講演録「精神障害のある方の就労支援10のポイント」仕事だいじょうぶの本の著者

働く力を引き出すために〜知っていますか? 精神障害のある方の苦労や努力を〜

「精神障害のある方の就労支援」について講演する北岡祐子さん
「精神障害のある方の就労支援」について講演する北岡祐子さん

『仕事だいじょうぶの本』の著者で、医療法人尚生会 就労移行支援事業 (創)シー・エー・シー 所長、兵庫県精神保健福祉士協会会長の北岡 祐子さん。兵庫県精神保健福祉大会(平成31年2月9日)にて講演された「働く力を引き出すために〜知っていますか? 精神障害のある方の苦労や努力を〜」の講演録を掲載致します。
北岡さんは、「精神障害のある方の就労支援」を10のポイントでまとめています。ぜひ、お読み下さい。

1 精神疾患・精神障害をめぐる状況

精神疾患は5大疾病の一つであり、精神疾患も他の病気同様、誰でもかかる可能性のあるありふれた病気です。慢性疾患というと糖尿病や高血圧と同じです。

平成26年のデータによると、精神疾患の患者数は392万人だということです。これは26年の数字なので現在はまた少し変わってきているのではないかと思います。ちなみに同じ慢性疾患である糖尿病の患者数はどのくらいかご存じでしょうか。316万人なんです。精神疾患はそのくらい誰もがかかる可能性のある慢性疾患なのですが、日本ではまだまだ精神疾患のことはよく知られていないのが現状です。

日本では、精神疾患がどんなものなのか、精神障害とは何かというような知識教育がほとんどなされていません。

また、精神科の医療制度や精神科医療保健福祉サービスもいろいろとできてはいるのですが、それらのサービスにもそれぞれ課題があって、精神障害のある方々はその影響を受けて、戸惑われ苦しみ、悩んでおられます。私もかつて、まだ精神保健法の時代、働きたいと希望されている精神障害のある方に、働くストレスによる再発を心配し「無理して働かなくてもいいんじゃないか」「デイケアや作業所にまず通いましょう」と話していました。

今思えば、本人の希望を閉ざすことを言ってしまっており、ひどい支援者だったと思います。

精神障害のある方の就労にも、精神医療や福祉の抱える問題が大いに影響しています。精神障害のある方の就労を考えるとき、離職率が高いとよく言われますが、本当にそれは障害特性なのでしょうか?

2 精神障害のわかりにくい点

身体の怪我や病気と異なり、病気の症状や障害の程度が目に見えないためのわかりづらさがあります。また原因や症状の不明確さもあって、病気や障害のメカニズムがわかりにくいところがあります。

症状が消えたら服薬をやめたいと思うのは当然のことです。

しかし慢性疾患は長期にわたる服薬が求められます。通院服薬はいつまで必要なのかと不安に感じられている方も多いです。薬で症状が軽減しても、予防薬として服用し続けなければならず、通院をやめることができないことも苦労のひとつです。

またなぜ体調に波があるのか、なぜ症状がでるのかもわかりにくいのです。血液検査やレントゲンなどの検査数値でわかるようなものではありません。他の身体疾患でもそうですが、言葉で症状を表現することは大変難しいことです。しかし診断や処方は患者さんの表現する言葉に頼っています。症状を正確に言葉にできない不安や緊張を感じながら、診察に臨んでいらっしゃる方が多いです。これらのわかりにくさのため、本人も周囲の人も不安を感じます。

3精神疾患、精神障害とは

現在、精神疾患の多くはストレスに関連した脳内神経伝達物質の乱れや、脳機能の働きの低下が関係していると考えられています。もともとある生物的な素因に、環境の影響やストレスなど様々な要因が関与して、病気になると考えられています。ですので、体質やストレスの影響から、ある人は癌になり、ある人は心臓疾患、ある人は喘息になり、ある人は精神疾患にかかる、ということです。精神疾患は、かつて病気だと理解されず、狐がいたとか、ヨーロッパでは魔女だとか、他にも先祖のたたりではないかとか言われていた時代もありました。

しかし先ほども申しましたとおり、精神疾患も日本の5大疾病の一つであり、誰もがかかる可能性のある疾患であるということ。つまり高血圧や糖尿病の様な慢性疾患であり、慢性疾患ということは病気の後遺症が生活の障害になるということ、他の慢性疾患と同じで、通院し予防薬として薬を飲み続けながら体調管理する必要があるということです。しかし精神障害があってもその特性を理解し、生活の工夫や対処を身につけることができれば、自分らしく生活し、働くことができます。

4 精神疾患、精神障害のある方が背負っている苦労について

(1) 医学的診断の難しさ

まず医学的判断の難しさがあります。これは脳の機能の複雑さと難しさにも関係しています。言葉による症状説明の難しさがあります。

他の人へどう伝えたら痛みが正しく理解され正確な診断がなされるのでしょうか。頭が痛い、おなかが痛い場合、しくしく痛い、ズキズキ痛い、ガンガンする、等の伝え方をしますね。なんとなくしんどい、だるい、眠れないことを症状として具体的に伝えることはとても難しいです。

また、生体反応を明らかにしにくい難しさがあります。

頭が痛い場合は血管に病気があるかもしれない、おなかが痛くてもその裏側の臓器に病気があるかもしれません。それは生体検査で明らかになりますが、精神疾患の場合、血液検査やCTをとっても症状は見えてきません。診断する先生によって診断名が変わる場合もあります。

慢性疾患、後遺症としての障害を持ちながら生活することの工夫を、詳しく説明される機会が少ないという苦労もあります。 病気や症状とどうつきあったらいいのか、具体的に説明をうける機会がほとんどないのが現状です。服薬していても、声が聞こえたり不眠が続いたりしてもそれにどう対処したらいいのか、悩む方が多いです。

(2)通院・服薬の苦労

先ほども申しましたが、言葉でつらい症状を説明することの難しさがあります。

いかに上手に先生に伝えて、症状に合った処方を引き出すのかが大事です。服薬しても症状が軽減されない場合、苦しさと、なぜ楽にならないのだろうという疑問を抱くでしょう。

副作用の苦労もあります。一般の薬にも副作用はありますが、精神薬には眼球が上を向く上転作用が出たり、体が勝手に動いてしまう症状が出たり、口が渇いてしまう症状が出たりします。長期間飲み続けることの苦労もあります。 外出や旅行などで飲み忘れることもあります。医療機関を長期利用することによる、心理的負担、経済的な負担、時間の負担もあります。仕事をしながらでは負担が大きいです。

薬物療法以外の治療方法が少ないことによる、回復の遅れに関する苦労も大きいです。精神疾患が薬だけ飲んで解決すれば、障害福祉サービスは必要ないでしょう。

またいくら薬を飲んでいても症状が治まらないことがあります。

例を挙げると、ある方はご両親と同居されていました。親御さんがもうすぐ定年ということで、ご本人さんに「なぜ働かないのか」と毎日厳しく干渉されたそうです。ご本人も働かなければと思いながら、どうしていいかわからず負担に感じられて、体調を崩すこともあり、服薬を続けても辛い症状が続いていました。そこで関係者の支援で親と別に生活することになり、生活保護を受けて、一人暮らしを始めた途端、症状がいっぺんによくなった方がありました。このように精神疾患や障害の軽減、回復のためには心理的、社会的な影響がとても大きいです。

(3)病気について十分教えてもらえない苦労

精神障害のある方の苦労として、精神疾患、精神障害についてよく教えてもらっていないということがあります。

いつから、どうして自分が病気になったのかよくわからない。病気になるというのは誰にとっても初めての経験でよくわからないことがあるのは当然です。自分の体調がなぜ不安定になるのか、そのきっかけがわからないことの不安がありますし、またどんな条件があれば働き続けられるのかわからない。薬をいつまで飲み続けたらいいのかわからない。例えばわたしたちは風邪を引いて一週間分のお薬をもらって、3日くらい飲んで少し良なってきたなと思ったらもう飲むのをやめたりしませんか。でもいつになったらやめられるのかもよくわからない。

そして、いつになったら治るのか、完全に治るのかという不安も非常に大きいです。精神疾患になったこと、精神障害があることへの自分自身へのとまどいと苦しみがあります。なぜ自分だけこうなってしまったのだろうかという罪悪感や自己否定感、そして社会の偏見に苦しまれています。

これらのことに応える心理的な治療やリハビリが求められています。

薬を飲むだけでなく、対人的な関わりが大切です。精神疾患にかかることで、働けなくなる、学校に行けなくなるなど、友人や家族関係る苦しくなり今までの人間関係も絶ってしまわれることがあります。薬による治療だけでなく、社会の中で生活できるための人間関係づくりや社会参加というリハビリ治療も重要なのです。

5 精神障害のある方への呼称とその背景

精神障害のある方にはいろいろな呼び方があります。時代とともに様々に変化してきました。その背景には精神疾患・障害に対する苦難の歴史があり、精神医療の特殊性が反映されているのではないかと思っています。

まず、医療の対象としての「精神病者」、病者としての位置づけです。しかしこの名称に偏見や差別が含まれ、会でマイナスのイメージがありました。慢性疾患であり医療を長期間必要とすることやその後遺症としての障害をもつという意味で「精神障害者」「精神障害のある方」という呼び方があります。ここでようやく福祉サービスの対象となりました。

また「クライエント」といって相談に来る人、来談者という呼び方もあります。このほか「コンシューマー」というのは消費者と訳されますが生活者として、精神医療の消費者としての捉え方があります。

精神医療の、医療福祉サービスを使う「ユーザー」という呼び方や「利用者」という呼び方もあります。その他「サバイバー」といって、これは過酷な精神医療の現場から生還した人という意味で使われています。

さらにいつまでも病者というレッテルを貼られるのではなく、所属するクラブハウスの一会員であり一市民なのだという、「メンバー」という言い方もあります。これはデイケアなどでよく使います。

「プロシューマー」という造語もあります。これはプロデューサーとコンシューマーをあわせた造語です。サースを提供するピアカウンセラーやピアサポーター、ピアヘルパー等と、サービスを利用する立場の両方を指します。このように他の病気にはない多彩な名称が使われたのは、「精神病者」という差別偏見を何とか変えていきたいという、苦労の現れなのです。

6 精神医療保健福祉施策で求められる取り組みについて

(1) 精神疾患、精神障害に関する知識教育の必要性

十代で精神疾患は急増することが北里大学の佐藤先生の調査で明らかになっています。もし十代の子どもたちが学校教育で学び、正しい知識と理解があれば、早期に本人や周囲が対応し重症化を防ぐことができます。

WHOとIEPA(国際早期精神病学会)も「学校に通う15歳のすべての若者が、精神病に対処しうる知識を身につけるべきである」と2004年に提言を出しています。日本では2009年にあり方検討会がもたれており、2019年度から高校の「保健」の授業で「精神疾患」の説明を加えることとなりました。2022年からいずれ小・中学校でも取り入れるということになっています。

なるべく早く実施してほしいものです。

(2) 精神医療制度について

欧米の精神科病院の9割は公立病院ですが、日本では逆に約9割の病院が民間病院です。公立病院であれば病床数を減らせばその職員を他職場に振り分けることは可能ですが、民間では難しいのが現状です。ですので、30万人あまりの社会的入院を減らすといってもなかなか病床数を減らすことができません。さらに、日本の総病床数の約2割が精神科病床で、全世界の精神科病床数の約2割が日本にあるというデータも出ています。

また精神科特例の見直しを行い、マンパワーを増やすことも必要です。精神科病院では、精神科特例といって患者一人あたりの医師数や看護師数の基準が一般科より低く設定されています。医師の数は一般科の3分の1、看護師の数も3分の2になっていて、このマンパワーでは精神障害のある方が、十分なサービスを受けられないのは当然です。スタッフ数が足りず、安心・安全な医療が提供されていないといえます。当たり前の医療サービスを受けられるようにする必要があります。そして精神疾患の特性に合わせた治療環境を整備したり、心理社会的なリハビリテーションを実施していく必要があります。就労支援にも診療報酬制度を適用させるなどの仕組みが必要ではないかと思っています。

さらに措置入院や医療保護入院などの強制入院、身体拘束や行動制限等を減らす取り組みが求められます。例えばオープンダイアローグやユマニチュード等の援助技法を導入する等の方法が考えられます。この病気は対人関係の病気です。対人関係の問題は対人関係の中で回復していきます。本人の希望や社会参加、自分らしい生活の実現を支援してくれる人間関係が求められています。

(3)外来ニートという問題

日本精神神経科診療所協会の「明日のクリニックを考える研究会」というところが2007年厚生労働省の研究事業として調査を実施しています。65才未満の方で6か月にわたって就労も就学もしていなくて、自宅でも家事もしていなくて、地域の福祉施設などの利用もされていなくて、クリニックにのみ通院している精神科の患者さん3,768人を調査したものなのですが、その3,768人の21パーセントにあたる779人は全く社会活動に参加していないという結果が出ています。

また、その779人の半数は、10年以上保健や福祉といったサービスを何も利用されておらず、単にクリニックの外来にだけ通っているのです。この人たちの78パーセントは家族と同居していますが、障害福祉サービスは使われていません。クリニックで福祉サービスの情報が提供されないからです。日本ではサービスは自分から見つけていかないといけないのですよね。

単にクリニックに通院してお薬を飲んでいるだけでは体調は安定しないです。お薬を飲んでいるだけで解決すれば苦労はありませんし障害福祉サービスも必要ありません。大切なのは、症状への対応だけでなく、障害をもちながら働くことや生活していくことに必要な体調管理の工夫や、社会生活の中のコミュニケーション法やストレスへの対処法について相談し練習できることなのです。

たとえば服薬の工夫について。ある方が職場で昼の薬を飲むことに困っていました。人前で飲むことに抵抗はあっても、トイレでこっそり飲むのもどうかと主治医の先生に相談したところ、お昼の分を朝に一緒に飲んでいいと言ってもらえました。あくまでも昼食時に飲むことを守らせようとするのではなく、生活の工夫を相談できることがとても大切なことなんです。

「働きたい」と希望されていた方がおられたのですが、その方が主治医の先生に相談したら、無理をしないほうがいいという意味で言われたのだと思うのですが「就労継続支援B型がいいんじゃないか」と言われてしまったというのです。その人は私たち支援者からもみても働くことが可能な方でした。それでその方の診察に同行させてもらいました。主治医は障害者に関する就労支援の制度などを全くご存じなかったので、私から説明させてもらいましたところ「そのような障害者雇用の支援制度があることを知らなかった」、「そんなにいい制度、サービスがあるのならいいと思う」と理解してくださいました。

当事者も利用できる制度やサービスを知らずに過ごしている方が多いです。大きな精神科病院でしたらソーシャルワーカーがいますが、クリニックではなかなかそうはいかないですし、生活を支援する社会資源や就労に関する制度などの情報もなく、ご存じないことがほとんどです。ぜひクリニックには生活や就労を支援するサービス制度案内のパンフレットを置いてほしいと思います。

7 精神障害のある方のおかれている状況

いろいろな種類の不安がありますが、単に病気への不安だけではなく、精神科医療への不安、精神障害の特性を理解して支援できない障害福祉サービスへの不安、自分自身の体調が安定しない不安、社会の中で生活する上の不安、それでも働いて何とか生活しなければならない不安、経済的な不安等様々な不安がありながら、それでも努力をし続けて生活されているのが精神障害のある方の実態です。

8 精神障害のある方の力を活かすために

(1)当事者の方はあきらめない

あきらめているのは常に支援者側です。

仕事をしたいという思いに、病状が悪くなるのが心配だから就労継続支援B型にしよう、体調が不安定だから働かない方がいい、と支援者が就労を諦めています。

利用者の「希望」を大事に育てることです。支援者は「就労は無理ではないか」と判断するのではなく、本人の働きたいという希望を叶えるためには、どのように工夫すれば働けるのか、どのような職場環境や仕事だったら力を発揮できるのか、あらゆる方法や可能性を考えて試すことが必要です。

(2)人は、環境との相互作用の中で生きています

支援者は、当事者の方にいい環境を提供できるかが大事です。

人は一面だけでなく、家族に見せる顔、職場で見せる顔、医療機関で見せる顔、福祉施設で見せる顔と様々な面をもっています。

それぞれにいろいろなできる力を持っています。いい環境を作り出すことで、できる力を引き出すことが出来ます。反対に良くない環境におかれると、自分自身が萎縮して無力に感じてしまいます。どんな人にとっても、自分に合ったいい環境であればできることも増え、回復力も高まり、力を発揮し伸ばすことができます。

9 精神障害のある方を雇用している企業の方の言葉

時間がなくなってきました。富士ソフト企画株式会社さんでは、短時間勤務からゆっくり始めること、指示はあいまいでなく具体的に出すこと、感情的に怒ったり注意しないこと等を配慮されています。働く中で薬の量が減ったり、症状が改善したりという現状もあるようです。

詳しくはHPを見てください。高島屋さんやいなげやさんのことばも是非ご参照ください。

10 働いている精神障害のある方からのメッセージ

ここで、実際に働いている方からのメッセージをご紹介します。(創)シー・エー・シーでは、利用を経て就職した方々にアンケートをとっていまして、そのなかの一部をご紹介します。

(1)【働き続ける中で、良かったこと】

○自分で働いた収入で生活でき、人としての自信を回復した。
○収入を得て、趣味が広がり人との関わりが増えた。
○仕事ができ給料がもらえる喜び、気持ちにもメリハリができた
○家族、親族に対しても経済的な義務が果たせて、関係も良好になった
○働くことで、社会の中で自分が何かの役に立てていることが嬉しい」
○働くことで、社会的な信用を得られた、今何をしているか聞かれても困らない
○会社で多様な経歴を持つ人と接し、学びと成長が得られた
○生活のリズムが身についた。規則正しい生活を送るようになった
○働いて体を動かすこと、人と話をすることすべてがリハビリと思う

等の声が聞かれています。働くことは最大のリハビリです。

(2) 【自分自身が大切にしていること】

○自分自身で仕事に役立つ勉強をすること
○遅刻や欠勤などなく、余裕を持って出勤時間を迎えること
○仕事を最後まで諦めず、丁寧にゆっくりとこなすこと
○ストレスがたまったり無理を感じたりしたら相談するなど早く解消する
○生活のリズムを崩さない。無理をしないこと
○早寝早起き、睡眠不足にならないようにすること
○人間関係で思い詰めないこと
○自分から挨拶すること。笑顔を心がけ、雑談も積極的に行う
○気の合わない人には傷つけられないようこころを開きすぎない

など皆さん働きながらそれぞれに工夫をされていることがよくわかります。

(3)【働くことをめざしている仲間に伝えたいこと】

○何事に対しても一つの仕事を長く続けることを大切に
○無理をしすぎてしまうと本末転倒なので、人とのコミュニケーションを欠かさずに行うことが重要です
○ゆっくりでいいので自分のペースで前に進んでいくこと
○周りの人たちへの感謝を忘れずに
○障害を持っているからといって、何も引け目に考えなくてもよい
○働きたいという強い気持ちを持ち続けることで道は開かれる
○どんな仕事でも必ず誰かの役に立っているので、与えられた仕事を心をこめて、誇りをもってできればいいと思う。
○働く中で様々な困難があり時には傷つくこともあるが、そんなときは上司や支援者に相談しましょう

休むことを恐れないでください。休むために頑張れることもあります。体調が崩れる時は急に崩れるのではなく、前からの無理が重なって崩れます。辛いこともいっばい思い出すと思いますが、できることをいっぱい体験して自信を取り戻してください。

最後に~精神障害のある方とは~

精神障害になるということは、当人にとって初めての体験です。

見えない障害であるがゆえに、本人もそして家族も戸惑い、苦しみます。しかし、それは誰のせいでもないのです。精神障害のある方は、傷つき苦悩しながらも、困難な課題に果敢に挑戦し、勇気ある前進を続けている方たちです。

V.Eフランクルの言葉です。フランクルは、ナチスドイツの収容所に収容された精神科医です。「どのような状況になろうとも、人間にはひとつだけ自由が残されている。それはどう行動するかだ」と言葉があります。過酷な収容所生活の中でも、人は絶望し何もしない自由もあれば、笑うこともできます。困難で苦しい状況に置かれたときにどう行動するか、その行動の選択は自由なのです。

この言葉から、精神障害という困難な状況におかれながらも、前に向かって果敢に歩もうとする方々の、希望と勇気と力をいつも思います。

ご静聴ありがとうございました。

著者・北岡祐子(きたおかゆうこ)

就労移行支援事業 (創)シー・エー・シー所長
精神保健福祉士

精神保健福祉の仕事に携わって約30年。主に精神障がいや発達障がいのある方々の就労及び生活支援に携わってきた。1990年米カリフォルニア州の地域精神保健福祉研修(地域生活・就労支援、ケースマネジメント、州立病院にてSST、コンシューマー・セルフヘルプセンター、ピアカウンセラー養成研修等)での経験が仕事の大きな礎となった。特に、SSTの学びは働く力をつけるための有効なツールであることを実感。現在は就労移行支援事業(創)シー・エー・シー所長。(一社)兵庫県精神保健福祉士協会会長。社会活動として日本更生保護協会の保護司SST研修を担当するなど全国で講演活動も多い。1968年東京生まれ、島根大学教育学部卒、現在神戸市在住。
『本人・家族のためのSST実践ガイド』『現代版 社会人のための精神保健福祉士』などへの執筆がある。

著書『仕事だいじょうぶの本』

仕事だいじょうぶの本ー職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK

・著者:北岡祐子
・発売日:2021年5月7日
・価格:1,980円
・判型:B5判(横182mm×縦257mm×幅10mm)
・ページ数:128ページ
・ISBN:978-4-295-40545-0
・発行:株式会社ペンコム
・発売:株式会社インプレス

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