GSアライアンス株式会社が、スイス・イノベーション・パークと、 ブラックマスを用いた再生型リチウムイオン電池の製造、 研究開発において基本合意書を締結

GSアライアンス株式会社(本社:兵庫県川西市、代表取締役:森 良平)とスイスの産学連携の研究開発拠点であるSwitzerland Innovation Park Biel/Bienne(スイス・イノベーション・パーク・ビール/ビエンヌ、以下、スイス・イノベーション・パーク)は、GSアライアンスが開発したブラックマス由来の正極を用いた再生型リチウムイオン電池(以下、ブラックマス電池)の製造、共同研究開発に関する基本合意書(LOI : Letter of Intent)を締結しました。今後、GSアライアンスは、スイス・イノベーション・パークのネットワークに属する企業、スタートアップ、大学などの研究機関と連携し、共同研究開発を実施していく方針で、スイスを拠点に欧州大陸でのブラックマス電池のさらなる研究開発、製造拡販を目指します。

スイスバッテリーテクノロジーセンターとスイス・イノベーション・パーク・ビール/ビエンヌのロゴ

ブラックマスとは、リチウムイオン電池から取り出されるリサイクル材料で、見かけは黒い粉体でありコバルト、ニッケル、マンガン、リチウムなどのレアメタルを含んでいます。リチウムイオン電池に必要なコバルト、ニッケルなどのレアメタルの産出はロシア、中国、アフリカなどの特定の地域に偏在しており、政治的供給不安や価格変動のリスクが常にあります。よってリチウムイオン電池からこのブラックマスを取り出し、リサイクルすることが重要です。現在では、ブラックマスから硫酸、塩酸、苛性ソーダなどの強アルカリなどの危険な化学物質を用いてコバルト、ニッケル、リチウムなどの金属を抽出、分離して、再びリチウムイオン電池の正極とするなどの検討が行われていますが、この工程は作業員に対して危険で機械設備、環境にも負担がかかり、コストも高くなってしまいます。GSアライアンスはこのような複雑な金属抽出過程を経ることなく、ブラックマスから独自工程により直接正極を作成し、それを用いたリチウムイオン電池の開発に成功しており、2024年11月22日に、公益社団法人電気化学会が主催する第65回電池討論会においても発表しました。研究開発を継続した結果、最近は、市販のNMC111(LiNi0.33Mn0.33Co0.33O2)と呼ばれる正極材料を用いたリチウムイオン電池と比較して、約90%以上の初期的電池容量を示し、サイクル安定性も、良好な結果でした。このようにして作るリチウムイオン電池は、金属抽出工程を省くことができ、安全で環境への負荷も下がり、また、材料コスト、シンプルな工程を含めて安価な再生型リチウムイオン電池を製造することが可能になります。

よって、GSアライアンスは、このブラックマス電池を製造販売することにしました。実質的な材料レベルからの再生型リチウムイオン電池の製造販売は世界初と思われます。製造販売の準備を日本国内でも進めていますが、リチウムイオン電池は輸出費用のコストが高いため、それぞれの大陸で製造する必要があります。欧州大陸において、最適な国を数年間調査してきましたが、スイスにおいて、このブラックマス電池を製造販売、研究開発することにしました。

スイスは、国全体が先端的なソリューションを探求することを重要政策と位置付けており、世界の国のイノベーション能力をまとめたランキングで13年連続世界1位(※1)と、イノベーション大国です。スイス連邦工科大学チューリッヒ校やローザンヌ校からは、最先端技術を持つスタートアップが多く誕生しており、スイス国内での産官学共同連携を加速しています。

※1:WIPO, “Global Innovation Index 2023,” https://www.wipo.int/global_innovation_index/en/2023/

こうしたイノベーション大国のスイスにおいて、スイス・イノベーション・パークは、最先端の研究施設やオフィスやコワーキングスペースなどがある施設など、民間企業、スタートアップ企業、大学などの研究機関などが協力して、ライフサイエンス、コンピューターサイエンス、エネルギー、資源、環境、モビリティ、輸送、製造、素材などあらゆる分野において、革新的な技術や製品を開発するためのインフラを提供し、産官学が連携できるように最適なパートナーとのマッチングを支援しています。また安定した法制度、知的所有権の尊重、優れた教育システムなどに支えられ、スイスはイノベーション創出に最適な環境を整備し、世界最先端技術開発を先導しています。

カーボンゼロを目指す、エネルギー、クリーンテック技術はスイスが特に優れている分野のひとつあり、特にGSアライアンスが今回支社を設立したベルン州にあるスイス・イノベーション・パーク・ビール/ビエンヌにはSwiss Battery Technology Center(SBTC)があり、二次電池の開発には最適なイノベーションパークです。特にSBTCにおいては、現在、EVに使用されている大型のリチウムイオン電池からAIやロボットを用いて効率よくブラックマスを取り出す研究を進めており、取り出されたブラックマスから再生型リチウムイオン電池を製造するGSアライアンスとしては、最適なパートナーとなります。

今後は、日本国内と並行して、スイスのベルン州のスイス・イノベーション・パーク・ビール/ビエンヌを拠点として、欧州へのブラックマス電池の事業展開を加速していきます。

会社概要

商号   : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者  : 代表取締役 森 良平 博士(工学)
本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容 : 脱炭素、カーボンニュートラルの課題に取り組む環境、
       エネルギー分野の最先端技術の研究開発
       (国連のスタートアップ企業支援プログラム
       UNOPS GIC KOBEに2020年に採択)
URL    : https://www.gsalliance.co.jp/

スイス・イノベーション・パーク・ビール/ビエンヌの建物の外観
スイスバッテリーテクノロジーセンターの建物内
スイスバッテリーテクノロジーセンターで使用済みのEVバッテリーからリチウムイオン電池を取り出している様子
スイスバッテリーテクノロジーセンターで使用済みのEVバッテリーからリチウムイオン電池を取り出している様子2
GSアライアンスが開発したブラックマス電池
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