NTTデータ経営研究所が 「買い物における『こだわり』に関する意識調査」を実施
こだわりのある商品では、約7割が 商品・サービスづくりへの関与に価値を感じている
株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳 圭一郎、以下 当社)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「買い物における『こだわり』に関する意識調査」(以下、本調査)を実施しました。
本調査では、消費者の購買活動の中心が「モノ消費」から「コト消費」に移っていることを背景に20代~70代までの一般の消費者を対象に、買い物における「こだわり」に関する意識について調査を行った結果、以下のことが明らかとなりました。
主なポイント
- 20、30代の6割以上は購買過程の体験にも価値を感じている
- こだわりのある商品では、約7割が商品・サービスづくりへの関与に価値を感じている
- こだわりのない商品・サービスは習慣的なリピート購入が多い
- 商品・サービスの購買にこだわりのある人の約9割は衝動買いの経験がある
背景
近年人々の購買活動の中心は、モノ消費よりもコト消費に移っていると言われています。コト消費においては、商品やサービス自体で得られる体験(UX:User Experience)のみならず、商品・サービス選びからアフターフォローまで含めたより広い体験(CX:Customer Experience)全体で付加価値を提供していくことが重要となります。一方で、購買体験と一口に言っても、こだわりの強さに応じて「商品の選び方=購買行動」は変わるはずであり、求める購買体験も異なると考えられます。求める購買体験が違うのであれば、商品やサービスの特性によって顧客へのアプローチ方法を変える必要が生じます。
本調査では、こだわりのある商品・サービス、こだわりの無い商品・サービスそれぞれの購買における、行動や価値観を調査・分析し、それぞれの商品・サービスにおける特有の行動や、消費者が購買時に重視する価値観を明らかにしました。
主な調査結果・考察
- 20、30代の6割以上は購買過程の体験にも価値を感じている
「家族、友達、知人と一緒に買い物を楽しめる」という体験をうれしいと思うかという質問に対して、20代、30代の7割以上が「とても思う」もしくは「思う」と回答しており、若い世代ほど他者と一緒に購買するという体験に価値を感じているという結果となりました(図1)。
また、「豪華、贅沢な店舗で買い物できる」という購買体験に対しても、20代、30代では約6割が「価値を感じる」と回答しており、若い世代ほど商品・サービス自体だけでなく、購買過程の体験も重視しているということが明らかになりました(図2)。
- こだわりのある商品では、約7割が商品・サービスづくりへの関与に価値を感じている
こだわりがある商品における、商品・サービス作り(設計、製造など)への関与意向について質問したところ、約7割の人々が商品・サービスづくりに関与すること「価値を感じる」という結果となりました(図3)。
また、もの作りに関与することで得られる価値についての設問において、最も多くの回答者が魅力を感じるものは、「自分の好みを反映できる」という点で「自分が作ったことを他人にアピールできる点」を上回っていました(図4)。本結果は、昨今のインスタ映えなどに代表されるような他者へのアピール以上に、自身の満足度を上げることに関心が高いということを示していると考えられます。
- こだわりのない商品・サービスは習慣的なリピート購入が多い
こだわりのある商品・サービスで、多くの人々が時間をかけて情報収集や比較検討を実行している一方で、こだわりのない商品に関しては、約半数の人が「現在利用しているものと同じ商品・サービスを購入する」と回答しました(図5)。
また、約半数弱の人が「情報収集に時間をかけない」、約2割の回答者が「周囲の意見を聞くことなく購入」、「類似商品との比較をほとんど行わない」と回答しています(図6)。これらの結果から、こだわりのない商品については、ほとんど情報収集を行わず、習慣的にリピート購入を行っている人が多く、必ずしも今の商品を気に入ってリピート購入しているとは限らないと考えられます。
- 商品・サービスの購買にこだわりのある人の約9割は衝動買いの経験がある
何らかの商品・サービスにこだわりを持っていると回答した人(こだわり派)の約9割が衝動買いの経験があると回答している一方で、こだわりのある商品・サービスは特にないと回答した人(こだわらない派)では約半数にとどまっています(図7)。こだわりがない人は購買全般に対してこだわりのある人と比較して慎重であることが見受けられます。
また、こだわりのある人では、半数以上が価格のみならずデザインや機能を気に入ることによる衝動買いの経験があると回答しており(図8)、こだわりを持つ人はこだわりがない人よりも幅広いアプローチにより購買意欲を掻き立てやすいのではないかと推察されます。
結論(今後について)
本調査の結果で得られたこだわりの有無による購買行動の違いを分析することで、必要な顧客コミュニケーションの違いがあることが明らかになりました。
こだわりのある人は、商品やサービス自体の体験だけでなく、CX全体における幅広い価値を求めており、そのためには労力を惜しまないということが明らかになりました。本結果から、こだわりのある商品はCX全体の様々な場面で差別化が可能であり、こだわりのポイントに的確に訴求することで偶発的な購買意欲を醸成することも可能であるため、購買体験の高度化に積極的に取り組んでいくことが有効であると考えられます。
一方で、こだわりのない商品については購買に時間をかけない、リピート購入が主となることが明らかになりました。本結果から、全くこだわりを持たない3割程度の人々に対しては、メールマガジンなどの情報提供やレコメンドが有効な手段であるとは言えず、割引やクーポンなどの金銭的な価値を中心とした、より分かりやすい、直接的なインセンティブを提示することが必要となると考えられます。
昨今データ分析技術の発展により、One to Oneマーケティングなど、よりパーソナライズされた情報を提供していくコミュニケーションが重要視されています。一方で、今回の調査結果によって購買体験自体をパーソナライズしていくことの重要性も明らかになりました。
当社では、今後もDXによる企業変革を支援していくために、各種調査や実践に取り組んでいきます。
調査結果の利用について
・本調査は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が共同で行っており、本調査結果の著作権は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が保有します。
・調査結果の一部を転載・引用される場合は、出所として「NTTデータ経営研究所/NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション」または「NTTデータ経営研究所/NTTコム リサーチ」と併記した上で、掲載日・掲載媒体・引用箇所などの情報につきましては広報担当までお知らせください。
・調査結果について、出所を明記せずに転載・引用を行うこと、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。
・本アンケート調査の生データは提供いたしかねます。
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