【名城大学】在日本ドイツ大使館の一等書記官が都市情報学部で講義

演題は「経済安全保障:ドイツの視点から」 基本概念やドイツの現状などを解説

「経済安全保障」について解説するクレープス一等書記官

在日本ドイツ連邦共和国大使館のクレープス・花(Hanna・Bianca・Krebs)一等書記官が6月19日、本学ナゴヤドーム前キャンパスを訪れ、都市情報学部の稲葉千晴教授が担当する3年次開講科目「都市と国際関係」でゲストスピーカーとして登壇。学生約80人を前に「経済安全保障:ドイツの視点から」と題して「経済安全保障」の基本概念や重要性、ドイツでの現状などについて解説しました。

「日独両国はサプライチェーンの強靭化など互いに協力し合うことができる」と強調

現在、ドイツ大使館で「経済安全保障・地経学」担当を務めるクレープス一等書記官はまず、「経済安全保障」について「経済と安全保障の側面が重なった概念」と説明し、日本政府による定義を参考とし、半導体やレアアースといった特定の戦略的物質を特定の国家に過剰に依存しない「戦略的自律性」と、国際的に不可欠な存在になることで優位性を維持して攻撃を抑止する「戦略的不可欠性」の2点の目的を挙げました。

ドイツの政治・社会状況も紹介
稲葉教授からの問い掛けも

続いて、クレープス一等書記官はドイツで「経済安全保障」を本格的に一般論でも議論される契機になったのが2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻だったと指摘。天然ガスのほぼ60%をロシアからの輸入に頼っていたため、「エネルギー安全保障が最優先となり、天然ガスなどの供給ルートの多様化や風力、太陽光など再生エネルギーへの移行が加速度的に進んだ」ことなどを紹介しました。

最後に、クレープス一等書記官は「経済安全保障」における日本とドイツとの関係の今後の見通しについて、経済安全保障などのテーマをめぐり2024年7月に日独首脳会談が検討されていることが先日発表されたことなどを挙げ「両国とも民主主義的価値観を共有するパートナーで、ハイレベルな政府間協議を続けており、経済構造も類似点が多いことから半導体などのサプライチェーン(供給網)の強靭化などグローバルな課題にお互いに協力し合うことができる」と強調しました。

学生からの質問に答える形で、ドイツの現在の政治・社会状況についても紹介。難民や移民の排斥を主張する極右政党が勢力を伸ばしており、極右だけでなく、極左や反ユダヤなどありとあらゆる潮流のテロの脅威があることや、日本と同様に労働力不足という問題に直面しており、移民や難民がその労働力となっているおかげで助かっていることなども指摘しました。

学生から質問も
講義終了後、稲葉教授と
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