「ビル再生100の物語」ウリを仕掛けて創る方法
ビル再生100の物語 第92話
テナワンでは、これまで多くのビルの空室対策や賃貸運営を行ってきました。
それぞれの問題を解決してきたビル再生の事例を「100の物語」としてこれから公開していきます。
いつもと少し趣向を変えて、ビルオーナーさんに焦点をあてた話にしようと思います。
中村ビルさんのお話です
ビルオーナーの中村さん、持ちビル法人にして3棟ビルを所有されています。
当社の空室対策セミナーにお越しいただいたことがきっかけでのお付き合いです。
「空室対策は、打席数×打率だ」とか
「募集資料もいろいろ工夫しましょう。ランチマップ作るとか」
などの話を、ひとつひとつメモを取って熱心に聞いていただき、最初にビルを見せていただきに伺ったときには、すでにそのいくつかを実践されていました。
こういう、すぐ取り入れてみるスタンス、とても頭が下がります。
「頭じゃわかったけど、なかなか手が動かない」
「そんな地味な作業よりもテナント紹介してほしいんだよ」
というオーナーさんが多い中、打てば響く中村さんのようなオーナーさんに対してだと、僕らも「絶対に決めてやる」と燃えてきます(笑
見えてきた問題とは……
空室対策業務をお任せいただいてしばらくして、とあることに気づきました。
「こんだけビルの情報を露出してるのに、そもそも問い合わせが少ない・・」
内見どころか、問い合わせが極端に少ない状態は、いわゆる打席数が少ない、ということになります。
こういう場合、大体いくつかの原因が考えられます。
・周りに競合ビルが多すぎて埋もれている
・エリア自体が不人気(または周辺エリアにもっと便利で相場の安いところがある)
・賃料が高すぎて見向きされていない
・建物が古すぎる、設備スペックが決定的に低い
中村さんの千代田区のビルの場合は、ビル周辺は元々とても地ぐらいが高いものの、競合が多いことと、どこの駅からも若干遠いためにイマイチ不人気、という状況でした。
「だから賃料下げてくれ」では僕らの存在意義がありませんし、そもそもそのビル自体は十分こなれた賃料設定でした。
敵を知ろう!
「中村さん、まず敵を知りましょう」
周辺で直接競合しそうなビルをピックアップしてビルツアーしてみることに。
安い賃料のビルや、もっと立地のイイモノなど、まあいろいろありましたが、
「このビル達と見比べられても見劣りはしない」
30物件も見て回った印象はコレでした。
まあ、そもそもエリア的に隣の駅に行けばもっと安くて駅近の物件がたくさん空いているので、周辺のビル達も苦戦しているわけですが。
ウリを仕掛けて、いざ作る
そのビルには、広いバルコニーがあって目の前の神社の森がとてもいい借景になっています。春には桜が咲き乱れて、バルコニーから優雅なお花見もできちゃいます。
(実際にそこから見える春のサクラ! は圧巻です)
「他にないこのウリをもっとアピールしましょう! 周辺ビルと比べられてる場合じゃないですよ」
僕らの提案は、そのバルコニーに植栽とパラソルを置いて、リゾート気分な写真を募集資料に入れ込むことでした。
実はこれ、植栽をリースにすれば月数千円で実現できます。
「わかった、まずはやってみよう」
ということで設置&撮影。これが実にいい雰囲気です。
インターネット仲介会社にもさっそくその写真を送って掲載してもらいました。
で、すぐ成約!となるほどアマくはなかったのですが、じわじわと認知が広がっていって、3か月後にようやく成約。
それまで長く空いていたことを考えれば、やってよかったという結論です。
こういう「ウリを仕掛けて作る」作戦、オススメですよ。
始めて読まれる方に
中小築古ビルのオーナーを対象に空室対策を実戦的に解説した空室対策技術集を無料配布してします。
これまで、東京都心の中小型ビルが検討客を集められない4つの原因へ対応する考え方として、リーシングマネジメントという考え方が大切だとご説明しました。
リーシングマネジメントの基本的な考え方は、
「打点(空室を埋めること)は、打席数(認知度を上げること)×打率(決まりやすい条件やウリ)に比例する。」
です。
弊社での空室対策の事例やオーナーさんの声など、テナワンのHPにて詳しくご覧いただけます!