【岡山理科大学】古生物の「動物園」と「水族館」はこんな感じ?!
理大の林准教授らが監修して2冊出版
もし恐竜を飼育するとしたら――。研究者たちが「ジュラシック・パーク」をまじめに考えてみた成果をまとめた『古生物動物園のつくり方』と『古生物水族館のつくり方』が出版されました。
両書とも「西暦20XX年、その古生物が“生きている”状態で確認されるようになった。当初は、『滅びたと思っていたけれど、じつは生きていた』と認識された」という想定で、古生物を飼育したらどんな動物園、水族館になるだろうか、ということを専門家が科学的なデータを踏まえて、真剣に考えました。
例えばこんな具合です――。
「剣竜類」と呼ばれる植物食恐竜の代表種の「ステゴサウルス」。最大で7㍍ほどにまで成長し、長い尾のトゲが危険なため、「檻の幅を狭くして、尾を自由に振ることができないようにしないと、非常に危険」。1日に必要な食事量は干し草を20・1㌔㌘で、「これを朝食に少量、夕食に残りのすべてといった具合に分けて与えている。昼は少量のイモやリンゴがおやつとなる」「骨髄炎になりやすいことが知られており、1カ月に1度、寝室で採血して検査をおこなう」といった感じです。
一方、日本のクビナガリュウ「フタバサウルス」は水棲の大型古生物。水槽は直径56㍍、深さ10㍍の円柱型で、水量は2万5000㌧。えさには「凍らせたサバやホッケ、シシャモ、スルメイカなどを水槽の縁から投げ与える。量は、1日あたり体重の1㌫が目安」「1日に1回は、生きたスルメイカを水槽に放ち、フタバサウルスの捕食行動を誘発させる。これは、ストレスと運動不足の解消を目的とする」
などとしています。イラストがふんだんにあしらわれて、「動物園」や「水族館」がイメージしやすくなっています。
どちらも著者はサイエンスライターの土屋健さんで、「動物園」には44種が登場し、岡山理科大学生物地球学部の林昭次准教授、千葉謙太郎講師や天王寺動物園(大阪)の佐野祐介獣医師ら9人が監修。「水族館」の方は36種で、林准教授をはじめ、海遊館(大阪)の伊東隆臣獣医師ら9人が監修しています。
林准教授は「家族みんなで思い切り想像力を膨らませながら、楽しんでもらえたらうれしい」と話しています。
2冊とも技術評論社(東京)刊。「動物園」は320㌻、定価2600円(税別)。「水族館」が224㌻、2300円(税別)。