あらゆる企業の惣菜工場に。盛り付け作業のロボット化を低価格で実現。令和2年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業「ロボットフレンドリーな環境構築支援事業」に採択。
食品製造現場における人手不足解消に向けて
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:長南 収、以下キユーピー)は、一般社団法人 日本機械工業連合会(以下JMF)が公募する、「令和2年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業※1」に採択されました。この事業の目的は、ロボット導入が進まない「施設管理分野」「小売分野」「食品分野」における、ロボットフレンドリーな環境を構築することにあり、キユーピーはこのうち「食品分野」において、惣菜の盛り付け作業のロボット化をパートナー企業と共に、低価格で実現することを目指して参画します。
※1 経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2019年に立ち上げた「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を引き継ぎ、「ロボットフレンドリーな環境構築のための取組案」を、ユーザーの業務プロセスや施設環境等に具体的にビルトインしていくことを目的とした事業。
なぜ進まない?惣菜盛り付け作業のロボット化
キユーピーグループは現在、食品5事業+物流事業を展開しています。それぞれの事業におけるロボット化の程度はさまざまで、マヨネーズやドレッシングといった調味料の工場では早くから機械化が進み、工場内を見渡しても、人の姿はまばらです。一方、惣菜工場では、盛り付け作業をするために多くの人手が必要で、ベルトコンベアを囲んで多くの従業員が、24時間交代制で働いています(下図参照)。では、なぜ惣菜工場では一向に機械化が進まないのでしょうか。その最大の要因は、導入費用の高額化です。各社が個別のニーズに合わせたロボットを導入しようとすると、膨大なコストと時間を要します。その主な要因は、惣菜に求められる盛り付けの基準(見た目や重量など)が非常に高いため、人が行う高度な盛り付け作業をロボットに置き換えることが非常に困難であるからです。
低価格でのロボット導入、その先に実現したい未来とは
では、低価格でのロボット導入はどうすれば可能になるのでしょうか。本事業では、小売事業者との連携のもと、惣菜の盛り付けに関する仕様を緩和することで、高精度で高価なロボットを使わずに、スタンダードなロボットでの導入実現を目指そうとしています。2021年3月までに、〈盛り付け方式の仕様〉〈製造ラインの構想設計〉〈アームロボットの仕様〉をテスト環境で決定し、2021年4月以降は、惣菜工場での実証システム構築に繋げたいと考えています。そして、2022年には惣菜盛り付けロボットの実導入、さらに2023年には業界全体への普及を進め、国内の労働力不足の解消を図りたい考えです。将来的には海外展開を視野に、まずは2021年3月までの各種仕様決定に向けて取り組んでいきます。
キユーピーは、この事業を通じて、多くの人手を要する全国の惣菜工場が直面する共通の課題に真摯に向き合い、多くのパートナー企業の力を借りて、その解決に向けて前進していきます。
【研究開発内容】
1.惣菜盛付のための、ロボットフレンドリーなシステムインテグレーション仕様策定
1-1:盛付方式の仕様決め
1-2:製造ラインの構想設計
1-3:アームロボットの仕様決め
2.惣菜盛付運用時の全体最適化、ロボットフレンドリーな環境構築の検討※2
2-1:AIによる需要予測と協調領域データレイク検討
2-2:量子コンピュータによる高速シフト計算検討
2-3:商品マスターとMES※3連携
※2 ロボット導入効果を最大限にするための研究。
※3 Manufacturing Execution System:製造実行システム。製造工程の把握や管理、作業者への指示や支援などを行う。
【パートナー企業】(50音順)
・株式会社アールティ
・株式会社エクサウィザーズ
・株式会社FAプロダクツ
・株式会社グルーヴノーツ
・株式会社芝製作所
・株式会社旬菜デリ
・TechMagic株式会社
・デリア食品株式会社
・株式会社トウ・ソリューションズ
・日本電産株式会社
・株式会社ファミリーマート
・マックスバリュ東海株式会社