産学官連携!水の安定供給と消費電力調整対応の両立を確認
広島県福山市では,福山市上下水道局,福山市立大学,JFEエンジニアリング株式会社が進める産学官共同研究の中で,福山市が出資し設立された「福山未来エナジー株式会社」と連携し,水道施設の設備を活用したデマンドレスポンス実証試験を実施しました。
産学官共同研究の目的
本研究は,新技術を活用した最適運転管理システムを確立することでエネルギー利用の最適化をめざすもので,動力費削減による省エネルギー化とポンプ運転の自動化による安定的な運転管理の実現に向け,産学官で継続して取り組んでいます。
デマンドレスポンスとは
電力会社の発電設備の老朽化のほか,天候により電力供給が左右される太陽光発電の普及などによって,電力需要に供給を合わせることが難しくなっています。
そこで,使用電力ピークを極力減らし,発電量を平滑化することで電力の安定供給を図るという発想のもと,電力会社の要請により需要家が一時的に消費電力を落とし,電力の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとることです。
実証試験内容
(1) 電力需給が逼迫した状況を想定し,本市水道施設に電力を供給する「福山未来エナジー㈱」から福山市上下水道局に対して,2020年(令和2年)7月から9月の間に複数回のデマンドレスポンス要請(要請時間は3時間)
(2) 本市水道施設のうち主力浄水場である「中津原浄水場」と「千田浄水場」を対象施設とし,産学官で共同研究しているAIによる需要予測システムを活用したポンプ操作を実施
実証試験の結果
(1) デマンドレスポンスが要請された時間帯における水道水の安定供給を維持することができた。
(2) その間の水道施設の電力使用量は,通常時より約1,000kW/hが調整できた。
(今回は要請時間3時間のため,1,000kW/h×3時間=3,000kW)
今後
2021年(令和3年)4月からのデマンドレスポンス事業の本格運用に向けた準備を進めるとともに,本取組を実施する浄水場の対象を拡大予定です。4者は引き続き連携し,これらの研究成果を持続的に活用しながら,電力の安定供給に貢献していきます。
福山市について
福山市(市長:枝広 直幹)は、瀬戸内海沿岸のほぼ中央、広島県の東南部に位置し、高速道路網のアクセスが良く新幹線「のぞみ」も停まる、人口約47万人の拠点都市です。
福山市には四季折々の美しさを見せる自然、温暖な気候、海・山・川から得られる恵みがあります。100万本のばらが咲き誇る「ばらのまち」としても知られ、潮待ちの港として栄え日本遺産に認定された景勝地「鞆の浦」や、JR福山駅の新幹線ホームから見え、2022年には築城400年を迎える「福山城」、2つの国宝をもつ寺院「明王院」などの名所があります。
産業としては、鉄鋼業や繊維産業など多様な製造業が集積し、ものづくりのまちとして発展してきました。デニム生地は、世界のハイブランドにも活用されるなど高い品質が評価されています。
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