令和3年度 屋久島おおぞら高校卒業式
茂木健一郎校長就任後初の卒業式
広域通信制・屋久島おおぞら高等学校(屋久島町平内)は2022年3月25日(金)に令和3年度卒業式を開催いたしました。2021年4月1日に脳科学者 茂木 健一郎氏が校長に就任し、今回が初の卒業式となります。
「つながる場所、つなげる場所。なりたい大人になるために。®」を理念に掲げる当校の生徒は、年に一度スクーリングで屋久島へ訪れます。大自然を五感で感じ、不自由な環境の中で人とつながる、短くも充実した時間を過ごします。全国の仲間とともに成長した屋久島は生徒たちにとって特別な場所です。その屋久島でそれから夢や目標に向かって卒業式を執り行いました。本年は、新型コロナウイルス感染対策のため式を午前と午後の2回に分け実施し、3000名を超える卒業生のなかから65組139名の生徒保護者が参加しました。
卒業証書授与では2人目から「以下同文」となる部分を、生徒一人ひとりにむけて校長から"そのひとだけの言葉"がかけられた。「一人ひとりにとってユニークな学びがあるということと、学びに普遍的な標準(スタンダード)があるということは矛盾しない。生徒に卒業証書をお渡ししながら、高校を卒業できて、ほんとうによかったね、おめでとうと語りかけた。」と茂木校長は語ります。
学校長式辞
茂木校長の式辞では4月より成人を迎える生徒へ向けて言葉が贈られました。その内容を一部紹介いたします。※学校長式辞は公式YouTubeでご覧いただくことができます。
みなさん、ご卒業おめでとうございます。
この屋久島おおぞら高校は、なりたい大人になるための学びをすることを重視しています。
ただし、これは一生涯の課題だと思います。人間の脳は全く同じ遺伝子を持っている一卵性双生児でも脳の形を見ると全く違うんですね。みなさん、普段食卓を囲むときに座る位置は一人ひとり違いませんか。それによって入ってくる情報は変わります。そして、みなさんが出会う友達や先生、一期一会の出会いによっても個性は変わってきます。驚くべき科学的事実ですが、みなさんと全く同じ個性を持った人間は、この宇宙の歴史の中もう一人いることはありません。その個性をどう生かすかが人生の課題になります。そのうえで高校での学びはかけがえのないものだと思っています。
※中略※
みなさんの個性は、他人という鏡がなければ分かりません。自分という個性は他人という鏡に映して初めて分かります。そのことが学校の意味、そこで出会う仲間たちの意味、そして仲間たちとコミュニケーションをとる意味ではないでしょうか。友達がいるということは、自分を映す鏡がそれだけあるということです。これからの人生で是非、屋久島おおぞら高校の仲間との絆、縁を大切にして欲しいと思っています。卒業は英語でCommencementと言います。始まりです。これから皆さんの大人の人生が始まります。では、子どもと大人の違いは何でしょうか。子どもは、皆さんの周りの大人が作る安全基地の中でいろいろなことにチャレンジする存在です。大人が安全基地をつくるからこそ、子どもたちは安心してチャレンジをすることができるんですね。これから皆さんは大人になります。大人になったら、誰かの安全基地をつくる、安全基地になってあげる、そういう人になって欲しいと思います。そして、いつか今日、この日を思い出して他人の為の安全基地にになることで、初めて見えていなかった大人の想いが分かります。今日皆さんは卒業するとともにCommencement、人生の始まりです。改めまして、本日は本当におめでとうございました。
4月から成人となる生徒たちにとって、大人としての新たなスタートとなる時間となりました。
茂木校長は4月8日(金)都内で実施される入学式にも参加を予定しています。