環境省ぐぐるプロジェクトフォーラム開催 ラジエーションカレッジ各部門優秀賞受賞の学生を表彰
~メッセージの出し方で島耕作氏をはじめ有識者が環境省の風評対策を斬る!~
放射線の健康影響に関する情報発信を展開する“ぐぐるプロジェクト”(環境省事業)は、今年度の活動の総括にあたるぐぐるプロジェクトフォーラムを2月22日(水)に星陵会館(千代田区)で開催しました。
フォーラムの第1部ではラジエーションカレッジのプレゼン部門、台詞作成部門、漫画作成部門、CM部門、POP部門の各部門の優秀賞の表彰式が行われ、プレゼン部門では東北大学の高橋彩乃さん、台詞作成部門では大阪大学の藤井翔大さん、漫画作成部門では福島県立医科大学の檜山梨花さん、CM部門では東北大学の高橋彩乃さん、POP部門では鹿児島大学の池増美妃さんが受賞しました。なかでも東北大学の高橋彩乃さんは、昨年度に続きプレゼン部門の2連覇を果たしたほか、CM部門でも優秀賞を獲得する快挙を達成しました。
優秀賞受賞者
◆プレゼン部門 高橋彩乃さん(東北大学経済学部)
◆台詞作成部門 藤井翔大さん(大阪大学経済学部)
◆漫画作成部門 檜山梨花さん(福島県立医科大学保健科学部)
◆CM部門 高橋彩乃さん(東北大学経済学部)
◆POP部門 池増美妃さん、伊東亜実さん、内丸楓菜さん、田中杏奈さん、
稗村咲良さん(鹿児島大学医学部 ※グループ参加)
第2部は「伝わらないメッセージを斬る」をテーマにしたディスカッションが行われました。今回応募のあった作品の傾向について、大阪大学の大竹文雄特任教授から「今回は全体的に恐怖訴求というアプローチをとっている作品が多かった。恐怖訴求は人々へのメッセージを伝える短期的な効果は見込めるが、長期的な効果は見られにくい。ぐぐるプロジェクトのような長期的な活動が必要とされるものでは、今回受賞した作品のような前向きなメッセージのものがよい」と意見が出されました。それを受け環境省担当官からは、「振り返れば、当初恐怖訴求をしていたかもしれない。ぐぐるプロジェクトは差別をなくすことがコンセプトであるため、メッセージの伝え方について、検討していきたい」と述べました。
横浜市立大学大学院の倉澤健太郎准教授は、「メッセージというのは、受け手側にどれだけ寄り添えるかということが重要である」と発言があり、キャンサー・ソリューションズの桜井なおみ氏は、「治療と仕事の両立において職場に病気のことを相談した際、まず休み方を提案されがちだが、その内容を休み方ではなく働き方に変えると両立が上手くいった」という事例が紹介されました。筑波大学の高橋晶准教授からは「変わることは人にとってストレスになるが、時間の経過の中で変わることの方が良い結果をもたらすことがある。変わるならまさに今だと思う」との発言がありました。
社会的健康戦略研究所の浅野健一郎氏は健康経営の例をあげ、「組織を変えることは現状維持バイアスが働くためなかなか難しいが、前向きなメッセージを伝えることで変化を促すことにつながった」と述べました。そして大竹特任教授からは「霞が関の人たちは現状維持バイアスの人が多い。変化することのメリットを理解している人は少ないので、この論理を変えていく必要がある」と環境省の変化に期待する意見が出されました。さらに、キックオフミーティングに登壇した島耕作氏からは「一般企業でもこれまでやってきたことを見直すのは難しい。しかし、大事なのは何よりも差別をなくしていくという強い姿勢を打ち出すことではないか」との力強い言葉が投げかけられました。
登壇者や島耕作氏の発言を受け、環境省担当官からは「ぐぐるプロジェクトのメッセージについて変えていかなければいけない点があることが分かった。しっかりと取り組みを進めていきたい」と次年度への決意を表明しました。
司会を務めた落語家の桂三四郎さんから総括として、「ようやく環境省が『検討』から『取り組みを進めたい』に変わった。誤解から生じる差別をなくし、誰一人取り残さない社会の実現にむけ、次年度の取り組みがどのようになるのか期待したい」とまとめました。
このディスカッションの様子は2月27日(月)午後から、「ぐぐるプロジェクト」の特設サイト内で公開する予定です。