2022(令和4)年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館が決定  国立博物館所蔵の文化財113件が 愛知・島根・栃木・鹿児島・滋賀・沖縄に里帰り!

国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出す「国立博物館収蔵品貸与促進事業」において、2022年度事業の実施対象館が決定いたしました。

これにより国立博物館が所蔵する地域ゆかりの文化財113件が、愛知、島根、栃木、鹿児島、滋賀、沖縄の6つの施設で順次公開される予定です。

2022年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館(会期順)

美術館・博物館名:刈谷市歴史博物館(愛知県)
展覧会名    :伊勢物語とかきつばた
会期(予定)   :2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)
貸与予定件数  :3件

美術館・博物館名:島根県立古代出雲歴史博物館(島根県)
展覧会名    :ハニワの世界へようこそ
会期(予定)   :2022年7月1日(金)~2022年8月28日(日)
貸与予定件数  :9件

美術館・博物館名:足利市立美術館(栃木県)
展覧会名    :あしかがの歴史と文化再発見!
会期(予定)   :2022年7月30日(土)~2022年10月10日(月・祝)
貸与予定件数  :16件

美術館・博物館名:鹿児島県歴史・美術センター黎明館(鹿児島県)
展覧会名    :茶の湯と薩摩
会期(予定)   :2022年9月22日(木)~2022年11月6日(日)
貸与予定件数  :30件

美術館・博物館名:滋賀県立安土城考古博物館(滋賀県)
展覧会名    :大岩山銅鐸里帰り展(仮称)
会期(予定)   :2022年10月8日(土)~2022年11月20日(日)
貸与予定件数  :6件

美術館・博物館名:沖縄県立博物館・美術館(沖縄県)
展覧会名    :琉球 ―美とその背景―
会期(予定)   :2022年10月14日(金)~2022年12月4日(日)
貸与予定件数  :49件

注目は、本土復帰50年の節目を迎える沖縄県で開催予定の「琉球 ―美とその背景―」展(会場:沖縄県立博物館・美術館)。東京国立博物館からは、「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」や「三線」など28件、九州国立博物館からは、「浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳」や「鳳凰螺鈿七弦琴」など21件、合計49件の文化財を貸し出します。

左:黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙 沖縄本島 第二尚氏時代・18世紀末~19世紀 東京国立博物館蔵、右:浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳 第二尚氏時代・19世紀 九州国立博物館蔵(沖縄県立博物館・美術館で展示予定)

また、開館30周年を記念する滋賀県立安土城考古博物館では「大岩山銅鐸里帰り展(仮称)」が開催されます。滋賀県野洲市の大岩山遺跡から出土した、現存する日本最大の銅鐸(重要文化財、総高 約135cm)をはじめ、竜王町高塚山出土の銅鐸など、東京国立博物館から6件の考古資料を貸し出します。

さらに2021年に市制100年を迎えた足利市では、100周年記念に続く取り組みのひとつとして、足利市立美術館において「あしかがの歴史と文化再発見!」展が開催されます。東京国立博物館から、 熊野山古墳や十二天塚古墳(いずれも足利市)などから出土した考古資料16件を貸し出します。

2022年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 展覧会概要(会期順)

◆刈谷市歴史博物館
「伊勢物語とかきつばた」 貸与予定件数:3件
「伊勢物語」に登場する三河の「かきつばた」が広く受容された歴史を紹介する展覧会

会期    : 2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)
URL    : https://www.city.kariya.lg.jp/rekihaku/
公式Twitter: https://twitter.com/kariyarekihaku
みどころ  : 愛知県刈谷市をはじめとする西三河地域は、かきつばたの名所として知られます。これは、平安時代の歌物語「伊勢物語」第九段の「東下り」で、在原業平といわれる主人公が八橋(現・愛知県知立市)で「かきつばた」を歌に詠んだことに由来します。公家の教養であった「伊勢物語」は、江戸時代には尾形光琳(1658~1716)や乾山(1663~1743)といった琳派によって八橋のかきつばたが描かれ、出版文化の隆盛とともに庶民にも活字で読まれるようになりました。本展では、「伊勢物語絵巻(模本)」などを東京国立博物館から、「伊勢物語絵巻 上巻」を京都国立博物館から貸し出し、江戸時代に焦点をあて、伊勢物語やかきつばたが広く受容された歴史を紹介します。

伊勢物語絵巻(模本) 巻第一(部分) 古藤養成(他)模 江戸時代・天保9年(1838) 東京国立博物館蔵

◆島根県立古代出雲歴史博物館
「ハニワの世界へようこそ」 貸与予定件数:9件
山陰地域出土品を中心に、形象埴輪の魅力に迫る展覧会

会期  : 2022年7月1日(金)~2022年8月28日(日)
URL   : http://www.izm.ed.jp/
みどころ: 古墳上に埴輪を立て並べる習慣は、前方後円墳が全国的に築造されはじめるのにあわせて各地に広まりました。古墳時代後期には、古墳の一角を区切り、人物や動物、武具等の様々な器物を表現した埴輪を並べ、被葬者の生前の活躍や首長継承のまつりを再現するようになります。こうして埴輪は、より表情豊かで多彩なものへと変化していきました。本展では、東京国立博物館から「馬形埴輪」(重要文化財)をはじめとする考古資料を貸し出し、そのほか山陰地域出土の形象埴輪を中心に、人物や動物をかたどった様々な埴輪を展示します。制作時期や地域ごとの特徴や違いといった考古学的な比較だけでなく、個々のハニワが持つデフォルメの妙や豊かな表情など、形象埴輪の魅力を紹介します。

重要文化財 馬形埴輪 古墳時代・6世紀 埼玉県熊谷市上中条出土 東京国立博物館蔵

◆足利市立美術館
「あしかがの歴史と文化再発見!」 貸与予定件数:16件
足利ゆかりの文化財から市の歴史と文化を辿る展覧会

会期    : 2022年4年7月30日(土)~2022年4年10月10日(月・祝)
URL    : http://www.watv.ne.jp/ashi-bi/
公式Twitter: https://twitter.com/ashikagamuseum
みどころ  : 2021年に市制100周年を迎えた足利市では、100周年記念に続く取り組みとして、郷土を見つめ直す企画展を開催します。本展では、東京国立博物館が所蔵する、熊野山古墳や十二天塚古墳(いずれも足利市)などから出土した考古資料を貸し出します。そのほか、足利ゆかりの文化財等を一堂に集め、これらを受け継いでゆく子どもたちにもわかりやすく、足利市の歴史と文化の源流を紹介します。

埴輪 童女 古墳時代・6世紀 栃木県足利市 熊野山古墳群出土 山田宗治氏他寄贈 東京国立博物館蔵

◆鹿児島県歴史・美術センター黎明館
「茶の湯と薩摩」 貸与予定件数:30件
薩摩の茶の湯文化の歴史について紹介する展覧会

会期    : 2022年9月22日(木)~2022年11月6日(日)
URL    : https://www.pref.kagoshima.jp/reimeikan/
公式Twitter: https://twitter.com/official_reimei
みどころ  : 日本の伝統文化のひとつである茶の湯は、中国から伝来した喫茶法をもとに育まれました。室町時代には将軍家を中心に権威の象徴となり「唐物」が愛好されましたが、安土桃山時代に千利休(1522~1591)が侘茶を大成すると、新たに価値づけされた「和物」が登場し、政権者から大名、町衆へと広がりました。本展では、東京国立博物館から、薩摩焼を代表する文琳形茶入として名高い「黒釉文琳茶入 銘 望月」をはじめとする23件、九州国立博物館からは「油滴天目」(重要文化財)を含む7件を貸し出し、侘茶との出会いや大名茶への展開など、歴史の動向や様々な文化交流によって拡がる薩摩の茶の湯文化の歴史について人的交流を軸に紹介します。

左:黒釉文琳茶入 銘 望月 薩摩 江戸時代・17世紀 松永安左エ門氏寄贈 東京国立博物館蔵、右:重要文化財 油滴天目 中国・建窯 南宋時代 九州国立博物館蔵

◆滋賀県立安土城考古博物館
「大岩山銅鐸里帰り展(仮称)」 貸与予定件数:6件
開館30周年を記念し、日本最大の銅鐸が里帰りする展覧会

会期  : 2022年10月8日(土)~2022年11月20日(日)
URL   : https://azuchi-museum.or.jp/
みどころ: 開館30周年を記念し、日本最大の銅鐸が里帰りをします。弥生時代後期の大岩山銅鐸は、滋賀県野洲市の大岩山遺跡から明治14年(1881)、昭和37年(1962)の調査によって計24個が出土しました。本展では、東京国立博物館所蔵の、大岩山遺跡から出土した現存する日本最大の銅鐸(重要文化財)をはじめ、「扁平鈕式銅鐸」や「三角縁二神二獣鏡」など、地域ゆかりの考古資料6件を貸し出します。

重要文化財 突線鈕5式銅鐸 弥生時代(後期)・1~3世紀 滋賀県野洲市小篠原字大岩山出土 東京国立博物館蔵

◆沖縄県立博物館・美術館
「琉球 ―美とその背景― 」 貸与予定件数:49件
王都・首里や村々で花開いた琉球文化の美を紹介する展覧会

会期    : 2022年10月14日(金)~2022年12月4日(日)
URL    : https://okimu.jp/
公式Twitter: https://twitter.com/okimu_chan
みどころ  : 2022年に本土復帰50年を迎える沖縄県は、古くから海を通じて様々な国と交流し、独自の文化を発展させてきました。王都・首里を中心として発展したもの、島々で花開いたもの、各地域によって多様な文化を見ることができます。本展では、東京国立博物館から「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」や「三線」など28件を、九州国立博物館からは「浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳」や「鳳凰螺鈿七弦琴」など21件を貸し出します。島々・村々で享受された「美」を地理的・歴史的な視点のみならず、民俗的な視点も含めて紹介します。

キンカブ 奄美大島 第二尚氏時代・18世紀 東京国立博物館蔵

※上記6つの展覧会の概要・貸与予定作品は2022年3月22日現在のものです。今後、変更になる場合があります。

最新情報は各美術館・博物館の公式ウェブサイトなどでご確認ください。

2023年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」募集予定

2022年4月1日(金)から、2023年度国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館の申請受付が開始されます。

申請受付期間:2022年4月1日(金)~6月30日(木) [17時必着]

貸与促進事業の申請、展覧会情報に関する詳細は、以下の〈ぶんかつ〉公式ウェブサイトでご確認いただけます。
URL: https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_free_page/index.php?id=3

全国の美術館・博物館からのご応募をお待ちしています。

2023年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 募集チラシ

国立博物館収蔵品貸与促進事業とは

国内各地の美術館・博物館に対し、〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出すこの事業は、各地ゆかりの文化財を展示に活用し、日本とアジアの歴史・伝統文化の発信ならびに地方創生・観光振興、次世代への文化財の継承に寄与することを目的としています。

文化財活用センターとは

文化財活用センターは、国内外のさまざまな人が日本の文化財に親しむ機会を拡大するため、2018年7月、国立文化財機構のもとに設置された組織です。愛称は〈ぶんかつ〉。貸与促進事業のほか、文化財を通じて豊かな体験と学びを得ることができるよう、文化財を活用した新たなコンテンツやプログラムの開発、文化財のデジタル情報の公開、また文化財の保存環境に関する相談窓口を開設、文化財の保存と活用を目的とした寄付金の募集を行っています。

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