『土製鋳型を中心とした冶金関連資料による東アジア冶金史学の構築』を公開しました
全国文化財総覧で閲覧いただけます。

本書は「土製鋳型を中心とした冶金関連資料による東アジア冶金史学の構築」(2020~2024年度(令和2年度~令和6年度)科学研究費助成事業(基盤研究(B))(課題番号:JP20H01365 (2020-2023),JP23K20122 (2024))という研究課題にもとづき、東アジアにおける冶金関連遺物を対象とした調査・研究をおこなった成果をまとめた報告書です。
冶金とは鉱石や原料から金属を取り出す「製錬」、複数の種類の金属材料を融合させる「合金」、金属を加工して成形する「鋳造」「鍛造」など、金属・金属製品の生産に関わるあらゆる過程を指します。近年、中国では人類の冶金の歴史を考古学・文化財科学双方から検討を行う「冶金史学」が発達し、青銅器や鋳型の研究を中心に多くの成果が発信されています。本書はこうした「冶金史学」の方法論を日本でも実践し、土製鋳型・砥石・羽口・溶解炉など冶金関連遺物の調査を進めた成果を収録しています。
目次
本研究の経緯と概要
Ⅰ 冶金関連遺物研究
1. 東アジアにおける「北方系」湾曲羽口の展開 丹羽崇史
(『中国考古学』21、91-102 頁、2021 年12 月)
2. 侯馬鋳銅遺跡における溶解炉の検討 丹羽崇史
(『アジア鋳造技術史学会研究発表概要集』14、48-50 頁、2021 年8 月)
3. 日本古代の土製鋳型についての基礎的検討 丹羽崇史
(『奈良文化財研究所紀要2022』16-17 頁、2022 年6 月)
4. 二里頭時代から漢代における土製鋳型の基体構造の変遷 丹羽崇史
(『アジア鋳造技術史学会研究発表概要集』15、24-26 頁、2022 年7 月)
5. 失原型鋳造実験試料・鋳型の金属学的調査
―失錫法実験試料を対象として― 丹羽崇史・長柄毅一
(『日本文化財科学会第 40 回記念大会研究発表要旨集』 108-109 頁、2023 年10 月+発表ポスター)
6. 鋳造関連民具の考古学・文化財科学的調査 丹羽崇史・村田泰輔
(『日本文化財科学会第 40 回記念大会研究発表要旨集』106-107 頁、2023 年10 月+発表ポスター)
7.中国青銅器・銭貨鋳型の調査
-泉屋博古館・和泉市久保惣記念美術館所蔵資料を対象として- 丹羽崇史・村田泰輔
(『日本文化財科学会第 41 回記念大会研究発表要旨集』114-115 頁、2024 年7 月+発表ポスター)
8. 砥石からみた平城京における冶金生産体制 森貴教・丹羽崇史
(『奈文研論叢』5、13-28 頁、2025 年3 月)
Ⅱ 青銅器研究
1.製作技術からみた九連墩墓地出土青銅鼎
―「同模品」と製作痕跡の分析による戦国時代青銅器生産体制・供給形態の検討― 丹羽崇史
(『持続する志 岩永省三先生退職記念論文集』577-595 頁、2021 年3 月)
2. 春秋戦国時代山西中南部地域における青銅器生産体制復元のための基礎的検討 丹羽崇史
(『東アジア考古学の新たなる地平 宮本一夫先生退職記念論文集』759-776 頁、2024 年3 月)
引用文献・図表出典
本研究成果一覧