京セラ、高性能FTIR用 SN光源を開発
より高い赤外線放射率と15万回以上の使用に耐える高耐久性を実現
京セラ株式会社(以下、京セラ)は、高性能FTIR※用窒化ケイ素(Silicon Nitride、以下SN)光源を開発しましたのでお知らせいたします。
当社は、長年にわたりディーゼルエンジンの始動補助(着火)用余熱プラグとして、窒化ケイ素を使用したグロープラグを開発・量産してまいりました。車載用部品で培った信頼性の高い技術をFTIR用途に応用することで、優れた赤外線放射率を持ち、より正確な物質識別を可能にするSN光源を開発しました。さらに、京セラのSN材料は優れた耐久性を有しているため、機器の不良率の低下やメンテナンス時間の削減に貢献します。
※FTIR…フーリエ変換赤外分光分析(Fourier transform infrared spectrometry)の略。分析したい試料に赤外光を照射し、透過もしくは反射した光量を測定。物質ごとの透過、反射する赤外光のパターンを調べ、分子構造などを分析する方法
京セラ製高性能FTIR用 SN光源の特長
- コンパクトで顧客の要望に合わせた設計が可能
京セラのSN光源は、窒化ケイ素のセラミックスに発熱体を埋め込んだ構造をしています。発熱体を自由に設計できることにより、ワット数や出力温度、加熱面積などをお客様の要望に合わせ、カスタマイズ可能です。
- 赤外線放射率が高い
京セラのSN光源の赤外線放射率は、一般的に使用されるセラミック材料のSiC (炭化ケイ素)よりも高く (図1) 、赤外光を活用するFTIRにおいて、物質の正確な識別に役立ちます。
図1:450℃における赤外線放射率
3.製品の長寿命化
京セラのSN光源は、セラミックス内に発熱体を密閉しているため、発熱体の酸化を抑制します。これにより、15万回以上使用しても大きな性能劣化がなく、製品の長寿命化を実現します。
図2:SNプレート式光源のサイクル試験データ
4.優れた耐久性
窒化ケイ素は、炭化ケイ素の2倍以上の破壊靭性※を持ち、耐熱衝撃性や耐摩耗性に優れ、高温でも強度が高い性質を有します。窒化ケイ素を使用することにより、本製品の割れや欠けに強く、1,350度ほどの高温にも耐えうる優れた堅牢性を実現します。
※表面や内部に亀裂を持つ材料(亀裂材)の破壊に対する抵抗力を示す尺度の一種
窒化ケイ素(SN362)炭化ケイ素(SC 1000)破壊靭性MPa/√m
62~3■SN光源の詳細についてはこちら:https://www.kyocera.co.jp/prdct/ecd/heater_sn/index.html