菅原道真は左遷されても闘い続けた“政治家”だった 日経小説大賞受賞作家の歴史長編『あるじなしとて』を発売

学問と政治の「二刀流」で駆け抜けた生涯を描く

『あるじなしとて』書影
『あるじなしとて』書影

株式会社 PHP 研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2022年6月10日に『あるじなしとて』(天津佳之著/税込2090円)を発売しました。本書は、『利生の人』(日本経済新聞出版)で第12回日経小説大賞を受賞した新進作家の天津佳之氏が、菅原道真の政治家としての面に光を当てた歴史長編です。当代きってのエリート官僚でありながら、讃岐の地へ左遷された若き日の道真が政治家として大事なことを学び、京へ復帰して崩壊しかけた国を救うため奔走する姿を描きます。

讃岐の民政に奮闘し、右大臣に出世した政治手腕に注目

菅原道真は、福岡の大宰府天満宮や京都の北野天満宮をはじめ、全国各地で学問の神様・天神様として祀られています。また、日本三大怨霊の一人としても知られています。しかし、著者は以前から“政治家”としての菅公に注目していました。それは、知識を蓄積する学者にとどまらず、政治家として「歴史に学ぶ」を実践し体現した人物だったからです。讃岐の民政に奮闘し、京で右大臣に昇りつめるも、政敵の讒言で大宰府に左遷された道真が詠んだ「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな」。著者は道真に、律令制度が行き詰まる国を憂い、国を救いたいという政治家魂を感じ、その思いを『あるじなしとて』というタイトルに込めています。

平安時代を舞台に問う「政治家は何をすべきか」

著者は、本書を通して「時代が移り変わろうとも、政治というのは今も昔も非常に複雑で、その良し悪しはあっても多くの人の思いや努力で国や政治が動いている、ということを伝えたい」と語ります。少年時代の菅公が主人公の漫画『応天の門』(新潮社)が累計発行部数 100 万部を突破し、2024年の大河ドラマ主役が紫式部になるなど、いま注目の平安時代を舞台とした政界ドラマ『あるじなしとて』は、「政治家は何をなすべきか、学者は政治にいかに関わるべきか」を世に問いかける一冊です。

あらすじ

律令体制の限界、財政破綻の危機……。この国を救う――。たとえ我が名が残らなくとも。
文人として名を成し、順調に出世していた菅原道真は、讃岐守という意に反した除目を受け、仁和2年(886)、自暴自棄となりながら海を渡って任国へ向かう。しかし、都にいては見えてこなかった律令体制の崩壊を悟った道真は、この地を“浄土”にしようと治水を行なった空海の想いを知ると共に、郡司の家の出でありながらその立場を捨てた男と出会うことで、真の政治家への道を歩み出す。菅原道真の知られざる姿を描いた傑作歴史小説。

『あるじなしとて』について

著者

天津佳之(あまつ・よしゆき)
1979年生まれ。静岡県伊東市出身。大阪府茨木市在住。大正大学文学部日本語・日本文学科卒業。書店員、編集プロダクションのライターを経て、現在は業界新聞記者。『利生の人 尊氏と正成』で第12回日経小説大賞を受賞し、作家デビュー。

書誌情報

タイトル:あるじなしとて
著者:天津佳之
定価:2090円(10%税込)
発売日:2022年6月10日
判型:四六判上製
ページ数:384頁
ISBN:978-4-569-85213-3
発行:株式会社PHP研究所


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