【名城大学】 新素材を生み出すアップサイクルに挑む

持続可能性が叫ばれる昨今、廃棄物に付加価値を加えて新たな素材や製品に生まれ変わらせるアップサイクルに注目が集まっています。そこで、アップサイクルコミュニティ「上回転研究所」との共創で、廃材から新素材を生み出す手法を体験するワークショップを実施。

廃材から新たな価値を創り出す、 新素材デザインに挑む

建築業や窯業で大量に捨てられるタイルは、捨てる際にお金がかかる厄介者とされています。廃棄タイルなどを使ったアップサイクルのアイデアをカタチにし、廃材に新たな価値を見出すことはできないだろうか。そんな社会課題に向き合い、持続可能な社会について考えるワークショップを2日間にかけて行いました。
ワークショップを進行するのは、社会課題を企業やクリエイターとともに解決することを生業とする「株式会社On-Co」の廃棄問題に新素材開発という手法でアプローチする「上回転研究所」の方々。そして、岐阜県瑞浪市で50年以上続く釉薬メーカー「玉川釉薬」にも協力いただき、廃材から新素材を生み出すアップサイクルに挑戦しました。難しい課題に学生たちはどう向き合ったのでしょうか。

まるで合宿!? 工場見学からのアイデアソンと実践

1日目に向かったのは、瑞浪市にある「玉川釉薬」の釉薬製造工場。釉薬とは、タイルや陶磁器の上に塗るうわぐすりのこと。玉川釉薬はタイルメーカーから依頼を受けて釉薬の開発・製造を行なっていますが、その過程で廃棄タイルや釉薬の洗い水から出る汚泥が大量に発生します。午前中は釉薬の製造工程を見学し、午後からは事務所の一角をお借りして、アイデアソンを開催。工場から出る廃材をどうアップサイクルできるのか学生一人ひとりが考え、アイデアを発表しました。
2日目は、「上回転研究所」のものづくり拠点「madanasaso」に集まり、「玉川釉薬」から持ち出した廃棄タイルや釉薬汚泥を使って、アイデアをカタチにするためのプロトタイプを制作しました。丸一日作業に没頭し、ワークショップの締めくくりには制作したプロトタイプをSNSにアップ。アイデアをカタチにして社会に出し、認知・評価をしてもらうまでの一連の流れを体験しました。

大切なのは、 モノに込められたストーリー

2日間に渡ってワークショップに参加していたのは、都市情報学部都市情報学科1年の岡田まどかさん。出身地である瑞浪市での開催と聞いて、気軽な気持ちで参加したといいますが、最終的には釉薬の汚泥を使った新素材シートをつくるところまで到達しました。
「ワークショップではたくさんのアイデアが出ていて面白かったです。私は1日目の工場見学の後、砕いたタイルを土のパウダーにして食用する案や釉薬の汚泥を使って土鍋を作る案などを出しました。アフリカなどで起こっている食糧難の問題に興味があって、土食ができれば、役に立つのではないかと思ったからです。ただ安全性を調べるのが難しく、実現はなかなかできそうにありませんでした。

2日目は釉薬の汚泥に繊維を混ぜて新素材を作ることにしました。シートはなんとか完成したのですが、実はもう少し改良したいと思っています。「上回転研究所」の素材デザイナー村上さんがやってきたように、プロダクトには作り手の思いが込められていないと人を惹きつけることはできません。私がつくった新素材にもストーリー性のあるアイデアを加える必要があると気づいたんです」(岡田さん)

人生にはたくさんの選択肢がある 自分の強みを見つけて 輝ける人になりたい

2日間かけて新素材開発の入り口にたどり着いた岡田さん。参加してみて、思わぬ収穫があったと話します。
「私にはまだ将来の夢がありません。学生のうちにいろいろな経験をして自分に合う世界や仕事を見つけたいと思っています。2日間ワークショップに参加してみて、行動力があって面白い人たちにたくさん出会うことができました。在学中に起業したという「株式会社On-Co・上回転研究所」の藤田さん、卒業研究をきっかけに素材デザイナーになった村上さん、瑞浪市のまちおこしをされている「玉川釉薬」の玉川さん。素材の特性に詳しい建築学科の学生と話ができたことも刺激になりました。
人生にはいろいろな選択肢があるということをあらためて知ることができ、また自分らしく輝いている人たちは、自分の強みをもっていると感じました。まだ将来の方向性は見えていないのですが、だからこそいろいろな人に会って、行動してみて、自分の選択肢を広げていきたいです。そして、いつか誰にも負けない自分の強みを見つけて、代わりのきかない人になりたい。そんな目標をもつことができました」(岡田さん)

アイデアはカタチにすることで 価値が生まれる

ワークショッププログラムを組み立てた「株式会社On-Co・上回転研究所」の藤田さん、素材デザイナーの村上さん、そして「玉川釉薬」の玉川さんにも話を伺いました。
「素材デザイナーの村上が弊社に参画してから、廃棄物をなんとかしたいという企業からの相談をたくさんいただくようになりました。村上は大学の卒業研究をきっかけに素材デザイナーとして活動していますので、学生にはよい刺激になったと思います。この機会に名城生が新素材を生み出し、ビジネスにつなげていくような動きが出てきたら、名城大学出身の先輩として、僕も嬉しいです」(株式会社On-Co代表 上回転研究所コミュニティミキサー 藤田恭兵さん)

「新素材を開発するというミッションは難しかったと思いますが、学生から発想豊かなアイデアが出てきて驚きました。これまでになかったものをつくる挑戦なので、失敗するのは当たり前。失敗しても折れずに、考えて、やってみるというステップを繰り返すことが大事です。まずは自分のアイデアをカタチにするところまでやり遂げることに意味があると思います」
(株式会社On-Co素材デザイナー 上回転研究所所長 村上結輝さん)

「廃材の活用は弊社の課題と感じていましたので、この機会に名城生の力を借りて前に進めたいと思っています。この企画が面白いのは、アイデア出しで終わらないところ。私自身、これまでさまざまな事業やまちづくりに取り組んできましたが、アイデアがあっても結局はやるか、やらないかなのだと思います。今回はアイデアを出してプロトタイプを制作し、SNSで発表するというゴールまでの流れが面白く、皆さんの取り組みに期待しています」
(玉川釉薬役員 合同会社プロトビ・TILEmade代表 玉川幸枝さん)

素材デザイナー体験2Daysワークショップ 廃棄タイルを使って、新たな市場を作り出せ!!
開催日:2023年2月9日(木)・2月16日(木)
企画運営協力:株式会社On-Co


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