画像符号化における先駆的業績が評価 東京工芸大学・小野 文孝名誉教授がSCAT表彰で会長大賞を受賞
東京工芸大学(学長:吉野 弘章、所在地:東京都中野区、以下 本学)小野 文孝名誉教授(以下、受賞者)が、一般財団法人テレコム先端技術研究支援センターの主催する2022年度SCAT表彰で「画像情報のエントロピー符号化に関する先駆的業績」の業績により会長大賞を受賞しました。表彰式は1月13日(金)に千代田区の学士会館において行われました。
SCAT表彰は、ICT(情報通信技術)の研究開発により国民生活の安全安心に寄与するなど多大な貢献のあった研究者に授与されます。この度の受賞は受賞者の画像符号化領域における先駆的かつ基盤的な貢献が高く評価されたものです。
今回の受賞について、小野 文孝名誉教授は「画像符号化は製品化や標準化を通じ、現在では人間社会に欠かせない役割を果たすようになりました。その分野において符号化のステージをモデリングとエントロピー符号化に分け、それぞれを最適化するという小生の長年の取り組みを高く評価いただきましたことに、厚く御礼申し上げますと共に、研究の機会を下さった方々、研究の過程でご支援を賜った皆様に心より感謝申し上げます。」と話しています。
●SCATによる研究業績評価
近年、画像信号のデジタル化が急速に進展し、画像・映像情報が国民の安全・安心の向上など日常生活のあらゆるシーンに欠くべからざるものになっている。これを支えているのが画像伝送・蓄積を高速化・ 高効率化する画像符号化技術である。受賞者は早くからその理論的解析と実用的解決策に取り組み、符号化過程を情報源のモデル化とエントロピー符号化に分離し、前者を「モデル情報量」、後者を「符号化効率」で評価することを提唱したうえで、一般的な情報源モデルであるマルコフモデルの汎用的符号化手法を初めて明らかにした。特に、エントロピー符号化では、汎用ハフマン符号として「MELCODE」を提案し、これを「算術符号型 MELCODE」に拡張して、より実用的な解を導いた。さらに多値情報源を複数の2値情報源に分解することにより、あらゆる情報源の符号化が可能なことを示した。受賞者の提案は国際標準に採用され、駅や公衆・ストリート、店頭用の防犯カメラシステム、ダムや河川の水位の遠隔監視システム、高速道路の状況監視・取締用カメラ、ドライブレコーダ・運転支援・自動運転用車載カメラ、胃カメラ等の体内臓器観察カメラ、手術・遠隔医療用カメラ、検診医療用のカメラシステム等における、画像情報の交換・流通に広く寄与している。このように受賞者の成果は国民の安全・安心な暮らしを支える画像符号化領域において先駆的かつ基盤的な貢献をしている。
(一般財団法人テレコム先端技術研究支援センターより転載)
【URL】 https://www.scat.or.jp/awards/file/2022awards.pdf
「一般財団法人テレコム先端技術研究支援センター」とは
広く情報通信技術の推進に寄与する為、調査研究及びそれらへの支援、知識の普及、振興、提言等の事業を実施している。
【URL】 https://www.scat.or.jp/
「SCAT表彰」とは
一般財団法人テレコム先端技術研究支援センター(SCAT、会長:吉田 進、所在地:東京都新宿区)が、情報通信技術の研究開発により国民生活の安全安心に寄与するなど多大な貢献のあった研究者に授与するもので、2019年度から公募・他薦により実施しています。
小野 文孝(東京工芸大学 名誉教授 理事)
1973年 東京大学大学院工学研究科 電子工学専攻修士課程修了
三菱電機株式会社入社
1981年 電子情報通信学会 学術奨励賞
1993年 東京大学大学院工学研究科 博士(工学)
画像電子学会 百号記念論文賞
R&D Magazine R&D100賞
1995年 IEEE Fellow
2000年 東京工芸大学工学部 教授
2004年 電子情報通信学会フェロー
科学技術功労者表彰 文部科学大臣賞
工業標準化事業表彰 経済産業大臣賞
2011年 画像電子学会 会長
2013年 画像電子学会フェロー
情報処理学会情報規格調査会 標準化功績賞
2014年 東京工芸大学 名誉教授
2015年 学校法人東京工芸大学 理事
東京工芸大学
東京工芸大学は1923(大正12)年に創立された「財団法人小西寫眞(写真)専門学校」を前身とし、創設当初から「テクノロジーとアートを融合した無限の可能性」を追究し続けてきました。2023年に創立100周年を迎えました。
【URL】 https://www.t-kougei.ac.jp/