富士フイルムと大阪大学 共同研究講座を設置 人工知能(AI)を用いた医用画像診断支援システムの研究・開発を推進
富士フイルム株式会社(社長:助野 健児、以下「富士フイルム」)と、国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎、以下「大阪大学」)は、大阪大学大学院医学系研究科に、人工知能(AI)を用いた医用画像診断支援システムや、病変箇所だと判断した思考プロセスを「説明できるAI(XAI:Explainable AI)」(*1)など高度なAI技術を開発する共同研究講座(*2)を2019年4月より開設いたします。
◆詳細はWebページをご覧ください。
→ https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1410.html?link=atp
共同研究講座設置の目的
近年、医用画像診断分野では、AI技術の活用が注目され、高精度の病変検出や鑑別などができるアルゴリズムを搭載したシステムの研究開発に期待が寄せられています。
今回設置する「人工知能画像診断学共同研究講座(以下、本共同研究講座)」では、大阪大学医学部附属病院の高性能な設備を用いて撮影した医用画像に、画像診断専門医が付与したアノテーション情報(*3)を蓄積した大規模なデータベースの構築に取り組みます。医用画像診断を支援する高精度なAI技術の研究・開発には、このような高品質・大規模なデータベースが不可欠です。このデータベースを基に、両者で最先端の医用画像診断支援AIの研究開発と社会実装を進めます。AIの開発においては、ごく少数の症例データから類似の症例を高精度に認識する「少数症例問題の解決(X-shot learning)」(*4)やXAIなど、より高度なAI技術の開発を行い、その実用化を目指します。
大阪大学における画像診断学の研究実績
大阪大学大学院医学系研究科の富山憲幸教授(放射線医学)は、最新の多列検出器型X線CT装置(*5)や高磁場MRI(*6)などの高精度画像診断機器を駆使し、高いレベルの臨床・研究・教育を行っています。画像診断においては、頭部・胸部・腹部など各領域の優れた画像診断専門医を擁して専門性の高い診療を行い、質の高い画像診断報告書を提供しています。画像診断の研究では、CT画像を用いた肺結節の良悪性の鑑別や肝臓のセグメンテーションなど、これまでコンピュータ支援診断に関する研究で多くの業績があり、これがAI研究に発展しています。
富士フイルムにおけるAI画像診断の研究/開発
富士フイルムは、これまでに機械学習技術を用いて開発した臓器抽出技術を、主に3次元画像解析システムの術前シミュレーション機能に応用させて提供してきました。現在、医用画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、そして医療機器の保守サービスの分野において活用できる、AI技術を自社開発するとともに、優れた技術をもつ国内外のAI技術ベンダーとパートナーシップを組んで、診断ワークフローを効率化するためのソリューション開発を進めています。
富士フイルムは、これらのAI技術を、“REiLI(レイリ)”というブランド名称で、各市場のニーズやワークフローに適したソリューションとして、グローバルに提供していきます。
◆用語説明
*1 XAI
透明性およびユーザーからの“信頼”が要求される分野で活用できるよう、意思決定の理由を人に提示できるAI技術。医用画像においては、例えば、画像のどの部分またはどのようなパターンをもって、病変箇所と判断したかを提示できるようなAI技術。
*2 共同研究講座
民間からの資金によって、大学内の部局に付加的に設置される独立した研究組織。資金を出資する民間企業などから研究者および研究経費などを受け入れて、大学の教員と出資企業からの研究者とが対等な立場で共通の課題について共同で研究することで、社会実装を見据えた優れた研究成果が生まれることを促進する。
*3 アノテーション情報
あるデータに対して、注釈として付与された関連情報。例えば、疾患が疑われる場所など。
*4 X-shot learning
人間には、1つあるいはごく少数の例を見ただけで、その特徴をつかみ、一つのカテゴリーとして記憶し、類似の例を認識する能力が備わっている。このように、1つまたは極めて少数の学習データで学習を可能とする課題(タスク)をいう。
*5 多列検出器型X線CT装置
X線検出素子が多列に構成された検出器を用いて、一度に広い幅の撮影ができるCT装置。撮影時の体動や呼吸の影響を排除し鮮明な画像が撮影できる。また時間軸を加えた4DのCT画像を撮影することができる。
*6 高磁場MRI
磁力の高い超電導磁石を使った静磁場のもとで撮影を行うMRI装置。信号値のノイズの影響を下げることができ、より細かくシャープな画像を得ることができる。
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