日本オラクル、メインフレーム上のアプリケーションをオープン環境に移行する「Oracle Tuxedo ART 11g R1」を発表
日本オラクル株式会社(本社:東京都港区北青山、代表執行役社長 最高経営責任者:遠藤 隆雄、以下 日本オラクル)は本日、メインフレーム上のアプリケーションをオープン環境に移行するミドルウェア新製品「Oracle Tuxedo ART 11g R1」(以下 Oracle Tuxedo ART)を提供開始します。
多額の運用コストを計上し、また、システムの硬直化に課題をもつメインフレームのユーザー企業にとって、事業環境に見合ったオープン環境によるシステムへの刷新が急務となっています。
特にIBMメインフレームのユーザー企業は「Oracle Tuxedo ART」を導入することで、既存のソフトウェア資産を最大限に活用し、オープン環境に移行できるとともに、運用コストの大幅な削減を実現します。さらに、SOA環境との連携が可能になるため、投資コストを抑えながら、将来の事業を見据えた基幹システムの刷新を行い、ITの最新化を実現することができます。
「Oracle Tuxedo ART」は、メインフレームのアプリケーションを再ホスティングします。高性能な分散型トランザクション処理を実行するミドルウェア「Oracle Tuxedo 11g R1」上で稼働し、ランタイム環境と移行ツールを提供することで、IBMメインフレーム上のアプリケーションの移行により生じるリスクを低減しつつ、作業を迅速化します。
「Oracle Tuxedo ART」は、メインフレームのトランザクション処理を管理するCICS(Customer Information Control System)アプリケーションとJCL(Job Control Language)バッチ・プログラムを実行する「Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 11g R1」および、メインフレーム上のアプリケーションをオープン環境に移行する「Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1」の2製品で構成されています。
「Oracle Tuxedo ART」は、メインフレームのアプリケーション資産をオープン環境に移行する工程では、アプリケーションおよびデータの変換を自動化するため、作業の工数を大幅に削減できます。CICSのオンライン・プログラムは、メインフレームで稼働するCOBOLのビジネス・ロジックをそのままオープンCOBOLに移行します。データ・アクセス・ロジックは「Oracle Database」やISAM(Indexed Sequential Access Method)ファイル向けに自動変換されます。
IBMメインフレームの専用ターミナルである3270のユーザー・インタフェースに変更を加える必要がないため、操作性を維持することができます。エンド・ユーザーは従来のシステムと同様にアプリケーションを使用できるため、違和感なく利用でき、操作のための再教育も必要ありません。
バッチ処理は、JCLのジョブ構造とフローをそのまま維持しながらシェル・スクリプトに変換されます。シェル・スクリプトから呼び出されるアプリケーションや各種ユーティリティは、IBMメインフレームと同様に、「Oracle Tuxedo ART」のバッチ実行環境で動作させることができます。
システムを停止せずにサーバーの動的な追加を行い、障害時にはサーバー間で自動的にフェイルオーバーを実現できるため、性能や信頼性の要件が厳しいアプリケーションの移行も可能です。主要な商用UNIX並びにLinux上で、メインフレームと同等の信頼性、性能および容易な管理を実現することができます。
「Oracle Tuxedo ART」の提供開始にともない、日本オラクルはシステム・インテグレーター(SI)のパートナーとともに、IBMメインフレームのユーザー向けに、「オラクル ITモダナイゼーション*」の移行提案、製品提供、技術支援およびコンサルテーションを推進していきます。また、COBOL以外のプログラミング言語(PL/I、アセンブラ、4GLなど)のアプリケーションの移行や、日本メーカーのメインフレームからのオープン化プロジェクトに関しては、SIパートナー、言語変換、帳票、運用ツールなどを提供するソフトウェアベンダーと協業し、「Oracle Tuxedo」または「Oracle Tuxedo ART」ベースのオープン化提案を図りながらお客様のご要望に沿ったソリューションや技術サポートを提供します。
*ビジネス・コンテンツを誤って失うことなく、レガシーシステムを最新のSOA環境に変換するプロセス。
「Oracle Tuxedo」は、今後高い需要が見込まれるクラウド基盤「Oracle Exalogic Elastic Cloud」との連携機能が強化される予定です。日本オラクルは、メインフレームのアプリケーション資産を最大限に活用しながら業界標準に基づくオープンなソフトウェア/ハードウェア基盤を提供することにより、低コスト/低リスクでオープン化プロジェクトの支援を提供していきます。
●「Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 11g R1」の特長
1.CICSオンライン・アプリケーションの実行環境の提供
IBM CICSアプリケーションでは、リソースを使用するすべてのインタラクションは「EXEC CICS API」を通じて処理されます。「Oracle Tuxedo ART」のCICSプリプロセッサはこれらのAPIをCICSライブラリへの呼び出しに自動変換します。移行後もアプリケーション開発者はEXEC CICSを使用して開発や保守作業を行うことができます。
2.3270ターミナルのサポート
アプリケーション利用者はメインフレームと同様に、3270ターミナル・エミュレータや、CICSのユーティリティであるBMS(Basic Mapping Support)管理システムを使用することができます。現行アプリケーションのユーザー・インタフェースは移行後も変わりません。
3.分散CICSリソース・マネジメント
CICSリージョン管理を行う際の複雑な手続きは不要で、ユーザーが分散環境での導入と運用管理を行う操作が簡素になります。
4.バッチ・ジョブ管理
IBM JES2 (Job Entry Subsystem 2) と同様なバッチ・ジョブ管理システム (TuxJES) を提供します。ジョブの特性(ジョブ名、プライオリティ、実行方法)、ジョブのステージ(サブミット、コンバージョン、スケジューリング、実行中、出力、パージ)、ジョブ制御(サブミット, ホールド/リリース、キャンセル、パージ)、トランザクション制御機能が提供されます。また、拡張性に優れたイベント通知フレームワークを提供します。
5.バッチ実行環境
IBMバッチ・ジョブ環境と同様な実行環境を提供します。アプリケーションの機能性を維持しつつ、オープン環境でメインフレームクラスの性能および信頼性に加え、複数サーバー環境における優れたスケーラビリティを実現することができます。
●「Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1」の特長
1.リポジトリとカタロガー
メインフレーム資産内のソース・コンポーネントすべての依存関係をチェック、ソースとターゲットに関係するメタデータを生成・維持します。内部的な不一致の検出(パース/リンク・エラー)、抽象構文ツリーの作成、コンポーネント間の相互参照(クロスリファレンス)の作成、資産レベルの不整合(行方不明/未使用コンポーネント)の検出が含まれ、棚卸リストと例外報告書を作成します。これにより、行方不明/未使用コンポーネントの状態を把握することが可能です。
2.ファイル・コンバータ
VSAMファイルをISAMファイルまたは「Oracle Database 11g」レコードに移行します。データのアンロード、リロード、妥当性チェックも行います。
3.DB2コンバータ
DB2から「Oracle Database 11g」に移行するためのデータ・スキーマを自動生成し、データの移行も行います。
4.COBOLコンバータ
COBOLの方言とデータ・アクセスの差分を吸収しながらIBM COBOLアプリケーションをオープンCOBOLに変換します。
5.JCLコンバータ
IBM JCLジョブ(メインファイル、PROC、INCLUDE、SYSINファイルなど)を「Oracle Tuxedo ART」バッチ実行環境上のシェル・スクリプトに変換します。変換されたシェル・スクリプトは制御フロー、変数置き換えなどを行います。バッチ実行環境では、このシェル・スクリプトを解釈しながらプログラムの実行、ファイル割り当て、ファイル操作、ユーティリティ起動などを行います。
●「Oracle Tuxedo」
「Oracle Tuxedo」は複数のプラットフォーム、データベース、およびOS(オペレーティングシステム)で構成される複雑な企業システムを刷新する目的で、異機種分散コンピューティング環境で実行される大規模アプリケーションのインフラとして、世界中の通信、金融、運輸、製造、政府などの業界で豊富な実績があります。また、「Oracle Tuxedo」は分散オープン環境に最適化されているため、高い拡張性を発揮します。これにより、「アプリケーション・グリット型*」の次世代システム基盤に堅牢なアプリケーション実行環境を提供します。また、「Oracle Database 11g」や「Oracle WebLogic Server 11g」などとシームレスな連携機能が提供されているため、データベースからミドルウェア、SOA基盤などが高性能、高信頼性で連携されます。
*アプリケーションにリソースを共有させることで、ピーク時の要求を満たし、全体的なパフォーマンスを高めることができるため、既存のインフラを活用し、運用コストを最小化します
・「Tuxedo ART」に関する運用について
●「Oracle Tuxedo System and Application Monitor(TSAM)」
「Oracle Tuxedo Systems and Application Monitor(TSAM)」は、アプリケーション要求、サービス・アクティビティ、XAトランザクション*、および「Oracle Tuxedo」サーバーのスループットのリアルタイムな管理を可能にする、Oracle Tuxedo向けアプリケーションおよびシステム監視ソリューションです。「Oracle TSAM」の「Oracle Tuxedo ART」連携機能の強化により、「Oracle Tuxedo ART」実行環境で稼働するCICSアプリケーション、およびバッチ・ジョブの実行状態をリッチなGUIを使って監視することができます。
*データベースとトランザクション・マネジャー間のインタフェースを使用した処理手法
●試用版のダウンロード
「Oracle Tuxedo」ダウンロード・ページ
http://www.oracle.com/technetwork/jp/middleware/tuxedo/downloads/index.html
●製品マニュアル
「Oracle Tuxedo」関連情報
http://www.oracle.com/technetwork/jp/middleware/tuxedo/overview/index.html
「Oracle Tuxedo 11g R1」マニュアル
http://download.oracle.com/docs/cd/E18050_01/tuxedo/docs11gr1/index.html
●「Oracle Tuxedo」製品価格
「Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1」
4,619,600円/ Named User Plus(税込み)
「Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 11g R1」
2,391,300円/Processor(税込み)、
「Oracle Tuxedo 11g R1」:
6,521,700円/Processor(税込み)、195,700円/ Named User Plus(税込み)
*価格は予告無く変更される場合があります。
価格の計算方法として「Processorライセンス」と「Named User Plusライセンス」があります。
Processor:ハードウェアの仕様(CPU数)に応じて価格設定をするライセンスです。
Named User Plus:オラクル製品に対して使用する権利を与えられている個人が何名いるかによって価格を設定する「指名ユーザー」ライセンスです。
【参考資料】
●「Oracle Tuxedo ART 11g R1」発表に関するパートナー様からのコメント
弊社の統合クラウドサービス「BizXaaS」のマイグレーションサービスは、レガシーシステムからのダウンサイジングをトータルでサポート致します。
同サービスでは、お客様の移植後の維持管理性や移行リスク・コストを考慮し、既存IT資産の修正を最小限とするリホストをマイグレーションにおけるポリシーとしてご提案します。
「Oracle Tuxedo ART」は本ポリシーに近いプロダクトであることから、マイグレーションプロダクトラインアップの一つとして採用致しました。
これにより、お客様IT資産を最大限活用し、ダウンサイジングに伴う期間・コストの
大幅削減を実現します。
併せて、弊社同サービスの1つ「COBOLクラウド」においても同社製品を採用し、お客様ITシステムの変革を実現します。
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
基盤システム事業本部 システム基盤サービスビジネスユニット
第二基盤サービス統括部長
星野 亨
●オラクルについて
オラクルは世界で最もcomplete、open、integratedなビジネスソフトウェアとハードウェア・システムの会社です。オラクルに関するより詳しい情報は、http://www.oracle.com/jp をご覧ください。
■本件に関するお問い合わせ先
日本オラクル株式会社 広報室 谷地田
Tel: 03-6834-4837 / Fax: 03-6834-6129/ E-mail: pr-room_jp@oracle.com
プレスルーム http://www.oracle.com/jp/corporate/press/
*OracleとJavaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。本文書は情報提供を唯一の目的とするものであり、いかなる契約にも組み込むことはできません。