[奈文研コラム] 実測道具にも歴史あり
奈文研オリジナル実測道具のご紹介
2022-12-01 09:00
奈良文化財研究所設立70周年・平城宮跡史跡指定100周年の節目の年に奈良文化財研究所野帳が誕生しました。野帳の表紙には平城宮跡第1次調査の図面や出土瓦と合わせて、奈文研が発掘調査で使用してきた道具や記録簿などをレイアウトしています。そこで今回の作寶楼では、奈文研オリジナルの実測道具を紹介したいと思います。
奈文研では、発掘調査を効率的に進めるため、測量や実測道具にさまざまな工夫を重ねてきました。例えば、平城京域や飛鳥・藤原地域には、東西3m×南北3mのグリッドを一単位とする「地区割」を設定し、各グリッドごとに「6ABO AK38」のような地区名をつけています。この地区名に、土器や瓦などの出土地や、穴や溝などの遺構の位置を示す住所のような役割をさせているのです。発掘調査の際には、ラベルを地面にピンで留めて、地区名をわかりやすくしています(写真1)。

また、発掘調査で図面を書く時に使う、3mのものさし「間竿(けんざお)」も奈文研オリジナルです。素材はなんと窓枠材。アルミニウム製で中空のため軽くて便利です。図面を書く時は、下の写真2のように間竿を縦横に組み合わせて、東西・南北の長さを測っていきます。

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