SVPジャパン 再注目されるCSVとサステナビリティ事業への活用

「企業は、社会が直面している問題やニーズに対応することで社会的価値と経済的価値をともに創造する」マイケル E. ポーター氏

 環境のみならず、私たちの価値観の変化などから、「地球環境を守り、より効率的な経済活動を通じて、より良い社会を創出・維持する仕組みや取り組み」、いわゆるサステナビリティの実現に向けて世の中が動き出している。
 2015年の国連サミットで、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が加盟193カ国より全会一致で採択されたこと、また、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)にてパリ協定が締結されたことなどから、世界中の企業が、目標達成に向けた活動の推進が求められるようになってきている。

■ 企業にとってのメリットとデメリット

 日本企業も例外ではなく、SGDs達成に向けて積極的に取り組む企業が増えてきている。実際、上場企業を中心とした大手企業層においては、大半の企業で取り組みが本格化しており、”SDGsウォッシュ”ではないが、真の取り組みは企業イメージアップにもつながっているようである。企業のブランド力の向上は、新たな顧客を創出して収益をもたらし、ひいては企業価値の増大につながると考えられる。ただ、現状を見る限り、サステナビリティへの取り組みを通じて、収益の拡大や競争力の強化など戦略的な効果が出ているとの声は少ない。また、SGDs達成への取り組みは、長期的でコストがかかり、さらには担当部門への負担も多く、本当に今後も活発な動きが持続可能なのか、難しい面もある。

■ CSV(共通価値の創造)への再注目

 このような状況から、再注目されているのがCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の考え方である。CSVという概念は、2011年に競争戦略研究の第一人者であるハーバード大学ユニバーシティ・プロフェッサーのマイケル E. ポーター氏らが論文「Creating Shared Values: (邦題)共通価値の戦略」で提唱したもので、「企業は、社会が直面している問題やニーズに対応することで社会的価値と経済的価値をともに創造する」ものと定義できる。
同論文では、資本主義論や企業と社会、ステークホルダーの関係を再構築することも言及されているが、最も重要なポイントは、CSVの考えを企業経営の中核として戦略的に捉え、新たな事業の創出や競争力を生むことで、長期に渡り、社会的ニーズ対応への投資が継続可能になることである。

■ これまでの企業による社会的ニーズの捉え方

 確かに、これまでの企業においては、企業利益の追求が大目的であり、売上拡大と徹底した低コスト化が重要とされていた。それを実現する戦略が、ターゲティングとバリュープロポジション、バリューチェーン構造による競争優位性の確立であった。言い換えれば、それらが企業にとっての最重要事項であり、社会問題への対応は、本腰を入れた事業ではなかった。
 事例として、慈善活動やCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が挙げられるが、どちらも良い取り組みではあるものの、企業の評判を高めることが狙いであること、また、企業にとって戦略的課題ではないため、業績や経営状況に影響を受けた限定的な投資となってしまっていた。

■ 共通価値を創造する3つのアプローチ

 これらの問題を解決するのがCSVのアプローチであり、同論文内で、共通価値を創造するには、3つの方法があるとされており、以下に事例も含め提示する。

 また、社会的ニーズには、健康・医療、食料・栄養、高齢化対策、インフラ整備、環境・エネルギーなど多岐に渡り、事業規模は巨大で、参入者は十分な経済的メリットを受けられる可能性が高い。

■ サステナビリティへのアプリケーション

 17の目標と169のターゲットより構成されるSDGsは、インフラから健康や食、教育まで、様々な関連する事業があり、巨大なビジネスマーケットを創出している(SVPインサイト Vol. 12参照 https://www.svpjapan.com/insight/download/report_20221027_01.pdf )。共通価値を創造する3つの方法と同様に、サステナブルな商品・サービスの開発・販売、カーボンニュートラルへの取り組み、産業クラスターやエコシステムの構築が進んでいる。
 CSV論文発表当時との大きな違いは、テクノロジーの進化であろう。スマートシティやクロステックに代表されるように、IoTや高速ネットワーク、クラウド、AIなどを活用した複合的なIT環境が、個別最適化を実現するリアルタイム性の高いサービスを提供している。そこでは、産業クラスターやエコシステムの構築が重要であり、企業はエコシステム内でどのポジションを取るのか、また、どのプロジェクトが有望で、どこの企業と組むことが最適か、判断が求められる。

■ 終わりに

 サステナビリティ関連事業は長期プロジェクトが多く、時代を先読みすることが求められる。そのタイムフレームではディスラプターなど新規参入企業も多く、幅広い情報網が勝負のカギとなる。企業や業界など幅広い情報をご提供できるSVP会員サービスを、是非ご検討・ご活用ください。

■SVPジャパンについて

「成功に導くビジネスの知を、もっと身近に」をミッションとした、会員制ビジネス情報提供サービスプロバイダー。
会員企業には、ビジネス公開情報に基づくクイックリサーチ、カスタムメイド型プロジェクトリサーチを提供。日本は1974年に創業し、現在世界40カ国に渡るネットワークのメンバーとして、大手企業を中心とした会員企業の意思決定を情報力でサポートしています。
 2021年には事業継承のため、経営体制を一新し、ガバナンスの強化、情報提供サービスの拡大、そして進化することを目指し、第二の創業をスタートしています。

《会社概要》
社名: 株式会社SVPジャパン
代表取締役: 橋本 雅
所在地: 東京都中央区日本橋蛎殻町1-38-9 宮前ビル2F
設立年月日: 1974年7月1日
事業内容: 会員制のビジネス情報提供サービス
URL: https://www.svpjapan.com/