値を上げていただくと共に、処遇の改善を。
【施設の位置づけを向上】
・学童保育の法律上の位置づけを変える。児童福祉法7条(※)に「放課後児童健全育成事業」として学童を位置づける。そうすることで、保育園と同じ扱いにまずしていき、施設部分の向上と職員配置をしっかり義務づけ、それに伴う財政支援を行うこと。
・国・政府として学童保育に対して責任をもつこと(保育園と同じように児童福祉法7条に位置付けて取り扱うこと)
・国が事業ではなく、保育所や学校と同等の施設に制度を改めて予算確保することが抜本的な解決に繋がる。
※児童福祉法第7条:
「この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。」
Q3 国から提示された放課後児童対策パッケージで期待することはどれですか(複数回答可)
「放課後児童対策パッケージ」で期待することとして、「放課後児童クラブを運営する人材の確保」が83.2%と最多の回答でした。人材確保の項目については以下の4点が対策として挙げられていますが、Q1、2の回答にもあったように、人材確保のための労働環境や処遇改善・職業の地位向上・施設の位置づけの向上は喫緊の課題であることがわかります。
① 放課後児童クラブにおける常勤職員配置の改善
② 放課後児童クラブに従事する職員に対する処遇改善
③ ICT化の推進による職員の業務負担軽減
④ 育成支援の周辺業務を行う職員の配置による業務負担軽減
Q4 【朝の受け入れについて】 平日の朝の時間帯の児童の受け入れはしていますか。
放課後児童対策パッケージでは「朝のこどもの居場所づくりの推進」も「全てのこどもが放課後を安全・安心に過ごすための強化策」の一つとして掲げられました。現場での朝の時間帯の児童受け入れの状況を調査したところ、回答施設のうち86.4%は朝の受け入れを現状行っていないことがわかりました。また受け入れを実施している11施設のうち、10施設は4年以上前からの実施をしていると回答。
Q5 【長期休暇について】 夏休みなど長期休暇期間は受け入れ人数の拡大や開園時間の延長などしていますか。
46.4%が「開園時間の延長のみ対応」と回答しました。23.2%は「受け入れ人数の拡大も開園時間の延長も、どちらも対応」しています。一方で、20.8%は開園時間の延長も受け入れ人数の拡大も「どちらも対応していない」と回答。
Q6 学童における長期休暇期間中のお弁当デリバリー導入を検討する自治体も首都圏を中心に増えていますが、実施の予定はありますか。
37.6%が「実施予定はない」と回答し、33.6%が「実施済み」と回答しました。その他の回答として、保護者負担で必要な家庭のみお弁当の注文や、学童(放課後児童クラブ)内で給食を作っているといった意見がありました。
Q7 経営母体について教えてください。
回答施設は50.4%が公設民営、36%が民営という結果でした。
Q8 小学校や保育園、学習塾など他施設との併設ですか。
47.2%が「併設ではない」と回答。28.8%は「小学校併設」と回答し、併設施設の中では最多の結果となりました。
【保護者向けアンケート結果】
保育園から中学校までの子どもがいる保護者175名に放課後の子どもの居場所についてアンケートを実施しました。
【現在学童(放課後児童クラブ)を利用している、または過去利用していた保護者43名】
Q1 放課後の子どもの居場所について保護者のみなさまが困っていること/困っていたことを教えてください (複数回答可)
55.8%の保護者が「学校給食がないときはお弁当を持参しなければならない」と回答しました。特に長期休暇中は毎日お弁当を持参する必要があり、共働き世帯にとっては負担となっていることが見受けられます。施設向けのアンケートでは37.6%が「お弁当デリバリーなどの実施予定はない」と回答し33.6%が「実施済み」と回答していたことから、お弁当のデリバリーを実施しているかどうかも保護者が学童を選ぶ際のポイントとなりそうです。また34.9%が「夏休みなどの長期休暇も朝から学童に預けているが、遊びや経験が単調になり、長時間同じ場所にいることが苦痛でないか心配」、25.6%が「学童のスペースが狭い」と回答。放課後児童対策パッケージ内では「賃貸物件等を活用した放課後児童クラブの受け皿整備の推進」が示されていますが、子どもが快適に過ごすことができる環境を考慮する必要性があると考えられます。
【現在学童(放課後児童クラブ)を利用している保護者31名】
Q2 平日の朝の時間帯に学童等を利用していますか。
90.3%が「利用していない」と回答。6.5%が「利用している」と回答しており、施設へのアンケートでも8.8%が「朝の時間受け入れをしている」と回答していたことから、朝の時間帯は利用者ごとのニーズにあわせて実施できる環境整備の必要性がうかがえます。
【学童(放課後児童クラブ)を利用していない未就学児のお子さんがいる133名】
Q3 将来的に学童(放課後児童クラブ)の利用を検討していますか。また、利用を検討する上で不安なことはありますか(複数選択)
現在子どもが未就学児の保護者のうち51.1%が「利用を検討しているが、人手不足や施設環境などから学童保育の質について不安に感じる」と回答。待機児童問題もあるなかで受け皿の整備が推進されていますが、施設からの要望にもあったように「待遇・処遇の改善」「労働環境の改善」といった職員の環境を改善することで職員も保護者も子どもも安心して過ごせる学童保育の質向上が求められていることがうかがえます。
【データの引用について】
本調査結果データを一部引用・二次利用等される場合は、「株式会社コドモン調べ」と表記の上、リンクのご協力をお願いいたします。
リンク先:https://www.codmon.co.jp/pressrelease/9457/
その他ご不明点や調査に関する詳細は、下記よりお問い合わせください。
【株式会社コドモン 会社概要】
◆所在地:東京都港区三田3丁目13−16 三田43MTビル 3F
◆資本金:68,250,000円
◆代表者:代表取締役 小池義則
◆WEB:https://www.codmon.co.jp/
◆事業内容:子どもを取り巻く環境をより良くするための事業を手掛け、働く人にとっても働きやすい組織づくりを体現。子育てに優しい社会に変わるよう多角的に環境整備を行い、社会に貢献する。
◎こども施設職員の労働環境を整え、保育・教育の質向上を支える子育てインフラとしての保育ICTシステム「コドモン」の開発・提供。2024年1月初旬時点で、全国約17,000施設、職員約35万人が利用。全国約482の自治体で導入および実証実験の導入が決定。導入施設数・自治体導入施設数・契約自治体数でシェア1位(2024年1月株式会社東京商工リサーチ調べ)。
◎保活中の保護者や求職者と保育・教育施設をつなげる採用・園児募集支援サービス「ホイシル(https://www.hoicil.com/)」の提供。こども施設が簡単に施設の魅力を発信でき、地域の保護者や求職者、保育学生はより自分にあった園を探せる。その他、保育園向け写真ネット販売「コドモンプリント(https://www.codmon.com/print/)」こども施設を対象とした専門のECサイト「コドモンストア(https://store.codmon.com/)」、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的としたオンライン研修サービス「コドモンカレッジ(https://college.codmon.com/)」、こども施設職員への福利厚生サービス「せんせいプライム」などを展開。※(2023年1月株式会社東京商工リサーチ調べ)
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