日高山瓦窯の発掘調査成果について

奈良文化財研究所

 日高山瓦窯は、藤原宮南門の南約300mに位置する日高山丘陵の北側に造られており、藤原宮に用いられた瓦を焼成した瓦窯として知られています。現在は日高山児童公園として整備されていますが、これまでの調査で4基の瓦窯の存在が確認されていました。
 そしてこのたび、2023年5月より発掘調査をおこない、従来確認されていた4基の瓦窯を再確認するとともに、新たに2基の瓦窯を発見しました。
 これらの成果を受け、7月1日(土)に現地見学会を開催いたしました。当日は降水確率90%にもかかわらず、奇跡的に雨が回避され、381名の方々にお越しいただきました。当日の現地見学会資料は以下の通りです。

発表資料はこちらです。

 その後、東に調査区を拡張したところ、さらに3基の瓦窯を確認することができました。したがって、今回の発掘調査では合計9基の瓦窯を確認したことになります。
 しかし、この拡張後の調査内容については、7月末までという調査期限の関係上、現地見学会等を開催することができませんでした。
 そこで、来訪者の皆さんに今回の発掘調査全体の成果を紹介するため、現地に発掘調査の内容を整理した看板を設置しました。その内容については、以下の通りです。

看板設置状況
看板設置内容はこちらです。

 今回の発掘調査によって、日高山瓦窯においては複数の瓦窯を備えた大規模な瓦生産体制が整えられていたことを明らかにするとともに、藤原宮の造営を支えた瓦生産工房の操業実態を示す重要な手がかりを得ることができました。
 ぜひ一度、現地にお立ち寄りいただき、1350年前の窯跡に思いを馳せていただくとともに、日高山瓦窯から藤原宮跡への眺望を御体感ください。