【名城大学】本学農学部応用微生物学研究室が築150年以上前の旧蔵から独自清酒酵母の採取に成功!
4月11日の亀崎酒蔵祭で試験販売
名城大学農学部応用微生物学研究室と株式会社亀崎Kamosの100%子会社である伊東株式会社(本社:愛知県半田市亀崎町、代表取締役:伊東優)は、廃業から20年以上が経過した同社の本蔵で明治時代から保管されていた桶から独自酵母の採取し、試験醸造に成功。4月11日(土)の亀崎酒蔵祭で、本蔵試験醸造酒として発売します。

【1.清酒酵母とは】
清酒製造において、アルコール発酵を担っているのが清酒酵母です。「サッカロマイセス・セレビシエ」という微生物の一種であり、その清酒酵母の種類により清酒の味わいや香りへ大きな違いが発生します。現在の清酒製造においては日本醸造協会から頒布される「協会酵母」、および各都道府県で開発された酵母を使うことが一般的です。
【2.なぜ独自酵母の採取をしようと思ったのか ― 酵母採取の経緯 ―】
代表銘柄「敷嶋」を製造していた伊東合資会社は平成12年(2000年)に一度廃業しています。2021年の復活にあたり、9代目の伊東優さんは他の方の手に渡った土地・建物を買い戻し、現在は旧本蔵の隣にある醸造場で清酒製造を行っています。かつて「敷嶋」を製造していた伊東合資会社は中部地方で最大級の酒蔵として名を馳せ、自社独自の酵母を培養していました。しかし、廃業の折にその酵母は失われてしまいました。
旧本蔵から発掘された過去の製造経過簿を眺めていた伊東さんは酵母の欄に「SK-1」「SK-2」という文字を見つけます。それは紛れもなく自社独自の酵母を持っていた証拠。奇跡の連続で復活することができた酒蔵が、150年以上前の旧蔵に残っていた清酒酵母を使い酒を醸す―。これができたらどれだけ素晴らしいことだろう。伊東さんはこのロマンに夢を見ます。

しかし、清酒酵母は水分等がないと死滅してしまうため、20年以上前の旧蔵に酵母が生き残っている可能性は非常に低いことは想像に難くないことでした。また、復活後数年の間は目の前のことに追われ、それにとりかかる力もありませんでした。
その中、酒蔵復活の道を探っている中で名城大学農学部応用微生物学の加藤雅士教授にイベントでお会いしたことがきっかけとなります。研究室の学生の尽力のもと、2024年12月に酵母の採取を行います。採取当日、学生たちは20年以上酒を造っていない本蔵の中を動き回りました。「酵母が残っている可能性は限りなく低い」── それでも、確信めいた予感がありました。

そして2025年2月に持ち帰った培地から7株の「酵母らしき菌」がピックアップされます。その後の調査により、清酒酵母であること、そして協会酵母とは別の酵母であることが確認されました。
2025年11月、あいち産業科学技術総合センターの食品工業技術センターにて独自酵母の試験醸造を行いました。

その結果、アルコール耐性もあり、鼻腔をくすぐるバナナの香り、そして口中に広がるメロンのような旨味が特徴的な清酒ができあがりました。この結果を踏まえ、伊東合資会社で試験醸造として行ったのが今回のKT酒米プロジェクトにおける「敷嶋」のお酒です。
【3.KT酒米プロジェクトについて】
愛知県半田市に拠点を置く、農業インフルエンサーであり、農家9代目の「農家のKT」とのコラボ企画となります。酒蔵は米農家がお米を造り続けないと存続できない。そのためにまず米農家さんの現状をお酒という媒介を通じて知ってほしいという想いから始まったこのプロジェクト。農家のKTが造る「夢吟香」を使い「義侠」「二兎」「敷嶋」の3蔵がそれぞれのお酒を製造することで、“米”にフォーカスをあてたプロジェクトです。2026年はそれぞれの酒蔵が「今までやったことがないこと」をテーマにそれぞれの酒造りをしてきました。お披露目は4月11日に行われる亀崎酒蔵祭です。
今回の酵母は今後、伊東合資会社を代表するお酒へと育てていく予定です。20年以上の時を経て本蔵に生き続けた酵母が醸す一本は、「敷嶋」の歴史そのものを飲む体験となります。
【4.敷嶋・伊東株式会社について】
伊東株式会社(代表銘柄:敷嶋)は天明8年(1788年)創業。
尾州廻船による江戸への交通の便の良さから知多半島の酒蔵は発展し、その中でも敷嶋(旧伊東合資会社)は中部地方最大級の酒蔵として全国に知られていました。
しかし、清酒需要の低迷を受け、2000年に廃業。一度は忘れ去られた酒蔵ですが、2021年に9代目伊東優の手によりM&Aによる清酒製造免許の取得、土地・建物の買い戻しにより再び愛知県半田市における酒造りを復活させました。
目指す味わいは「食の時間の価値を上げる酒」。全ての醸造が盛んな知多半島においてしっかりした旨味を受け止め、昇華させる酒造りを行っています。
また、旧蔵を少しずつ整備し、2024年には知多半島の食と歴史の複合施設「伊東合資」を開業。新たな食の起点となるべく活動をしています。

【5.名城大学 加藤雅士 教授 コメント】
酵母とは不思議な生き物で、人間の歴史のあるところ必ず酵母が食生活に影響を与えてきました。メソポタミア文明でもビールやパンの製造の記録が残っていますが、そこでも酵母が活躍していました。日本でも口噛みの酒の時代から酵母の恩恵を受けていたわけです。今回名城大学の学生が、敷嶋さんがかつて使っていた木の桶から酵母を分離することに挑戦したわけですが、正直言って成功の確率は五分五分だと思っていました。「まず、挑戦してみなさい」というところから始め、酵母らしいものが取れたとの報告にも、「しっかりと遺伝子レベルでも調べなさい」と、慎重に解析をすすめてもらいました。いわゆる「微生物の指紋」にあたる遺伝子配列を調べたことにより、サッカロマイセス・セレビシエではあるが協会酵母と異なることを示す結果が出てきて、少々驚きましたが、敷嶋さんオリジナルの酵母が再び息を吹き返してきたことには間違いがないと確信しました。さて、この酵母が日本酒にどのような味と香りをもたらすのか、とても楽しみです。
【6.伊東株式会社 伊東優 代表 コメント】
「え?うちって蔵独自の酵母を持っていたの?」
その事実を知った時、本蔵からの酵母採取を夢見ました。
敷嶋は1788年創業、2000年に廃業し、2021年に復活をした酒蔵です。現在清酒製造を行っている醸造場とかつて酒を造っていた本蔵は、酒造りを始めた2021年に買い戻しています。冒頭の一言は、本蔵から出てきたかつての製造経過簿に「SK-1」「SK-N」という見慣れぬ文字が書いてあったのを見た時に出てきた言葉です。酒造りは一般的には醸造協会から頒布される協会酵母という酵母を利用します。しかし、敷嶋はかつて自社独自の酵母も使っておりました。自社酵母も何種類かあり、どのような味わいだったのか含めもうわかることはないでしょう。でもその見慣れぬ文字を見た時から、「自社酵母」にロマンを感じていました。
今回の採取は加藤雅士先生が受け持つ、名城大学農学部応用微生物学研究室の学生の皆さんが行ってくれました。加藤先生との出会いはまだ前職時代の2017年6月。当時は様々な情報収集をしていた頃でした。酒造り、清酒製造免許、そして知多半島の歴史。知らないことばかりで闇雲に顔を出していました。その中の一つが出会いのきっかけです。酒造りが始まってからは、なかなかお会いすることもできず、ご無沙汰しておりましたが、2024年にイベントの際に加藤先生に久々にお会いした際に物語は動き始めました。今回採取に向けて活動、分析などを行って頂いた学生の皆さんには本当に感謝しております。今回、採取した自社酵母は今後の一つの軸になると思います。なぜ私が酒造りを復活させたのか。大きな理由の一つがもう全国でも残っていない、この貴重な建物を後世に遺していきたいからです。その建物に残っていたものから、採取された独自の酵母で醸す酒。これは自分が思い描いていた一つの理想でもあります。今後、この理想に近いプロダクトが伊東合資の代表的なお酒になることを確信しています。
【7.本件お問い合わせ】
・伊東株式会社 / 株式会社亀崎Kamos
事業企画/広報担当 平間 翔子
TEL: 0569−29−1125
E-mail: info@ito-goshi.com
・名城大学渉外部広報課
TEL: 052-838-2006
E-mail: koho@ccml.meijo-u.ac.jp






