Vゾーンの脱毛後、黒ずみ・くすみが起こる原因を解析

美容医学の専門家 日本医科大学皮膚科教授 船坂陽子先生にインタビュー

大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、Vゾーンの脱毛後に起こる肌トラブルの中でも特に黒ずみ・くすみに着目した解析を行い、下着が肌に直接触れた際に生じる摩擦が炎症を誘導し、黒ずみ・くすみの原因となるメラニン生成刺激因子を上昇させることを見出しました。さらに、トラネキサム酸とグリチルリチン酸ジカリウムが、摩擦により誘導された炎症及びメラニン生成刺激因子の上昇を抑制することを確認しました。

また当社では、この研究と並行して、Vゾーンの脱毛後に起こる肌トラブルについて、美容医学の専門家である日本医科大学皮膚科教授 船坂陽子先生にインタビューを行い、次のお話を頂きました。
『脱毛時のレーザーやカミソリ等の刺激により皮膚のバリア機能が低下して黒ずみ、かゆみ、におい、ムレ等、肌トラブルが生じやすくなります。また、黒ずみにレーザーが反応し、強い痛みを生じることや、肌の乾燥によりレーザーが毛根に届きにくくなることで、十分な脱毛効果が得られなくなる可能性もあります。このことを理解し、脱毛後だけでなく脱毛期間中もクリームを塗る、外用薬を使用する等、丁寧なケアを行うことが重要です。』

今後も、一人ひとりの肌悩みに寄り添った確かなケアを製薬メーカーの視点で提案すべく、継続して研究を進めて参ります。

【Vゾーンの黒ずみ・くすみが起こる原因を解析】

脱毛時のレーザーやカミソリ等の刺激により黒ずみ・くすみが生じますが、脱毛処理後に下着との摩擦が増加し、黒ずみ・くすみを生じる可能性もあります。
今回当社は、下着が肌に直接触れた際に生じる摩擦に着目し、黒ずみ・くすみが生じる原因の検討を行いました。その結果、以下の2点を確認しました。
① 下着素材との摩擦が肌のバリア機能を低下させ、炎症及びメラニン生成刺激因子を上昇させる
② トラネキサム酸とグリチルリチン酸ジカリウムが炎症及びメラニン生成刺激因子の上昇を抑制する

イメージ図
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研究成果①:下着素材との摩擦が肌のバリア機能を低下させ、炎症及びメラニン生成刺激因子を上昇させる

3次元培養表皮モデルに衣類との摩擦圧力を負荷した摩擦刺激評価系を構築し、下着素材との摩擦が肌に及ぼす影響を検討しました。その結果、下着素材との摩擦により、炎症やメラニン生成に関わる因子、PGE2合成酵素及びエンドセリン-1の遺伝子発現量が上昇することが明らかとなりました。また、これらの因子が上昇すると共に、肌のバリア機能が低下し、乾燥が誘導されることも明らかとなりました。

研究成果① イメージ図
研究成果① イメージ図

研究結果②:トラネキサム酸とグリチルリチン酸ジカリウムが炎症及びメラニン生成刺激因子の上昇を抑制する

摩擦によるメラニン生成刺激因子の上昇を抑制する物質を検討した結果、トラネキサム酸及びグリチルリチン酸ジカリウムが、摩擦刺激によるPGE2合成酵素及びエンドセリン-1の遺伝子発現量の上昇を抑制することを確認しました。これらの成分は、メラニン生成や炎症を抑え、健やかな肌へ導くことが期待できますが、そのメカニズムの一端に、摩擦によるメラニン生成や炎症を誘導する因子の抑制作用があることが分かりました。

研究結果② イメージ図
研究結果② イメージ図

【Vゾーンの脱毛後に起こる肌トラブルについて】

Vゾーンの脱毛後に起こる肌トラブルとその対策法について、日本医科大学 皮膚科教授 船坂陽子先生にインタビューを行いました。

<脱毛後に特に多い4つのお悩み:黒ずみ、かゆみ、におい、ムレ>

脱毛は、医療脱毛、エステ脱毛、自己処理のいずれの方法であっても、皮膚への刺激が避けられません。その刺激により皮膚のバリア機能が低下することで、炎症や乾燥、かゆみ、色素沈着が生じます。脱毛部位の中でも特にVゾーンは繊細なため肌トラブルが起こりやすく、お悩みを抱える方が多いです。ここからはVゾーンの肌トラブルの中でも特に多い①黒ずみ、②かゆみ、③におい、④ムレについて解説します。

①黒ずみ
原因:脱毛後、Vゾーンの「黒ずみ」に悩む方は非常に多いのですが、それはレーザーや光、カミソリ等の刺激により皮膚が炎症を起こした結果、メラニンが過剰に分泌され色素沈着(炎症性色素沈着)が生じるためであると考えられます。また、脱毛後に下着との摩擦が増加し、黒ずみ(摩擦性黒皮症)が生じる可能性もあります。
対策:保湿を行って摩擦による炎症を防ぐこと、メラニン生成を抑制する成分(トラネキサム酸、 ビタミンC等)が配合されたクリームで色素沈着を防ぐことが重要です。

②かゆみ
原因:「かゆみ」のお悩みは、カミソリ等の自己処理で脱毛する方に多く、その原因として剃った毛が伸び始めて下着と擦れることや、カミソリによる頻回な剃毛により必要以上に角層が削られ、毛穴に炎症が起こることで、かゆみが生じるためだと考えられます。
対策:症状の程度に応じ主として、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬が用いられます。また、かゆみを我慢できず皮膚を掻きむしり、症状が悪化する場合があるので、清涼化成分(l-メントール)が配合された外用薬の使用も考慮すると良いでしょう。

③におい
原因:「におい」のお悩みは、毛に付着する雑菌の繁殖が抑えられるため、一般的には脱毛後は悩みが少なくなると言われています。しかし、実際はVゾーンの脱毛後に「におい」で悩む方は多く、その原因として脱毛処理の刺激により皮膚が乾燥しやすくなり、常在菌のバランスが崩れ、においが出ることがあるためだと考えられます。
対策:保湿ケアにより皮膚常在菌のバランスを整えることでにおいを予防できます。過度に気にしてしまう場合は香りのよいクリームを塗り、気分をリフレッシュさせてみてはいかがでしょう。

④ムレ
原因:脱毛処理によって毛が担っていた汗や経血の吸収機能が低下することが要因だと考えられます。
対策:通気性の良い下着の使用や生理用品のこまめな付け替えにより、ムレ対策を行いましょう。

<実は重要な「脱毛期間中」のケア>

医療脱毛やエステ脱毛では施術が長期間に及ぶため、脱毛後だけでなく、脱毛期間中も適切なケアを行うことが重要です。医療脱毛やエステ脱毛ではレーザーや光を照射し、毛根に含まれるメラニンに熱刺激を与え、毛母細胞を破壊または弱化することで脱毛させます。しかし、日焼けや色素沈着による黒ずみがあるとそれらのメラニンへの反応が避けられず、強い痛みを生じる場合があるので、十分な脱毛効果を得るために必要な照射パワーでの処置が難しくなります。また、肌の乾燥により皮膚の硬化が生じた場合、レーザーや光が毛根まで届きにくくなり、十分な脱毛効果が得られなくなる可能性があります。脱毛期間中は色素沈着対策や保湿をしっかりと行いましょう。

<まとめ>

Vゾーンの脱毛は若い女性をはじめ、最近では男性や介護を見据えた方々にも受け入れられています。しかし、他人に相談するのが恥ずかしい、ケアできる商品を知らないという理由で、正しい知識のもと適切なケアを実施できていない方が多いのも現状です。繊細なVゾーンは、肌トラブルが生じやすいということを理解し、脱毛後だけでなく日々丁寧なケアを行うことを心掛け、何か気になる症状があれば医師または薬剤師にご相談ください。

・・・プロフィール・・・

◆日本医科大学 皮膚科 教授 船坂 陽子(ふなさか ようこ)先生
1984年に神戸大学医学部卒業後、皮膚科での臨床をしながら同大学大学院医学研究科皮膚科学で研究に従事。1989年から2年間、米国イエール大学へ留学。帰国後、神戸大学大学院医学研究科皮膚科学分野准教授、日本医科大学皮膚科学准教授を経て、2014年10月に日本医科大学皮膚科学教授に就任。国際色素細胞学会会長、日本美容皮膚科学会理事、日本光医学・光生物学会理事、日本レーザー医学会理事等を歴任

日本医科大学 皮膚科 教授 船坂 陽子(ふなさか ようこ)先生
日本医科大学 皮膚科 教授 船坂 陽子(ふなさか ようこ)先生

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