【岡山理科大学】笠岡の離島に「いのドン」など試験設置・稼働スタート
理大が国のスマートアイランド事業に協力
低周波音を発してイノシシを撃退する装置「いのドン」などが9月19日、岡山県笠岡市の真鍋島に試験設置され、稼働を開始しました。ICT(情報通信技術)などを活用し離島が抱える問題を解決する国のスマートアイランド事業の一環。来年3月まで運用して効果を検証、その結果を受けて本格運用される予定です。
真鍋島には約100世帯が居住。地元関係者によればここ数年でイノシシが急増し、農地など人の生活圏で土地を荒らす深刻な被害が続出しています。この被害を何とか食い止めようと、今年度、全国8地域で選定されたスマートアイランド事業の一つに真鍋島が採択されました。
事業主体は岡山市の総合建設コンサルタント会社「エイト日本技術開発」、笠岡市、地元のイノシシ駆除グループなどで、笠岡市猟友会や岡山理科大学などが協力しています。
撃退作戦は、①島内12カ所に設置するカメラとAI画像解析システムを活用した鳥獣生息状況調査②「いのドン」などを使った日常的な鳥獣害対策強化③ドローンで上空から犬の鳴き声などを流してイノシシをワナに追い込む――という3つの柱で構成。
「いのドン」は、理大教育推進機構の辻維周(まさちか)教授が自動車部品メーカーと開発。この日、辻教授は地元住民の協力を得て、島中央部の尾根の獣道に設置。その近くに高周波音でシカなどを撃退する「ハイパー鹿ソニック」を据えました。ハイパー鹿ソニックは従来の「鹿ソニック」の周波数帯を広げ、到達範囲・放射角を拡張したもので、イノシシへの効果も検証するために設置しました。
いのドンは、イノシシが活動する夕方から早朝まで稼働し、センサーがイノシシなどを感知すると「ボー」という低周波音を発射。ハイパー鹿ソニックは秋の虫の小さな鳴き声のような高周波音を24時間出し続けます。それぞれ音波の発射パターンは50種類あり、“慣れ”に対応しています。
設置作業を手伝った地元の人たちからは「これでイノシシの活動範囲を狭めて、ワナで捕獲できれば」と期待する声が聞かれました。